トルコリラ円見通し 先週末の急落一服だが、ドル円の乱調推移と対ドルでのリラ安で上値重い(24/11/19)

トルコリラ円の11月18日は概ね4.50円から4.45円の取引レンジ、19日早朝の終値は4.48円で先週末終値と同値だった。

トルコリラ円見通し 先週末の急落一服だが、ドル円の乱調推移と対ドルでのリラ安で上値重い(24/11/19)

先週末の急落一服だが、ドル円の乱調推移と対ドルでのリラ安で上値重い

〇昨日のトルコ円、ドル円追いかけ午前安値4.45から夜高値4.50まで戻し、本日早朝は4.46へ失速
〇対ドル、11/18は概ね34.63から34.16の取引レンジ、11/19早朝の終値は34.52
〇11/21のトルコ中銀政策金利は据え置き予想、利下げ開始は年明け以降か
〇4.45割れからは4.44、4.43を順次試す下落を想定
〇4.50超えからは4.51前後への上昇を想定

【概況】

トルコリラ円の11月18日は概ね4.50円から4.45円の取引レンジ、19日早朝の終値は4.48円で先週末終値と同値だった。
ドル円が11月15日午前に156.74円を付けて9月16日安値139.57円以降の最高値としてから急落に転じたため、トルコリラ円も15日早朝と16日午前に4.56円へ上昇してから下落に転じて16日未明に4.47円へ急落し、4.48円で先週を終えていたが、週明けの18日はドル円が序盤に安値を切り下げてから日銀総裁会見を見ながら乱高下しつつ18日夜へ上昇してから19日早朝にかけて失速したため、トルコリラ円は18日午前安値4.45円から夜高値4.50円まで戻してから19日早朝には4.46円へ失速した。

米大統領選でのトランプ氏勝利によるドル高が緩んだことで為替市場全般がドル安へ風向きを変えつつある中、ドル円は156円台後半へ上昇したことによる高値警戒感、市場介入への警戒感と12月の日銀追加利上げの可能性が残るとして下落に転じた。
18日夜へ戻したことで18日午前安値から底上げをした上で18日夜高値を超えれば年末への円安継続感が優勢となりやすいが、18日午前安値を割り込む場合は15日午前高値からの下落が二段目に入り、12月17/18日の次回米FOMCと12月18/19日の次回日銀金融政策決定会合へ向けて円高基調で推移しやすくなると思われる。
トルコリラ円はドル円の大上昇にブレーキがかかった印象に加え、ドル/トルコリラが先週末から週明けへ2日連続で終値の最安値更新してリラ安が勢い付いていることもあり、ドル円の下落と共に4.45円を割り込む場合は下落が長引きやすくなると注意したい。

【ドル/トルコリラは終値の史上最安値を2日連続で更新】

ドル/トルコリラの11月18日は概ね34.63リラから34.16リラの取引レンジ、19日早朝の終値は34.52リラで先週末終値の34.42リラから0.10リラのドル高リラ安だった。
11月1日に34.42リラを付けて8月28日安値34.41リラから取引時間中の史上最安値を更新した後を下げ渋っていたが、11月12日から13日へ2日連続で終値の最安値を更新し、15日には取引時間中の史上最安値を34.69リラへ大幅に更新してから戻したものの終値も2日ぶりに最安値更新とした。
18日は取引時間中の最安値更新には至らなかったものの2営業日連続で終値の最安値を更新しており、15日からリラ売りの勢いが強まっている印象だ。

為替市場全般はトランプ・ラリーによるドル高に一服感がみられて18日はユーロ、ポンド、豪ドル等が戻し、メキシコペソや南アランドも対ドルで上昇したが、トルコリラへの買い意欲は低いままだった。
海外観光客収入の増加により4か月連続で経常収支を黒字としたこと、外貨準備高の増加傾向、S&Pによるトルコ格付けの引き上げ、高インフレ抑制のための金融引き締め継続等によりリラへの信頼感を増したいところだが、トルコの鉱工業生産等の実体経済の弱さが抜けきれないことで年末にかけてのリラ安継続感が払拭できずにいる印象だ。

【11月21日のトルコ中銀政策金利は据え置き予想】

今週は11月21日のトルコ中銀金融政策決定会合に関心が集まる。
トルコ中銀は政策金利の週間レポレートを2023年5月の8.5%から2024年3月の50%まで連続利上げを行い、その後も50%での据え置きを続けてきた。今月も50%で据え置きとの予想で衆目が一致している。
11月8日に発表された中銀の四半期インフレ報告では、CPI上昇率見通しを2024年末で44.0%として前期予想の38%から上方修正し、2025年末についても21%として前期予想の14%からから上方修正とし、カラハン中銀総裁は「インフレ鎮静化のための引き締め政策を続ける」とした。
市場予想では、今年9月時点では10-12月期に利下げ開始と期待していたが、直近では利下げ開始は年明け以降へとずれ込むと予想されている。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月13日夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとしていたが、16日早朝への急落で弱気転換目安とした4.50円割れから続落したため、18日午前時点では15日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。
18日午前に安値を切り下げてからいったん4.50円まで戻して19日早朝へ失速したため、18日午前安値割れからは新たな弱気サイクル入りとするのを妥当とみて18日午前安値を直近のサイクルボトムとする。底割れ回避の内は上昇余地ありとするが、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして21日午前から25日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では16日早朝への大幅下落により遅行スパンが悪化して先行スパンからも大きく転落したが、その後も先行スパンからの転落状態が続いているため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。強気転換は18日夜高値超えからとし、その際は遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンを下回るうちは下落基調を続けやすいとみる。

60分足の相対力指数は16日早朝にに30ポイントを割り込んでから50ポイントまで戻したものの19日午前へ失速気味のため再び20ポイント台を試す下落余地ありとする。強気転換は55ポイント超えからとし、その際は60ポイント台中盤への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.45円を下値支持線、4.50円を上値抵抗線とする。
(2)4.48円以下での推移中は下向きとし、4.45円割れからは4.44円、4.43円を順次試す下落を想定する。4.43円前後は買われやすいとみるが、4.48円を下回っての推移なら20日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.49円から4.50円までを戻り売り有利とするが、4.50円超えからは4.51円前後への上昇を想定する。

【当面の主な予定】

11月20日
 23:30 10月 中央政府債務 (10月 8兆6490億リラ)
11月21日
 16:00 11月 消費者信頼感指数 (10月 80.6)
 16:00 トルコ中銀 政策金利 週間レポレート (現状 50.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 11/15時点 グロス(11/8時点 921.2億ドル) 
 20:30 週次 外貨準備高 11/15時点 ネット(11/8時点 607.3億ドル)
11月22日
 17:00 10月 海外観光客数 前年同月比 (9月 4.64%)
11月25日
 16:00 11月 製造業信頼感指数 (10月 100.9)
 16:00 11月 設備稼働率 (10月 74.9%)


注:ポイント要約は編集部

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