トルコリラ円見通し 円高に圧されて失速、三尊型形成の可能性も
〇昨日のトルコ円、ドル円下落と共に4.45へ下落、いったん4.49まで戻すも本日早朝はジリ安推移
〇対ドル、11/12は概ね34.56から34.24の取引レンジ、中銀金利据え置きへの反応は鈍い
〇市場は遅くても来年1Qでの利下げ開始を期待
〇4.44割れからは4.42前後への下落を想定
〇4.49超えからは4.50前後試しとする
【概況】
トルコリラ円の11月21日は概ね4.51円から4.45円の取引レンジ、22日早朝の終値は4.48円で前日終値の4.51円から0.03円の円高リラ安だった。
ドル円が19日夕安値153.28円から20日夜高値155.88円まで反騰した局面で、トルコリラ円は19日夕安値4.43円から4.52円まで戻したが、ドル円が下落に転じたために21日夕刻に4.45円へ下落し、いったん4.49円まで戻したものの22日早朝にかけてジリ安の推移となり、21日夕安値割れに余裕が乏しくなっている。
ドル円は日銀の植田総裁がパリ講演で12月追加利上げの可能性を排除しなかったこと、ウクライナ情勢の緊迫度が増していることによるリスク回避的な円の買い戻しで21日深夜に154円を割り込み、22日午前序盤も再び154円を割り込んで一段安へと進みかねない動きを見せている。
トランプ次期政権発足をにらんだ米長期債利回り上昇やユーロ、ポンド等の下落によるドルストレートでのドル高が支えだが、それよりも11月15日高値156.74円で当面のピークを付けて円高へ傾斜している印象もある。先週末からは繰り返し153円台を買われているため底固さを見せて155円台中盤へ戻して上昇再開感を示しているが、19日夕安値153.28円割れから下落継続感を高めるか試されるところだ。
トルコリラ円はウクライナ情勢緊迫化による金融市場全般のリスク回避感とトルコ周辺の地政学的リスク増大による圧迫感を持ちつつ、ドル円の騰落を慎重に追いかける展開だが、11月15日早朝高値を頭、11月7日高値と20日高値を両肩とした三尊型を形成する可能性もあると注意したい。
【ドル/トルコリラ、中銀金利据え置きへの反応は鈍い】
ドル/トルコリラの11月21日は概ね34.56リラから34.24リラの取引レンジ、22日早朝の終値は34.46リラで前日終値の34.44リラから0.02円のドル高リラ安だった。
11月15日に取引時間中の史上最安値を34.69リラへ大幅に更新し、終値ベースの最安値も15日から18日へ2営業日連続で更新したが、その後は最安値更新には至らずに34.45リラを挟んだ揉み合いとしている。
21日にトルコ中銀は政策金利を予想通りに据え置いたが市場の反応は限定的だった。
トルコ統計局による11月のトルコ消費者信頼感指数は79.8となり10月の80.6から若干低下しており、7月の75.9を底として3か月連続の改善にブレーキがかかった印象だ。100以下での低迷が続いている。
トルコ中銀が21日に発表した週次の外貨準備高は11月15日時点のグロスで940.9億ドルとなり11月8日時点の921.2億ドルを上回り、ネットでは590.6億ドルとなり11月8日時点の607.3億ドルから減少した。いずれも高水準を維持していることで海外投資家のトルコへの投資意欲を高めるものとなっているが、足元の景気低迷感が二の足を踏ませて年末にかけてのリラ安基調も崩れていない印象だ。
【トルコ中銀、予想通りに政策金利据え置き】
トルコ中銀は21日の金融政策決定会合で政策金利の週間レポレートを8会合連続で50%で据え置いた。中銀は声明で「インフレ基調が大幅かつ持続的に低下するまで金融引き締めを続ける」とした。
10月のトルコCPI上昇率は全体で48.58%と高いものの徐々に低下しているため、市場では早ければ12月の利下げ開始や遅くても来年第1四半期での利下げ開始を期待している。
しかし、1月1日からトルコ政府は最低賃金の引き上げを計画しており、賃金上昇によるインフレ再燃への警戒感を踏まえると利下げ判断に苦慮することも考えられる。カラハン中銀総裁は11月8日に「利下げを実施しても、他の手段で引き締めを維持する」姿勢も示しているため、利下げプラス金融機関の準備金等での引き締めを進めるケースも想定される。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月19日夕へ一段安してからの反騰で15日夜以降の下げ幅の大半を解消したため、20日午前時点では19日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとしたが、20日夜へ続伸してから反落したために21日午前時点では4.47円割れから弱気サイクル入りとした。
21日夕への下落時に4.47円を割り込み、その後も4.48円超えを売られているので20日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして22日午後から26日夕にかけての間への下落を想定する。強気転換には4.50円を超えて20日夜高値へ迫る上昇が必要と思われる。
60分足の一目均衡表では21日夕への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落し、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、両スパン揃って好転するところからは反騰継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は20日夜の上昇時に70ポイントを超えてから30ポイント台へ失速し、その後も50ポイント前後で売られて低調な推移のためまだ20ポイント台前半への低下余地ありとみるが、55ポイント超えからは上昇継続の可能性ありとみて60ポイント台への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.44円を下値支持線、4.49円を上値抵抗線とする。
(2)4.49円以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは一段安余地ありとし、4.44円割れからは4.42円前後への下落を想定する。4.42円以下は反騰注意とするが、4.47円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.49円超えからは4.50円前後試しとするが、ドル円の急上昇等なければ4.50円前後で戻り売りにつかまりやすいとみる。
【当面の主な予定】
11月22日
17:00 10月 海外観光客数 前年同月比 (9月 4.64%)
11月25日
16:00 11月 製造業信頼感指数 (10月 100.9)
16:00 11月 設備稼働率 (10月 74.9%)
11月28日
16:00 10月 貿易収支確報 (9月 -51.3億ドル)
16:00 11月 経済信頼感指数 (10月 98)
20:30 週次 外貨準備高 11/22時点 グロス(11/15時点 940.9億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 11/22時点 ネット(11/15時点 590.6億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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