ドル円の急落と対ドルでのリラ安で失速、9月以降の上昇継続か試される
〇トルコ円、ドル円下落追いかけ11/15夕刻4.50へ失速、11/16早朝安値で一時4.47へ一段安
〇11/18午前序盤、一時4.45へ安値を切り下げてから4.49へ戻すなど乱調な取引開始
〇対ドル、11/15は概ね34.69から34.11の取引レンジ、取引時間中及び終値の史上最安値更新
〇トルコ中銀ビジネスサーベイ、2024年末の見通しは1ドル35.7205リラと前月よりドル安リラ高へ修正
〇政策金利の3か月後は45.38%、向こう1カ月以内に5%ないし2.5%の利下げあり得るとする
〇4.45割れからは4.44、4.43順次試す下落想定、4.48下回って推移なら11/19も安値試しへ向かいやすい
〇4.49から4.50までを戻り売り有利とするが、4.50超えからは4.51前後への上昇を想定
【概況】
トルコリラ円の11月15日は概ね4.55円から4.47円の取引レンジ、16日早朝の終値は4.48円で前日終値の4.55円から0.07円の円高リラ安だった。
米大統領選でのトランプ氏勝利見通しとFOMC追加利下げによる乱高下を通過してドル円が8日夜安値を起点として一段高へ進み、15日午前に156.74円を付けて9月16日安値139.57円以降の最高値としたが、トランプ・ラリーによる円売りドル買い一巡と市場介入への警戒感から夕刻に155円台序盤へ下落し、15日の米経済指標を通過して16日早朝に153.86円まで下げた。
トルコリラ円はドル高を追いかけて15日早朝に4.56円へ上昇して9月16日の史上最安値4.11円以降の最高値とし、15日早朝のドル高リラ安時に4.50円までいったん下げた後にも4.56円へ戻していたが、ドル円が下落に転じたために15日夕刻に4.50円へ失速し、16日早朝安値で一時4.47円へ一段安した。18日午前序盤には一時4.45円へ安値を切り下げてから4.49円へ戻すなど乱調な取引開始となった。
ドル円の急落が買い方の利食い売りと高値をつかんだ売り方の狼狽売りが集中したことによる一時的急落に留まるのか、9月16日以降の上昇基調が崩れて失速したのか、週明け序盤の動向で見極める必要があるが、ドル/トルコリラが15日に史上最安値を更新したこともあり、ドル円が続落する場合には円高とリラ安の両面から圧し下げられる可能性もあると注意したい。
当面、ドル円とトルコリラ円が共に15日の大陰線に対して中心値を超える上昇を見せる場合は、一時的急落を消化した上昇再開と仮定し、共に19日を続落陰線で下げる場合は下落が長引く可能性ありと切り分けたい。
【ドル/トルコリラは取引時間中及び終値の史上最安値更新】
ドル/トルコリラの11月15日は概ね34.69リラから34.11リラの取引レンジ、16日早朝の終値は34.42リラで前日終値の34.32リラから0.10リラのドル高リラ安だった。
11月1日に34.42リラを付けて8月28日安値34.41リラをわずかに超えて取引時間中の史上最安値を更新し、終値では1日の34.30リラから4日の34.33リラへ2営業日連続で最安値を更新してからいったん下げ渋ったが、12日から13日へ連日の終値最安値更新とし、15日は取引時間中の史上最安値を34.69リラへ大幅に更新してから戻したものの、終値も2日ぶりに最安値更新とした。
週間では11月8日終値34.04リラから0.38リラのドル高リラ安、月間では11月15日終値時点で10月末の34.25リラから0.17リラのドル高リラ安だった。
米大統領選でのトランプ氏勝利と与党共和党が上下院過半数を制したことにより、大型法人減税や関税強化、歳出増によるインフレ再燃が懸念されて米長期債利回りが上昇して為替市場ではドル高優勢の流れが続いている。15日はドル円が急落したものの、9月後半からのユーロやポンド、豪ドル、南アランド、メキシコペソ下落基調が続いており、トルコリラに対しても売り圧力が増しているようだ。
【トルコ中銀ビジネスサーベイ 年末レートを1ドル35.7205リラと想定】
11月15日にトルコ中銀が公表した月次のビジネスサーベイ(エコノミストや企業トップによる予想集計)では、2024年末CPI上昇率を44.81%として前月の44.11%から上方修正、12か月後CPIは27.20%で前月の27.44%から下方修正された。2024年通年のGDPは3.1%で前月と変わらず、経常赤字は141億ドルで前月の202億ドルから下方修正された。
