値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か
〇本日のドル円、ドル売り先行で154円割れまで軟化後に反転、155円手前まで上伸
〇テクニカルには、154-156円を中心としたレンジ取引が続くか
〇本日は米11月製造業PMI、ミシガン大学消費者信頼感指数等の発表予定
〇ドル高・円安方向、本日東京でつけられなかった155円が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向、昨日から本日にかけしっかり割り込めていない154円をめぐる攻防に注目
〇ドル円予想レンジ:154.10-155.50
<< 東京市場の動き >>
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
ドル/円は154円半ばで寄り付いたのち、ドル売りが先行すると154円割れまで軟化。しかし、前日安値153.91円は割り込めず、そののち流れは反転する展開に。夕方に掛けては上げ幅を拡大させ、寄り付きレベルを超えると155円手前まで一時上伸した。16時現在では高値圏の154.90円前後で推移し欧米市場を迎えている。
なお、前日に99000ドル台に一時乗せた暗号資産(仮想通貨)ビットコインは高原推移。前日高値を超える局面も観測されており、10万ドル台乗せもいよいよ現実味を帯びてきた感がある。
一方、材料的に注視されていたものは「ウクライナ情勢」と「トランプ政権人事」について。
前者は、以前より指摘している「米国が方針転換しウクライナによる長射程兵器の使用を容認」したことに続き、「米国防長官がウクライナに対人地雷を供与、使用も容認」と報じられる反面、ロシアサイドからはプーチン大統領などによる「核恫喝」が聞かれていたが、具体的な行動はともなわなかった。しかし、昨日ついにロシアが反撃。「大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射」(ウクライナ軍)したとして物議を醸す。ただ、ロシアは「新型の中距離弾道ミサイル」と発表しており、ここまで公式にICBMの使用は認めていない。いずれにしても、ウクライナ軍の指摘が確かだとすれば、核搭載も可能であるだけに、さらに危機的状況が強まっているとも言えそうで状況を見守りたいところだ。
後者は、ブルームバーグがトランプ前米政権で国家経済会議(NEC)委員長を務めたコーン氏の発言として「トランプ氏にとって2期目の財務長官人事は非常に重要」などとし、「決断する時間はまだ十分にある」と擁護したと報じている。その一方、人身売買疑惑が取り沙汰されていたゲーツ氏は米司法長官候補を辞退する旨を明らかにしており、始動前からトランプ氏は人事でつまずいたとする米報道も観測されていた。一方、暗号資産業界に厳しい姿勢を取ってきた米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長が、トランプ次期大統領が正式に就任する来年1月20日に退任すると正式表明したようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、本日東京時間も1円近くの値動きを観測するなど、それなりに値動きは荒っぽい。しかし大きな流れでいうと、やや広めながら153.28-155.89円というレンジを形成しており、明確な方向性は乏しい状況だ。米サンクスギビングデーを来週28日に控え、どこまで動意づくことが出来るのか、意外に上記レンジの取引は長いあいだ続く可能性もある。
市場の関心は12月の日米金融政策発表に依然として高い状況ながら、短期的には「ロシアの核恫喝」などを受けた地政学リスクの高まりが金融市場においても波乱要因として取り沙汰されている感がある。ロシアとウクライナの攻防がさらにエスカレートするようだと、再びリスク回避の動きが強まる展開もありそうだ。また、それとともにいまだ決まらない、トランプ政権下の米財務長官人事を注視している向きもある。
テクニカルに見た場合、ドル/円は様々な思惑などに一喜一憂しつつも、大局的にはレンジ取引。154-156円を中心とした値動きで、方向性は明確ではない。過去を振り返ると、次の動意に向けての「準備期間」を1-2週間ほどとることも少なくないだけに、来週いっぱい程度はレンジ内での一進一退が続く可能性もある。ただ、仮にその場合には12月以降にもうひと相場、年内最後の大相場をたどる危険性があることも、頭にとどめておきたいところだ。
本日は米経済指標として、11月の製造業PMI速報や同ミシガン大学消費者信頼感指数確報などが発表される予定となっている。ここ最近は米指標や発言よりも、ウクライナ情勢、地政学リスクの高まりが注視されている感があるものの、油断は禁物だろう。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは154.10-155.50円。ドル高・円安方向は、本日東京でつけられなかった155円が最初の抵抗。抜けていくと昨日高値155.40円を目指す。
対するドル安・円高方向は、昨日から本日に掛けてしっかり割り込めていない154円をめぐる攻防に注目。かなり底堅そうだが、逆に下回ってしまうと意外に下げ足は早いかもしれない。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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