ドル円見通し 21日夜からの反落で一時154円割る、日銀総裁は12月利上げの可能性排除せず(24/11/22)

ドル円は21日深夜には153.90円まで安値を切り下げた。

ドル円見通し 21日夜からの反落で一時154円割る、日銀総裁は12月利上げの可能性排除せず(24/11/22)

21日夜からの反落で一時154円割る、日銀総裁は12月利上げの可能性排除せず

〇昨日のドル円、日銀総裁のややタカ派発言、ロシアのウクライナ攻撃が円買い誘う
〇米指標結果を受け未明に154.69まで戻した後は軟調、154円割れ試す
〇米長期債利回りは概ね上昇、米主要株価指数は上昇
〇153.75割れからは19日夕安値153.28試しとする
〇155円超えからは上昇継続とみて155.88超えを目指す上昇を想定

【概況】

ドル円は11月15日午前高値156.74円から19日夕安値153.28円まで下げた後、20日夜高値155.88円まで戻していたが、156円には届かずに失速し、21日深夜には153.90円まで安値を切り下げた。
日銀の植田総裁がパリ講演で12月利上げの可能性を排除しない姿勢を示したことがややタカ派的として円買いを誘い、ロシアがICBMでウクライナを攻撃したとの報道がリスク回避型の円買いを誘ったことで下落したが、22日未明にかけてユーロドルやポンドドルの下落が目立ちドル高優勢の動きとなったこと、21日夜の米経済指標がまちまちだったものの新規失業保険申請件数の改善や中古住宅販売件数が予想を上回ったことで米10年債利回りが上昇したために154円台を回復した。しかし22日未明に154.69円まで戻した後は軟調で154円割れを再び試している。

日銀の植田和男総裁は21日のパリ公演で、「金融政策は手元にある情報に基づき会合毎に決定する」、12月会合まで1か月あり、それまでの情報で判断するとして12月会合で追加利上げを決定する可能性を排除しなかった。また為替変動も経済・インフレ見通しを策定する際に考慮するとして、円安が加速する場合には対応する姿勢を仄めかしたため、発言が伝わると円高反応がみられた。

欧州市場時間に入ると、ロシアがウクライナをICBMで攻撃したとの報道で金融市場全般がリスク回避型の反応を見せた。ロシアのプーチン大統領は21日、極超音速中距離弾道ミサイル攻撃を実施したと発表した。ウクライナが19日に米国製長距離ミサイルでロシア領内攻撃したのに続き、20日に英国製長距離巡航ミサイルを使ってロシア領内を攻撃したことへの反撃としたが、19日にプーチン大統領が核ドクトリンを改定してウクライナを軍事支援する欧米等を「核を含む攻撃対象」としたことで緊張が高まっている。ウクライナに対するロシアの中距離弾道ミサイルによる攻撃は初めてであり、双方の攻撃がエスカレートしていることで円、スイスフランはリスク回避的に買われ、ドルストレートではユーロ、ポンドが売られている。

【米経済指標まちまち】

米労働省による新規失業保険申請件数は11月16日までの週間で前週比6000件減の21万3000件となり、市場予想の22万件を下回り、2週連続の改善で4月以来の低水準となった。失業保険受給者総数は11月9日までの週間で190万8000人となり前週から3万6000人増加して2021年後半の高水準に近付いた
米フィラデルフィア連銀による11月製造業景況指数はマイナス5.5となり10月の10.3から大幅に低下して市場予想の8.0を大幅に下回った。新規受注は14.2から8.9へ悪化したが、雇用はマイナス2.2から8.6へ大幅に改善し、支払価格は29.7から26.6へ、受取価格は17.9から14.3へ低下し、6か月後見通しは36.7から56.6へ改善した。
米調査会社コンファレンス・ボードによる10月景気先行指数は99.5となり前月比0.4%低下して市場予想の0.3%低下を下回った。CBの担当者は「景気先行指数が下落した最大の要因は製造業の新規受注で、14業種のうち11業種で低水準が続いた」とし、足元の景気鈍化への懸念を示した。
不動産業者協会(NAR)による10月中古住宅販売件数(年換算)は前月比3.4%増の396万戸となり市場予想の393万戸を上回り、前年同月比は2.9%増で2021年7月以来の高い伸びとなった。

