ドル円 基本はドル高だが、上値を積極的に追い難い(週報11月第3週)

先週のドル/円相場は小幅に続伸。ザラ場ベースでは7月23日以来の高値、156.76円を示現したものの、さすがにそのレベルは維持出来なかった。

ドル円 基本はドル高だが、上値を積極的に追い難い(週報11月第3週)

基本はドル高だが、上値を積極的に追い難い

〇先週のドル円、寄り付き152.60レベルを週間安値に上昇、一時156.76を示現
〇好調な米指標結果、パウエル議長の利下げを急がないとする発言がドルを支援
〇終盤は調整の動きもあり週間高値から2円以上下落し、154.40前後で越週
〇今週は米PMI、本邦10月消費者物価指数、要人発言等に要注意
〇ドル高・円安方向、155円が最初の抵抗か、抜ければ156円台回復も
〇ドル安・円高方向、先週安値153.86をめぐる攻防にまずは注目
〇ドル円予想レンジ:152.00-156.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は小幅に続伸。ザラ場ベースでは7月23日以来の高値、156.76円を示現したものの、さすがにそのレベルは維持出来なかった。

前週末は、イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘をめぐり、停戦交渉を仲介するカタールが仲介の一時停止を発表し物議を醸す。一方、トランプ次期米大統領がプーチン露大統領と電話会談し、ウクライナでの戦争を拡大しないよう忠告したと伝えられていた。
そうした状況下、ドル/円は寄り付いた152.60円レベルが結果として週間安値となり、ドルは小じっかり。実際、細かな上下動をたどりつつ、上方向の抵抗を次々に上抜けし、一時は高値156.76円を示現している。しかし、最終盤に掛けてはドル買いも息切れ。週末らしい調整の動きなどに押されると、あっという間に2円以上も下落。結局、週末NYは154.40円前後で取引を終えている。
なお、暗号資産(仮想通貨)ビットコインは週間を通して堅調裡。連日最高値を更新するような展開のなか、一時93000ドル台も。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米次期政権人事」と「米金融政策」について。
前者は、トランプ次期政権における組閣人事が思惑を呼ぶ。「重用確実」とされながら、具体的な役職は決まっていなかったテスラのマスク氏について、新設される「行政効率化省」トップに起用するとトランプ氏自身が発表した。また、国防長官には陸軍州兵出身でFOXニュースのヘグセス氏、国務長官にルビオ上院議員の指名−−などが次々と明らかになっている。全体的な印象としては「対中強硬派」かつ、「親イスラエル派」の起用が目に付く格好で、実際どういった行動に出るのか注目だ。なお、そうしたなかいわゆる「身体検査」が甘かったのか、早速「国防長官候補ヘグセス氏に性的暴行疑惑」が浮上し、物議を醸していたようだ。一方、金融市場の関心が高い財務長官人事は難航している感があり、本稿執筆段階でまだ特定の名前が発表されていない。

対して後者は、13日に発表された米消費者物価指数が事前予想通りの内容になったことに続き、14日発表された同生産者物価指数は予想を上回る結果に。また、雇用指標の米新規失業保険申請件数もわずかながら、予想より改善した内容だった。発表される米指標の好数字が続くなか、パウエルFRB議長は講演で「米国経済は利下げを急ぐ必要があるというシグナルを発していない」と発言したことが市場で大いに話題となっていた。市場では「追加利下げ」を見込む向きが大勢だったが、パウエル発言が冷や水を浴びせる結果に。為替市場においてはドルの支援要因となり、前述したようにドル/円相場が156円台後半まで値を上げる一助となったことは間違いない。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場は先週7月23日以来の高値、156.76円を示現したと考えると、基本的なリスクはドル高方向か。実際、高値161.96円を起点としたフィボナッチで考えると、下げ幅の76.4%戻し(156.65-70円)をすでに上抜けており、ターゲットは100%戻ししか残っていない。しかしながら、先週末のNY時間にドルはあまりに簡単に2円以上も値を下げており、ドルの上値の重さが改めて取り沙汰されているようだ。日本当局の動きも気になるところで、正直あまり上値を買いたくないところだ。

先月末から今月初めに、日米中銀がそれぞれ金融政策を発表した。それを踏まえたうえで、市場では日本が「12月に利上げ実施」、米国も「12月に追加利下げ」を予想する向きが取り敢えず大勢だったが、後者については先で取り上げたようにパウエル発言で市場の見方が揺らいでいるようだ。引き続きドルの支援要因となりそうだが、発表される米指標の内容如何では市場の思惑も変化しかねない。指標や発言に一喜一憂する展開は基本的に今週も継続か。また地政学リスクの高まりや、日米を中心とした各国政治情勢も場合によっては波乱要因に。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場はなかなか悩ましい。基本的なリスクはドル高方向だが、上値も重く少なくとも一方的なドル高進行は見込みにくい状況だ。
とは言え、ドルがさらに大きく下落する展開も果たしてどうか。移動平均の21日線が今週153円台へとしっかりと乗せてきそうで、それがまずはサポートとして機能する公算が大きい。また仮に下回っても、151.90円前後に位置する同200日線をしっかりと割り込む展開は見込みにくいだろう。

そうしたなか今週は、11月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数や同製造業PMI速報値などの米経済指標が発表される予定なっている。また、それとは別に日本の10月消費者物価指数の発表なども予定されており、こちらも一応要注意。一方、政治要因としては、週明けに予定されているG20首脳会議の行方も気掛かりだ。

そうしたなか今週は、11月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数や同製造業PMI速報値などの米経済指標が発表される予定なっている。また、それとは別に日本の10月消費者物価指数の発表なども予定されており、こちらも一応要注意。一方、政治要因としては、週明けに予定されているG20首脳会議の行方も気掛かりだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、152.00-156.00円。ドル高・円安については、先週末意外にあっさり割り込んでしまった155円が最初の抵抗か。抜ければ156円台回復も。
対してドル安・円高方向は、先週安値153.86円をめぐる攻防にまずは注目。下回ると21日線が次のターゲットに。

基本はドル高だが、上値を積極的に追い難い

ドル円日足


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