植田総裁によるハト派発言を受けて反発。懸念されていたタカ派メッセージは見られず
〇ドル円、東京時間の植田総裁のハト派的発言、米金利上昇等に米国時間に155.36まで上昇
〇買い一巡後はポジション調整、米金利上昇幅縮小に154円台後半での動き
〇ユーロドル、急ピッチな下落への反動買い、欧州債利回り上昇等により1.05台後半に上昇堅調推移
〇ドル円、主要テクニカルポイントの上で推移、強い買いシグナルも継続、地合い極めて強い
〇日銀の年内追加利上げ観測、FRBの利下げ観測がともに後退しドル円をサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:154.00ー156.00
海外時間のレビュー
週明け18日(月)のドル円相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値153.84まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、(1)植田日銀総裁による「利上げタイミング、先行きの経済・物価・金融情勢次第」「毎回会合で経済・物価評価や見通しをアップデートし政策を判断する」との真新しさに欠ける発言(ややハト派寄りの発言)や、(2)上記1を背景とした円ショートの再構築(円安阻止を目的に一部で植田総裁よりタカ派的なメッセージが出てくるのではないかと懸念されていたが、結果的に踏み込んだ発言が出てこなかったため、安堵感から円キャリートレード再開)、(3)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支えとなり、米国時間155.36まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)急ピッチな上昇に対する反動売り(ポジション調整)や、(5)米長期金利の上昇幅縮小が重石となり、本稿執筆時点(日本時間11/19午前2時25分現在)では、154.85前後で推移しております。尚、昨日発表された米11月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(結果46、予想42)は市場予想を上回る結果となりましたが、ドル買いでの反応は限られました。
週明け18日(月)のユーロドル相場は堅調な値動き。アジア時間朝方にかけて、安値1.0530まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)急ピッチな下落に対する反動買い(ユーロドル相場は11/6に記録した高値1.0937をトップに反落に転じると、約1週間後の11/14に一時1.0496まで大幅下落)や、(2)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力、(3)ユーロ圏9月貿易収支(結果136億ユーロ黒字、予想77億ユーロ黒字)の市場予想を上回る結果が支えとなり、米国時間朝方にかけて、高値1.0589まで上昇しました。
引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間11/19午前2時25分現在)では、1.0580前後で推移しております。尚、昨日はドイツ連銀ナーゲル総裁による「地経学的分断化の兆候がますます明らかとなってきている」との発言や、デギンドスECB副総裁による「リスクはインフレから成長へと移行した」との発言、アイルランド中銀マクルーフ総裁による「インフレは軌道に乗っており12月会合の決定はデータ次第」との発言、ギリシャ中銀ストゥルナラス総裁による「ECBによる利下げが複数回行われると予想」との発言などが見られましたが、市場の反応は限られました。
本日の見通し
ドル円は155円台を回復するなど持ち直す動きとなりました。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの上側に位置していること(先週末の下落局面においても最初の関門である一目均衡表転換線で確りとサポートされた後に反発→下値の堅さを再確認)や、強い買いシグナルを示唆する「21日線と90日線のゴールデンクロス」「21日線と200日線のゴールデンクロス」「指数平滑移動平均線ベースの強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、日米金利差に着目した円キャリートレードの継続期待(ドル買い・円売り)や、トリプルレッド成立に伴うトランプ・トレードの本格化期待(米金利上昇・米ドル買い)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。特に前者(日米金利差)については昨日の植田総裁発言が無風通過(ややハト派寄りの内容)に留まったことから、日銀による年内追加利上げ観測が後退している他(QUICK社が11/18に発表した月次調査によると、日銀が12月会合で追加利上げを「実施しない」との回答が67%へ上昇)、米国に関しても、堅調な米経済データやトランプ政権下でのインフレリスクなどの影響で、追加利下げ観測が後退しつつあります。
事実、野村グループは昨日「来月予定されているFOMCで追加利下げが見送られるとの見解」を発表しました。政府・日銀による為替介入も当面実施されない可能性が高いと思われることから、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米10月住宅着工件数や、米10月建設許可件数、米レッドブック週間小売売上高などが予定されております。
本日の予想レンジ:154.00ー156.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.18
東京市場のドルは154円台での推移、植田日銀総裁発言を消化する地合いに(24/11/18)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、植田日銀総裁の講演内容を巡って上下に動く場面も見られたが、売買一巡後は154円台での推移となった。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.18
ドル円 上下とも動きにくく、新レンジ形成も(11/18夕)
週明けの東京市場は荒っぽい値動き。要人発言などに右往左往する展開ながら、しっかりとした方向性は定まらなかった。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:山中 康司
2024.11.18
ドル円 短期高値を見て下方向の調整が続きやすい(週報11月第3週)
先週のドル円は週初から金曜東京朝方までは着実にドル買いが進行する流れが続きました。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。