【米長期債利回りは概ね上昇、米主要株価指数は上昇】

11月21日の米長期債利回りはロシアによるウクライナへのミサイル攻撃報道で一時債券買い・利回り低下反応で低下したものの、新失業保険申請件数の改善や中古住宅販売の好調さを見て上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは0.01%上昇の4.42%、30年債利回りは横ばいで4.60%、政策金利動向に敏感な2年債利回りは0.03%上昇の4.35%だった。
米金利先物市場における12月FOMCでの利下げ期待は6割を切っており、利下げ見送りへの懸念が徐々に強まっている。
一方で米主要株価指数はまちまちだったが、NYダウは前日比461.88ドル高と大幅上昇して2連騰とし、トランプ政権発足後の法人減税、規制緩和等への期待による先高感が再び強まった。ナスダック総合指数は半導体大手ヌエビディアの決算が好調だったものの高い市場期待には届かなかったことで上げ渋りとなり前日比6.28ポイント高にとどまった。S&P500指数は前日比31.60ポイント高で18日から4連騰とした。
米国株高と米長期債利回りの高止まりはドル円にはプラスだが、目下はウクライナ情勢に対するリスク回避的な円買いと12月の日銀利上げを警戒した円高感が勝っている印象だ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は19日夕安値153.28円からの反騰が20日夜高値155.88円で一巡して下落期に入っている。目先の安値形成期は22日夕から26日夕にかけての間と想定されるのでまだ一段安余地ありとみるが、155円超えからは強気転換注意として155円台中盤への上昇を想定する。
11月19日夕安値割れを回避して押し目形成とし、20日夜高値を超えれば19日安値を起点とした上昇が二段目に入り新たな上昇チャンネル形成へ進むと思われるが、19日夕安値を割り込む場合は15日高値を起点とした二段目の下落期に入り、下落が長期化してゆく可能性が高まると注意したい。

60分足の一目均衡表では20日夜からの下落継続で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落した。22日午前序盤も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜けないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とするが、先行スパンを上抜くところからは上昇再開として遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は20日夜の70ポイント台から21日深夜に30ポイントを割り込み、その後も50ポイント以下にとどまっているのでまだ一段安余地ありとするが、55ポイント超えからは上昇再開とみて60ポイント台へ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、153.75円を下値支持線、155.00円を20日夜高値155.88円を上値抵抗線とする。
(2)154.70円以下での推移中は下向きとし、153.75円割れからは19日夕安値153.28円試しとする。19日夕安値割れを回避して154.50円を超えるところからは上昇再開とするが、19日夕安値割れからは153円割れを試す流れとみる。
(3)154.70円超えからは155円試しとする。155円手前では売られやすいとみるが、155円超えからは上昇継続とみて20日夜高値155.88円超えを目指す上昇を想定する。

【当面の予定】

11/22(金)
16:00 (英) 10月 小売売上高 前月比 (9月 0.3%、予想 -0.3%)
16:00 (英) 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 3.9%、予想 3.4%)
16:00 (独) 7-9月期 GDP改定値 前期比 (速報 0.2%、予想 0.2%)
16:00 (独) 7-9月期 GDP改定値 前年同期比 (速報 -0.2%、予想 -0.2%)
17:30 (独) 11月 HOCB製造業PMI速報値 (10月 43.0、予想 43.0)
17:30 (独) 11月 HOCBサービス業PMI速報値 (10月 51.6、予想 51.6)

17:30 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、講演
18:00 (欧) 11月 HOCB製造業PMI速報値 (10月 46.0、予想 46.0)
18:00 (欧) 11月 HOCBサービス業PMI速報値 (10月 51.6、予想 51.6)
18:30 (英) 11月 S&PG製造業PMI速報値 (10月 49.9、予想 50.0)
18:30 (英) 11月 S&PGサービス業PMI速報値 (10月 52.0、予想 52.0)
23:45 (米) 11月 S&PG製造業PMI速報値 (10月 48.5、予想 48.8)
23:45 (米) 11月 S&PGサービス業PMI速報値 (10月 55.0、予想 55.2)
24:00 (米) 11月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 73.0、予想 73.7)



注:ポイント要約は編集部

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