トルコリラ円レポート月曜版
本年もよろしくお願いいたします。
まず、年末年始の振り返りですが、緩やかな下げを想定し「20.60レベルをサポートに21.30レベルをレジスタンス」と見ていました。実際のレンジは、安値が17.99レベル、高値が21.08レベルと、とんでもない乱高下の年始相場となりました。
年末年始のトルコリラ円は、年始2日までは穏やかでほとんど動意の無い状態でしたが、ドル円での円急騰劇がクロス円全般に波及し、トルコリラ円も例外ではありませんでした。ドル円急騰劇については、年始のドル円緊急コラムやドル円週報で詳しく書きましたので、ここでは概要にとどめますが、米中貿易摩擦が実際にアップルの減益予想という形で現れ、そこからダウ急落とリスクオフによる円買い、とここまでは想定内ですが、アルゴ取引の下押しでストップがストップを呼びなんと104円台をつけるに至りました。
この円急騰劇でトルコリラ円でも軒並みストップがつき、加えて年始で東京が休場、おそらくは多くの個人投資家も正月休みという中で、証拠金不足による強制決済という事態にまで発展しました。トルコリラ円の取引ではかなりのシェアを占めている金融取引所のポジション等の統計を見ると、年末時点で約29.4万枚(1枚=1万トルコリラ)、円急騰の起きた3日清算時点で約24.3万枚と5万枚の減少と率にして17%、そのほとんどはストップと強制決済による減少分と推定されます。
こうなると材料以前の問題で市場の事故に遭遇してしまったようなものですが、やはり主要通貨に比べると新興国通貨の場合、新興国通貨要因による変動、主要通貨における変動と双方のリスク要因が関係してくるため、何があってもいいようにストップオーダーを中心としてリスク管理が最重要なことであることが改めて示された格好です。
その後は、安値がスパイク状のパターンとなり急反動しての上昇となっていますが、ここからどうなるかについて、こちらもドル円週報に書いた通りなのですが要注意です。おそらく短期的には円売り、つまりトルコリラの買いが見られると思われますが、長期的には再び円高を見に行く可能性が高く、そうなるとトルコリラ円における戻しも限定的と考えざるを得ません。
唯一好材料があるとすれば、パウエルFRB議長が今後の金融政策に柔軟に対応する姿勢を示したことで、米国の利上げ思惑が後退、高金利通貨にとっては米国への資金還流が抑えられることとなります。今週もパウエルFRB議長の講演がありますので、同じ発言(金融政策に対する柔軟な姿勢)となるかどうかは要注目です。
また、今週のトルコ国内の材料としては目立ったものはありませんが、米国の利上げ思惑後退に歩調を合わせるかのようにトルコ中銀が次回の会合(1月16日)で利下げに動く可能性を指摘する向きもあります。実際に利下げとなると、結局のところ金利差縮小となりトルコリラ売りにつながりますので、会合までにどのような思惑が出てくるのか、この点も気になるところです。
テクニカルにはどうでしょうか。
いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
先週の値動きの荒さがチャートからもよくわかりますが、その後の上昇過程においては前週の安値20.52レベルが最初のレジスタンスとなっていることがわかります。また下値については先週の下ヒゲ部分を除くと19.54レベルが実質的な安値圏と言ってよさそうです。
テクニカルな観点では19円台半ばから20円台半ばが落ち着きどころというチャートとなっていますので、今週は19.55レベルをサポートに20.55レベルをレジスタンスとする流れを考えたいと思います。
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