地政学リスクくすぶるも再びレンジの様相に
〇本日のドル円、当初下げ渋るも、夕方に底割れすると154円半ばへ続落
〇テクニカルには、153.28-155.89の値動きを想定
〇本日は要人発言、米11月フィラデルフィア連銀景況指数、新規失業保険申請件数等に要注目
〇ドル高・円安方向、本日東京高値155.45レベルが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向、本日東京安値154円半ばをめぐる攻防に注目
〇ドル円予想レンジ:154.10-155.50
<< 東京市場の動き >>
東京市場は一転してドルが弱含み。とくに終盤下げ足を速めている。
ドル/円は、寄り付いた155.40-45円を日中高値にドルが冴えない。しかし、当初はドルが下げ渋る展開で154円台にはなかなか定着できず。154.80円台で一時底堅さを醸したものの、夕方に底割れすると154円半ばへと続落。結局16時現在では、小戻した154.75-80円で推移し欧米市場を迎えている。
なお、植田日銀総裁がフォーラムで講演を行い、その内容が注視されていたが、為替や金融に直接言及するような内容は取り敢えず観測されていない。
一方、材料的に注視されていたものは「ウクライナ情勢」と「米金融政策」について。
前者は、先週末の「米国が方針転換しウクライナによる長射程兵器の使用を容認した」報道が引き続き物議を醸すなか、今度は新たに「米国防長官がウクライナに対人地雷を供与し、使用を容認すると述べた」と報じられていた。来年1月に発足するトランプ新政権ではウクライナ支援があてに出来ない状況化、現在のバイデン政権下で出来る支援はすべてやってしまおうという考えも透けて見える。一方、当のウクライナは前日の米国製長距離ミサイル使用に続き、今度は「ロシア領内の軍事目標に対し、英国製の長距離ミサイル・ストームシャドーを初めて発射した」と伝えられていた。
後者は、昨日欧米時間に目立った米経済指標の発表がないなか、米通貨当局者の発言が相次ぎ市場で思惑を呼んでいた。たとえば、クックFRB理事は「時間をかけて金利を下げるのが適切」、ボウマンFRB理事は「さらなる利下げには慎重な姿勢が必要」となる。そうしたなかブルームバーグは、ヘッジファンドのブリッジウォーターによる見解として「トランプ氏は利下げ認めるFRB議長選ぶ可能性がある」と報じていたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は19日に153.28円まで値を下げだが、そののち155.89円までの反発たどり、本稿執筆時は154円台後半だ。油断は禁物ながら、当初想定していたよりもやや広い153.28-155.89円という新レンジを形成しているようだ。ここ最近は154-155円台で推移しても、日本の当局から円安けん制発言が聞かれないか、あるいは聞かれてもトーンが非常に弱め。したがって居心地がよいレベルであり、段々と見慣れてきた感もある。
市場の関心は12月の日米金融政策発表に高い状況が続いている。そうした意味では、本日も発表される米経済指標や要人発言に注意を払いたい。一方、「ロシアの核恫喝」を受けた地政学リスクの高まりが波乱要因として取り沙汰されているものの、フランス外相が「プーチンの核の脅威発言はレトリックに過ぎない」と論破するなど、やや落ち着きを取り戻しつつあるようにも感じている。予断を許さないものの、リスク回避の動きは取り敢えず限定的なものにとどまりそうだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円は当初想定していた2円レンジより若干広くなったが、それでも結局のところレンジ取引。前述した2.61円レンジ内での値動きが基本的には予想されている。
とは言え、上抜けすれば当然156円台トライそして156円台乗せが予想される反面、底割れするようだと移動平均の21日線も下抜けることになり、下値リスクが高まりかねない。
本日は米経済指標として、11月のフィラデルフィア連銀景況指数や週間ベースの新規失業保険申請件数などが発表される予定となっている。また、前日に続き欧州が中心ではあるものの、通貨当局者の講演など発言機会も多く設定されているようだ。本日も一応注意しておきたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは154.10-155.50円。ドル高・円安方向は、本日東京高値に当たる155.45円レベルが最初の抵抗。しっかり超えると昨日高値155.89円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値の154円半ばをめぐる攻防に注目。下回ると154円、そして153円半ばを超えてきた移動平均の21日線が視界内に。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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