下落後に反発するなど底堅い動き。上昇トレンドの継続を想定
〇ドル円、米国時間午後にかけて、安値153.91まで下落後、154円台半ばに持ち直す
〇地政学的リスクの高まり、フィデルフィア連銀製造業景況指数等の米指標の不冴えが重石に
〇ユーロドル、ECB関係者のハト派発言、地政学的リスクの高まり等に一時1.0462まで急落
〇ドル円、主要テクニカルポイントの上で推移、強い買いシグナルも継続、地合い極めて強い
〇ファンダメンタルズも円キャリー活発化期待、トランプトレード本格化期待等がドル円をサポート
〇地政学リスクは「有事のドル買い」を引き起こす材料でもあり、ドル円相場のへの影響は限定的か
〇本日、植田総裁講演、米重要指標発表、FRB関係者発言予定され、終日ボラタイルな展開か
〇本日の予想レンジ:153.75ー155.75
海外時間のレビュー
21日(木)のドル円相場は下落後に持ち直す展開。アジア時間朝方にかけて、高値155.54まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの高まり(ロシアが大陸間弾道ミサイルのICBMを発射したとの観測報道)や、(2)日経平均株価の冴えない動き、(3)米金利低下に伴うドル売り圧力、(4)ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁による「金利はさらに低下する可能性がある」とのハト派的な発言、(5)米11月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(結果▲5.5、予想+8.0)の市場予想を下回る結果、(6)米10月景気先行指数(結果▲0.4%、予想▲0.3%)の市場予想を下回る結果が重石となり、米国時間午後にかけて、安値153.91まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、引けにかけて持ち直し、本稿執筆時点(日本時間11/22午前6時30分現在)では、154.50前後で推移しております。尚、昨日は植田日銀総裁より「12月会合までに多くのデータが出る。12月会合の結果を予測するのは不可能」「各会合ごとにデータを精査して判断する」との発言が見られましたが、市場の反応は限られました。
21日(木)のユーロドル相場は上値の重い展開。アジア時間朝方にかけて、高値1.0555まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)フランス中銀ビルロワドガロー総裁による「ECBは制約的な金融政策を解除し続けるべき」とのハト派的な発言や、(2)ギリシャ中銀ストゥルナラス総裁による「2%に達するまで会合ごとに利下げすべき」とのハト派的な発言、(3)ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの高まり、(4)ユーロ圏11月消費者信頼感速報値(結果▲13.7、予想▲12.4)の市場予想を下回る結果が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0462(昨年10/4以来の安値圏)まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/22午前6時30分現在)では、1.0475前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時153.91まで下げ幅を広げるも、引けにかけて154円台半ばを回復する底堅い動きとなりました(下値の堅さを再確認)。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの上側に位置していること(21日移動平均線や、ボリンジャーミッドバンドがサポートとして機能し続けていること)や、強い買いシグナルを示唆する「短期線と中長期線のゴールデンクロス」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、日米金利差に着目した円キャリートレードの継続期待(日銀による年内追加利上げ観測の後退+米FRBによる年内利下げ見送り観測の高まり→後者については、金利据え置きの織り込み度合が44.1%まで上昇中)や、トリプルレッド成立に伴うトランプ・トレードの本格化期待(インフレ再開リスク→米金利上昇・米ドル買い)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクが、リスク回避の円買いを通じて、ドル円を下押しするとの見方が燻っているものの、地政学的リスクは「リスク回避の円買い」と共に、「有事のドル買い」を引き起こす材料でもあるため、ドル円が一方的に下がり続ける可能性は低いと考えられます(リスク回避の円買いと有事のドル買いが綱引き状態となるため、ドル円相場のへの影響は限定的)。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米11月製造業PMI速報値、米11月非製造業PMI速報値、米11月ミシガン大消費者信頼感指数などが予定されております。
本日の予想レンジ:153.75ー155.75
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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