短期高値を見て下方向の調整が続きやすい
〇先週のドル円、投機筋が円売りポジション積み上げる中で短期筋も動きに乗り、ドル買い進行する流れ
〇株式市場では週初に高値をつけて以降は調整の売り目立つ、リスクオフの円買い戻しも無視できない状況
〇ドル高見通しが織り込まれすぎる中で、ドル高牽制発言で思いのほか下げる可能性に要注意
〇年初来高値と9月安値の78.6%戻し157.16手前で反落、下方向の調整が続きやすい状態
〇今週は152.50レベルをサポートに155.25レベルをレジスタンスとする流れを見る
今週の週間見通し
先週のドル円は週初から金曜東京朝方までは着実にドル買いが進行する流れが続きました。材料としては米金利上昇に沿った動きと言ってしまうのは簡単ですが、投機筋が着実に円売りポジションを積み上げている中で短期筋もその動きに乗った展開だったと言えます。ただ金曜には週末を控えて短期筋はいったんポジションを手仕舞う動きとなったことから下押ししての引けになったと考えられます。
大統領選を前にトランプ前大統領が優勢と見られる動き以降はトランプ・トレードと言われるドル買いの動きが続いていますが、関税強化も法人減税も1月20日に就任して以降に動きが出てくるものであり、現時点ではやや織り込みが早過ぎたことも金曜の調整につながったと言えますが、株式市場では先週初に高値をつけて以降は調整の売りが目立ち、この動きからはリスクオフの円買い戻しも無視できない状況にあります。当面は152〜155円を中心レンジとする値動きが続くと見ていますが、先週も書いた通りでドル高見通しが織り込まれすぎる中で、もしドル高牽制発言が出ると思いのほか下げる可能性もあるという点には注意が必要でしょう。
今週はどちらかというと欧州関連の経済指標や要人発言で重要なものが多く、米国関連では重要度が中レベルのものしかありませんので、米金利上昇の動きがいつ止まるのか、また株式市場の調整が今後も続くのかを見極めながら、引き続き大きくは方向感が出にくい展開が続くものと見られます。
テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
中期的な流れが9月安値からの上昇トレンド(ピンクの平行チャンネル)であることは先週と変わりませんが、先週のようにサポートに接したところから再び反発するのかとなると、そろそろ中期的な調整の動きが出て来てもおかしくはありません。年初来高値と9月安値との78.6%戻し157.16の手前で反落している動きから、現在は下方向の調整が続きやすい状態にあると見ています。
水準としては61.8%の153.40手前で反発しているので、下も底堅く見えますが、大統領選前の水準であった152〜153円というあたりが今週はサポートとなり、155円よりも上では戻り売りが出てくる流れでしょうか。今週は152.50レベルをサポートに155.25レベルをレジスタンスとする流れを見ておこうと思います。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
11月18日(月)
10:05 植田日銀総裁講演
17:00 デギンドスECB副総裁講演 ☆
17:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
19:00 ユーロ圏9月貿易収支
22:00 レーンECB理事講演 ☆
24:00 米国11月NAHB住宅指数
24:00 (シカゴ連銀総裁講演)
27:30 ラガルドECB総裁講演 ☆
**:** G20サミット(〜19日)
11月19日(火)
17:30 エルダーソンECB理事講演 ☆
19:00 ユーロ圏10月CPI
22:30 米国10月住宅着工 ☆・建築許可
11月20日(水)
08:50 本邦10月貿易収支(通関)
16:00 ドイツ10月PPI
16:00 英国10月CPI ☆
19:00 ユーロ圏9月建設支出
24:30 週間原油在庫統計
25:00 英中銀副総裁講演
11月21日(木)
14:10 植田日銀総裁講演 ☆
16:45 フランス11月企業景況感
17:30 オーストリア中銀総裁講演
18:00 スペイン中銀総裁講演
22:30 米国新規失業保険申請数
22:30 米国11月フィラデルフィア連銀製造業景況指数 ☆
24:00 ユーロ圏11月消費者信頼感速報値 ☆
24:00 米国10月景気先行指数、中古住宅販売
11月22日(金)
08:30 本邦10月CPI ☆
09:01 英国11月消費者信頼感
16:00 ドイツ7〜9月期GDP改定値
16:00 英国10月小売売上高
17:15 フランス11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 ラガルドECB総裁講演 ☆
17:30 ドイツ11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 英国11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
22:00 ドイツ連銀総裁、フランス中銀総裁講演 ☆
23:45 米国11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
24:00 米国11月ミシガン大消費者信頼感
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
11月11日(月)
週明けのドル円は日経平均が堅調な動きでスタートしたこともあってリスクオンの円安地合いが続きました。NY朝方には153.95レベルまで高値を切り上げましたが、米国が休日となっていたこともあってNY市場では高値圏のもみあいが続き、ほとんど動きは見られませんでした。
11月12日(火)
ドル円は東京市場では上下に動きながらも高値圏でのもみあいが続きましたが、米金利が上昇する動きとともにドル買いが強まり、先週高値を上抜けたことでNY市場昼過ぎには154.92レベルまで上伸し、若干押しての引けとなりました。
11月13日(水)
ドル円は前日の流れを受けて東京市場から続伸の流れとなり、東京後場には155円の大台乗せ。その後NY市場までは調整が続き、予想通りのCPI発表直後には154.34レベルの安値をつけました。しかし、直後から米金利が上昇に転じた事で引けにかけて155.62レベルまで上値を伸ばし高値圏での引けとなりました。
11月14日(木)
ドル円は前日CPI後のドル買いの流れが続き東京昼過ぎには156円台乗せ、その後NY市場までは高値圏でのもみあいが続きました。引け間際にパウエルFRB議長の利下げを急ぐ必要はないとの発言を受け、156.42レベルと高値を更新し、若干押しての引けとなりました。
11月15日(金)
ドル円は前日引け間際のパウエルFRB議長発言が尾を引いて朝方に156.74レベルまで上値を広げました。東京後場の早い時間帯までは156円台半ばの高値もみあいを続けましたが、欧州市場序盤以降週末前のポジション調整が強まり、またNY市場では株安の動きによる円買いの動きも加わり大きく水準を切り下げたという流れでした。
注:ポイント要約は編集部
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オーダー/ポジション状況
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