2024年末のドル/トルコリラについては35.7205リラとされて前月の36.6347リラからドル安リラ高へ修正され、5月集計時の38.7771リラからはリラ安の程度が縮小されてきたが、現状の34リラ台中盤からさらにリラ安が続くとの見方は変わらない。
政策金利については3か月後で45.38%(前月は46.26%)で向こう1カ月以内に5%ないし2.5%の利下げがあり得るとし、12か月後については30.84%(前月の31.64%)前後へ利下げが継続してゆくと見込んでいる。
【財務相、2025年後半からの景気回復に自信示す】
トルコのシムセク財務相は15日の議会予算審議において、インフレ圧力の緩和と世界経済情勢の改善によりトルコは2025年後半から経済回復が見込まれると述べた。エルドアン大統領は財務省による経済戦略を強く支持しているとし、「トルコにおける最大の問題はマクロ経済の不均衡と高インフレ」とし、「物価安定を確保するためなら何でもやる」、「金融政策の遅延効果が今後数カ月でより顕著になる」と述べた。また、「構造改革が競争力と成長力を高める」、「外貨準備高増強を支援し、対外債務の持続可能性を強化するために経常収支赤字をGDPの2%未満に維持することを目指す」とした。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月8日夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして12日午前から14日午前にかけての間への上昇を想定していたが、13日夜にいったん下げてから一段高したため、14日午前時点では13日夜安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして18日の日中から20日の日中にかけての間への上昇を想定した。
15日午前時点では4.50円割れから弱気サイクル入りとしたが、16日早朝への急落で4.50円割れから4.47円へ続落したため、15日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして18日夜から20日夜にかけての間への下落を想定する。強気転換は4.51円超えからと考える。
60分足の一目均衡表では16日早朝への大幅下落により遅行スパンが悪化して先行スパンからも大きく転落したため、遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。26本基準線が抵抗線となりやすいと注意し、先行スパンからの転落中は遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とする。
60分足の相対力指数は16日早朝への下落で一時30ポイントを割り込んだ。50ポイント以下での推移中は一段安余地ありとするが、相場が一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられる場合は反騰注意とし、50ポイント超えからは60ポイント台を目指す上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.45円を下値支持線、4.50円を上値抵抗線とする。
(2)4.45円割れからは4.44円、4.43円を順次試す下落を想定する。4.43円前後は買われやすいとみるが、4.48円を下回っての推移なら19日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.49円から4.50円までを戻り売り有利とするが、4.50円超えからは4.51円前後への上昇を想定する。
【当面の主な予定】
11月20日
23:30 10月 中央政府債務 (10月 8兆6490億リラ)
11月21日
16:00 11月 消費者信頼感指数 (10月 80.6)
20:00 トルコ中銀 政策金利 週間レポレート (現状 50.0%)
20:30 週次 外貨準備高 11/15時点 グロス(11/8時点 921.2億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 11/15時点 ネット(11/8時点 607.3億ドル)
11月22日
17:00 10月 海外観光客数 前年同月比 (9月 4.64%)
11月25日
16:00 11月 製造業信頼感指数 (10月 100.9)
16:00 11月 設備稼働率 (10月 74.9%)
注:ポイント要約は編集部
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