トルコリラ円見通し ウクライナ情勢を意識して乱調な展開、昨夕の下落からは持ち直す(24/11/20)

トルコリラ円の11月19日は概ね4.49円から4.43円の取引レンジ、20日早朝の終値は4.48円で前日終値と同値だった。

トルコリラ円見通し ウクライナ情勢を意識して乱調な展開、昨夕の下落からは持ち直す(24/11/20)

ウクライナ情勢を意識して乱調な展開、昨夕の下落からは持ち直す

〇昨日のトルコ円、4.43まで安値切り下げるも11/20未明にかけて4.48まで持ち直す
〇午前序盤には4.49へ戻り高値を切り上げる
〇ドル高リラ安の進行に注意しつつ、慎重にドル円を追いかける展開
〇対ドル、11/19は概ね34.66から34.27の取引レンジ、下落一服の様相だが最安値近辺での推移続く
〇11/21の中銀会合は金利維持見通し、来年早々に利下げに踏み切る姿勢示す場合リラ売り招く可能性も
〇4.46上回るうちは上昇余地あり、4.50から4.51を試す上昇想定、4.50以上は反落注意
〇4.46割れからは下落再開を疑い11/19夕安値4.43試しを想定、4.44以下は反騰注意

【概況】

トルコリラ円の11月19日は概ね4.49円から4.43円の取引レンジ、20日早朝の終値は4.48円で前日終値と同値だった。
ドル円が11月15日午前に156.74円を付けて9月16日安値139.57円以降の最高値としてから急落に転じたため、トルコリラ円は15日早朝と16日午前に4.56円へ上昇してから下落に転じて16日未明に4.47円へ急落し、週明けの18日はドル円が18日夜へ上昇してから19日早朝にかけて失速したため、トルコリラ円は18日午前安値4.45円から夜高値4.50円まで戻してから19日早朝には4.46円へ失速した。
19日はドル円が夕刻に153.28円へ一段安した際に4.43円まで安値を切り下げたが、20日未明にかけてドル円が戻したのを見て4.48円まで持ち直し、20日午前序盤には4.49円へ戻り高値を切り上げている。

19日夕刻はドル円が下落する一方でユーロやポンド等も一時下げた。ウクライナ情勢の緊迫度が高まったことでリスク回避的に円が買われる一方でドルストレートではユーロやポンドが売られた印象だが、その後にやや緊迫度が薄れたことでユーロやポンドが戻してドル円も反発している。
ウクライナ情勢を巡ってまだ暫く乱調な展開となる可能性があり、リスク回避感が増す場合は米国債買い・米長期債利回り低下でドル円が下落しやすくなり、リスク回避感がやや後退して米国の利下げ休止や来年の利上げ可能性が高まる場合には米長期債利回り上昇でドル円もつれ高しやすくなる。
トルコリラ円としてはドル高リラ安の進行に注意しつつ、慎重にドル円を追いかける展開と思われる。

【ドル/トルコリラは最安値近辺での推移続く】

ドル/トルコリラの11月19日は概ね34.66リラから34.27リラの取引レンジ、20日早朝の終値は34.30リラで前日終値の34.52リラからは0.22リラのドル安リラ高だった。19日夕刻に34.66リラへ下落してからリラ買い戻し優勢となり、取引終了時の下落で前日比マイナスとした。
11月15日に取引時間中の史上最安値を34.69リラへ大幅に更新し、終値も2日ぶりに最安値更新とした。18日も2営業日連続の終値最安値としたところから下落一服の様相だが、ベンダーによっては安値34.72リラで取引時間中の史上最安値を更新し、終値を34.50リラとしているところもあり、15日への急落で8月28日以降の34.40リラ台を買い戻される持ち合いから下放れてリラ安が勢い付き始めている印象は変わらない。

為替市場全般は19日夕刻から20日早朝にかけて、ウクライナ情勢の緊迫化を巡り乱高下した。ロシア国防省は19日、ウクライナ軍が西部ブリャンスク州の軍事施設に対して米国製長距離地対地ミサイル「ATACMS」を撃ち込んだと発表、プーチン大統領は核兵器使用条件を示した核ドクトリンの改定に署名し、核攻撃の対象をウクライナを軍事支援する欧米に拡大することと示唆したが、ラブロフ外相が核戦争を避ける姿勢を示したことで緊迫感がやや抑えられた。

パレスチナを巡ってはレバノンのヒズボラがイスラエルとの停戦協議案に合意する姿勢と報じられているが、イスラエルが拒否姿勢のため、まだ暫くは先行き不安と泥沼化の継続感が残る。ウクライナ情勢もロシアの反撃や欧米のウクライナ支援状況次第では世界全体の地政学的リスク拡大につながりかねない。
トルコとしては中東とウクライナに近いため、特にウクライナ情勢が一段と悪化する場合には地政学的リスクを意識したリラ売りに見舞われる可能性も抱えていると注意したい。
当面は21日のトルコ中銀金融政策決定会合での政策金利維持見通しで安値更新を回避しやすいものの、中銀が来年早々にも利下げに踏み切る姿勢を示す場合にはリラ売りを招く可能性もあると注目したい。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月16日早朝への急落で弱気転換目安とした4.50円割れから続落したため、18日午前時点では15日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとしたが、18日午前に安値からいったん戻して失速したため、19日午前時点では18日午前安値割れからは新たな弱気サイクル入りとした。
19日夕へ一段安したものの、その後の反騰で15日夜以降の下げ幅の大半を解消したため、19日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして20日の日中から22日午前にかけての間への上昇を想定する。
乱調な展開も懸念されるので4.46円割れからは弱気転換注意として19日夕安値4.43円試しとする。

60分足の一目均衡表では20日午前への反騰で遅行スパンが好転して先行スパンへ潜り込んできたため、遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパン上限では売られやすいと注意するが、先行スパンを突破する場合は上昇が勢いを増す可能性もあると注意する。ただし遅行スパンが再び悪化するところからは戻り一巡による下落再開とみて安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は18日午前安値から19日夕安値への一段安に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられて60ポイント近辺へ反騰しているので、70ポイントを目指す上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下落再開とみて30ポイント割れを試す低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.46円を下値支持線、4.50円を上値抵抗線とする。
(2)4.46円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.50円から4.51円を試す上昇を想定する。4.50円以上は反落注意とするが、4.47円を上回っての推移なら21日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.46円割れからは下落再開を疑い19日夕安値4.43円試しを想定する。4.44円以下は反騰注意とするが、4.46円を下回っての推移なら21日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

11月20日
 23:30 10月 中央政府債務 (10月 8兆6490億リラ)
11月21日
 16:00 11月 消費者信頼感指数 (10月 80.6)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 週間レポレート (現状 50.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 11/15時点 グロス(11/8時点 921.2億ドル) 
 20:30 週次 外貨準備高 11/15時点 ネット(11/8時点 607.3億ドル)
11月22日
 17:00 10月 海外観光客数 前年同月比 (9月 4.64%)
11月25日
 16:00 11月 製造業信頼感指数 (10月 100.9)
 16:00 11月 設備稼働率 (10月 74.9%)



注:ポイント要約は編集部

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