ドル円、植田総裁によるハト派発言を受けて反発。懸念されていたタカ派メッセージは見られず(11/19朝)

週明け18日(月)のドル円相場は堅調な値動き。

ドル円、植田総裁によるハト派発言を受けて反発。懸念されていたタカ派メッセージは見られず(11/19朝)

植田総裁によるハト派発言を受けて反発。懸念されていたタカ派メッセージは見られず

〇ドル円、東京時間の植田総裁のハト派的発言、米金利上昇等に米国時間に155.36まで上昇
〇買い一巡後はポジション調整、米金利上昇幅縮小に154円台後半での動き
〇ユーロドル、急ピッチな下落への反動買い、欧州債利回り上昇等により1.05台後半に上昇堅調推移
〇ドル円、主要テクニカルポイントの上で推移、強い買いシグナルも継続、地合い極めて強い
〇日銀の年内追加利上げ観測、FRBの利下げ観測がともに後退しドル円をサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:154.00ー156.00

海外時間のレビュー

週明け18日(月)のドル円相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値153.84まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、(1)植田日銀総裁による「利上げタイミング、先行きの経済・物価・金融情勢次第」「毎回会合で経済・物価評価や見通しをアップデートし政策を判断する」との真新しさに欠ける発言(ややハト派寄りの発言)や、(2)上記1を背景とした円ショートの再構築(円安阻止を目的に一部で植田総裁よりタカ派的なメッセージが出てくるのではないかと懸念されていたが、結果的に踏み込んだ発言が出てこなかったため、安堵感から円キャリートレード再開)、(3)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支えとなり、米国時間155.36まで上昇しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)急ピッチな上昇に対する反動売り(ポジション調整)や、(5)米長期金利の上昇幅縮小が重石となり、本稿執筆時点(日本時間11/19午前2時25分現在)では、154.85前後で推移しております。尚、昨日発表された米11月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(結果46、予想42)は市場予想を上回る結果となりましたが、ドル買いでの反応は限られました。

週明け18日(月)のユーロドル相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値1.0530まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)急ピッチな下落に対する反動買い(ユーロドル相場は11/6に記録した高値1.0937をトップに反落に転じると、約1週間後の11/14に一時1.0496まで大幅下落)や、(2)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力、(3)ユーロ圏9月貿易収支(結果136億ユーロ黒字、予想77億ユーロ黒字)の市場予想を上回る結果が支えとなり、米国時間朝方にかけて、高値1.0589まで上昇しました。

引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間11/19午前2時25分現在)では、1.0580前後で推移しております。尚、昨日はドイツ連銀ナーゲル総裁による「地経学的分断化の兆候がますます明らかとなってきている」との発言や、デギンドスECB副総裁による「リスクはインフレから成長へと移行した」との発言、アイルランド中銀マクルーフ総裁による「インフレは軌道に乗っており12月会合の決定はデータ次第」との発言、ギリシャ中銀ストゥルナラス総裁による「ECBによる利下げが複数回行われると予想」との発言などが見られましたが、市場の反応は限られました。

本日の見通し

ドル円は155円台を回復するなど持ち直す動きとなりました。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの上側に位置していること(先週末の下落局面においても最初の関門である一目均衡表転換線で確りとサポートされた後に反発→下値の堅さを再確認)や、強い買いシグナルを示唆する「21日線と90日線のゴールデンクロス」「21日線と200日線のゴールデンクロス」「指数平滑移動平均線ベースの強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、日米金利差に着目した円キャリートレードの継続期待(ドル買い・円売り)や、トリプルレッド成立に伴うトランプ・トレードの本格化期待(米金利上昇・米ドル買い)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。特に前者(日米金利差)については昨日の植田総裁発言が無風通過(ややハト派寄りの内容)に留まったことから、日銀による年内追加利上げ観測が後退している他(QUICK社が11/18に発表した月次調査によると、日銀が12月会合で追加利上げを「実施しない」との回答が67%へ上昇)、米国に関しても、堅調な米経済データやトランプ政権下でのインフレリスクなどの影響で、追加利下げ観測が後退しつつあります。

事実、野村グループは昨日「来月予定されているFOMCで追加利下げが見送られるとの見解」を発表しました。政府・日銀による為替介入も当面実施されない可能性が高いと思われることから、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米10月住宅着工件数や、米10月建設許可件数、米レッドブック週間小売売上高などが予定されております。

本日の予想レンジ:154.00ー156.00

注:ポイント要約は編集部

植田総裁によるハト派発言を受けて反発。懸念されていたタカ派メッセージは見られず

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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