ユーロは戻り売りの流れが続く
〇先週のユーロドル、デギンドスECB副総裁が追加利下げ言及で一時1.0497と1.05の大台割れを見る
〇今週も連日のECB関係者の発言や欧州の経済指標でユーロドルの動きが出やすい状況
〇ドイツ議会の総選挙は来年2月23日、欧州最大ドイツの政局流動化状態が続く
〇ECBの追加利下げもコンセンサス、引き続きユーロの下値を探る展開が続きやすい
〇ユーロ円、10月高値ピークに下げる動き続く、9月安値と10月高値の半値押し160.91が次のターゲット
〇今週は1.0425レベルをサポート、1.0600レベルをレジスタンスとする週を見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロドルは米金利上昇によるドル買いの動きと、間にはドイツ政局不安が挟まってのユーロ売りの動きとで、ユーロドルは一時1.05の大台割れと2023年10月以来の安値を見ることとなりました。値幅も231pipsと先週に続いて200pips超えとユーロドルにしては動きも出きています。
今週は連日ECB関係者の発言、また欧州の経済指標も出てきますので、ユーロドルの動きが出やすい状況に変化は無いと見られます。ただ、12月ECB理事会における0.25%の利下げは織り込み済みであるため、どちらも可能性としては低いものの、タカ派な発言かよほどハト派な発言が出て来ないと大きな動きには繋がりにくいと見られ、引き続きドイツの政局を見ながら上値が重たい展開が続くと見ていてよさそうです。
そのドイツ議会ですが政治日程が決まりました。12月16日に不信任投票を行い不信任が可決された後、12月27日に解散、総選挙は来年2月23日という予定です。任期満了前の解散総選挙は2005年以来となります。既に現在の与党のSPDが第3党に転落することは確実視されていますが、CDU/CSUが議席を伸ばしても過半数には届かず、どこと連立を組むのかという話になるでしょうが、第2党となるであろう極右AfDと組むことは考えにくく、少数与党という流れになっていきそうです。
総選挙まで3か月以上あるため、ドイツ政局の材料だけでは動かないでしょうが、欧州最大のドイツの政局の流動化状態が続きますし、ECBの追加利下げもコンセンサスとなっていることを考えると引き続きユーロの下値を探る展開が続きやすいと見ていてよいでしょう。
テクニカルはいつもの日足チャートをご覧ください。
既に年初来安値は下抜けましたので、次のターゲットを考えることとなりますが、近いところでは2023年10月安値の1.0447レベル、2022年安値と23年7月高値の半値押しとなる1.0405が挙げられます。現状1.05台は回復していますが、次に下げる時には1.04台前半がターゲットとなってくるでしょう。いっぽうでレジスタンスは、今年4月安値の1.0600レベルと見ています。
今週は1.0425レベルをサポートに、1.0600レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週もユーロ円日足を見ておきましょう。
10月高値をピークに下げる動きが続いています。ユーロの下げ、そして先週は金曜のドル円の下げとともに売りが入ったことで162円台前半へと押してやや戻している展開です。テクニカルには9月安値と10月高値の38.2%押し162.27とほぼ同水準で下げ止まりましたが、現状のユーロドルを取り囲む環境や、やや行き過ぎ感のある円売りの動きを考えると、半値押しの160.91が次のターゲットとなってきます。161円水準までの下げは考えておいた方がよいでしょう。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
11月18日(月)
17:00 デギンドスECB副総裁講演 ☆
17:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
19:00 ユーロ圏9月貿易収支
22:00 レーンECB理事講演 ☆
27:30 ラガルドECB総裁講演 ☆
11月19日(火)
17:30 エルダーソンECB理事講演 ☆
19:00 ユーロ圏10月CPI
11月20日(水)
16:00 ドイツ10月PPI
16:00 英国10月CPI ☆
19:00 ユーロ圏9月建設支出
25:00 英中銀副総裁講演
11月21日(木)
16:45 フランス11月企業景況感
17:30 オーストリア中銀総裁講演
18:00 スペイン中銀総裁講演
24:00 ユーロ圏11月消費者信頼感速報値 ☆
11月22日(金)
09:01 英国11月消費者信頼感
16:00 ドイツ7〜9月期GDP改定値
16:00 英国10月小売売上高
17:15 フランス11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 ラガルドECB総裁講演 ☆
17:30 ドイツ11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 英国11月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
22:00 ドイツ連銀総裁、フランス中銀総裁講演 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
11月11日(月)
週明けのユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場に入ってから売りが再燃しました。大統領選が一段落したことでドイツの政局流動化がユーロ売りの材料となりました。
11月12日(火)
ユーロドルはドイツの政局不安よりも米金利上昇の影響が大きく朝方からじり安、NY市場では年初来安値を下抜け一時1.0595レベルを見た後にやや戻して引けました。ドル円とともにユーロ円の上昇もあり、ユーロドルの値幅は比較的狭くなりました。
11月13日(水)
ユーロドルは前日に年初来安値を更新した後の利食いも入ってNY市場までは底堅い動きをしていました。しかし米国CPI後のドル買い直しの動きから1.0556レベルまで下げ、ほぼ安値引けの動きとなりました。
11月14日(木)
ユーロドルはドル買いの流れの中でデギンドスECB副総裁が追加利下げに言及すると一時1.0497レベルと1.05の大台割れを見ることとなりました。しかし大台割れを見た達成感もあったのか利食いも強まり、また日計りのストップも巻き込み1.0582レベルまで水準を切り上げた後、1.05台前半へと押して引けました。
11月15日(金)
ユーロドルはNY市場まではドル円とともにドル売り・ユーロ買いの動きとなっていましたが、1.0593レベルと前日高値を若干上回った程度で失速。NY市場ではドル円とともにクロス円全般での円買い戻しが強まったことでユーロ円が下げる動きとともに、ユーロドルも東京朝方の水準に押して引けました。
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