先週末からの急落一巡で半値強を戻すも再び失速、乱調な展開で方向感探る
〇昨日のドル円、153.83まで安値切り下げた後、日銀総裁講演等を見ながら乱高下
〇夜に155.35まで戻すも、対ユーロ等でドル高が緩み本日午前序盤に154.50割れへ失速
〇植田日銀総裁、12月利上げの可能性排除せず
〇米長期債利回り上昇は総じて低下、米主要株価指数はまちまちで最高値更新後の足踏み続く
〇155.35超えからは156円前後への上昇を想定
〇153.83割れからは153円割れを目指して行く下落を想定
【概況】
ドル円は米大統領選でのトランプ氏勝利による「トランプ・ラリー」と15日早朝のパウエルFRB議長講演における「利下げを急がない」発言で15日午前に156.74円へ上昇して9月16日安値139.57円以降の最高値としたが、当面のドル買い円売り材料の消化や加藤財務相による円安けん制発言等から持ち高調整の下落に転じ、15日夜からは売り注文の連鎖反応で155円割れから154円割れへ急落した。
週明けの18日は午前序盤に153.83円まで安値を切り下げ、日銀植田総裁講演や会見内容を見ながらの乱高下を通過して夜高値155.35円まで戻したものの、ユーロやポンド、豪ドル等が上昇してドル高が緩んだために19日午前序盤には154.50円割れへ失速している。
11月15日午前高値156.74円から18日午前安値153.83円までの下げ幅2.91円に対し、18日夜高値155.35円までの上昇幅を1.52円として半値戻しを若干超えたが、その後は勢いが続かなかった。
11月6日午前安値151.28円から急伸後の揺れ返しで付けた8日安値152.14円、18日午前安値153.83円はほぼ1直線で並び上昇トレンドの下値支持線を形成している。18日夜高値を超えて騰勢継続を示せるか、154円を再び割り込んで下値支持線から転落して円高継続感が増すのか試される局面だ。
【植田日銀総裁、12月利上げの可能性排除せず】
日銀の植田総裁は18日の講演と会見で追加利上げに関し、「米経済を含め不確実な点などは無数にあるが、それを全部待ってから政策(の変更決定を)するということではない」、「10月会合から追加で得られたデータ、情報をベースに見通しやリスクを修正し、その時点で適切に判断する」と述べ、12月会合での利上げ可能性を否定しなかった。
総裁は「適宜に金融緩和の度合いに応じて調整しなければ、インフレ率の急加速が発生し、急速な金利引き上げを迫られる可能性もある」として大規模金融緩和からの正常化プロセスを継続する基本姿勢を示し、最近の円安については「どういう影響があるか、毎回の会合で判断していく」とし、トランプ次期米政権の経済政策については「決まり次第、私たちの見通しに適切に織り込んでいく」と述べた。
市場はややタカ派姿勢で12月利上げの可能性を強く匂わす可能性を警戒していたが、発言内容は10月末の前回会合後の会見とさほど変わらなかったため、警戒するほどのタカ派姿勢でなかったとしてやや乱調な展開となりながらも18日夜にかけての円安ドル高に寄与した印象だ。
【米長期債利回り上昇は総じて低下、米主要株価指数はまちまちで最高値更新後の足踏み続く】
11月18日の米長期債利回りは総じて低下した。米大統領選でのトランプ氏勝利による先行きのインフレ再燃懸念とFRBの利下げペース鈍化予想を背景に長期債利回りは大幅上昇してきたが、当面の材料消化で上昇一服感がみられる。
長期金利指標の10年債利回りは9月17日の3.60%から上昇期に入り、11月15日に一時4.51%をつけてこの間の最高としてから低下していたが、18日は4.49%までいったん戻してから失速して先週末比0.02%低下の4.42%となった。
30年債利回りは一時4.68%をつけて11月6日の急騰時と同値としてから失速して先週末比0.01%低下の4.61%となった。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは15日に一時4.38%をつけて9月25日の3.51%以降の最高としてから失速し、18日は先週末比0.03%低下の4.28%となった。
12月17/18日の次回FOMCにおける0.25%追加利下げ期待は6割強、利下げ休止予想が4割弱となっており、今後の米経済指標で労働市場指標の悪化がさほど見られずに堅調な数字が続くようだと利下げ見送りの可能性も高まりやすい。
一方で米主要株価指数の動きはまちまちだった。
NYダウは先週末比55.39ドル安となり14日から3営業日続落、ナスダック総合指数は12日から15日まで4営業日続落していたが18日は111.69ポイント高で5日ぶりに反発し、S&P500指数は先週比23.00ポイント高で3日ぶりに反発した。3指数ともに11月11日に史上最高値を更新した後は目先の買い一巡によりやや調整的な動きにつかまっている印象だ。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は15日午前高値156.74円から急落したが、16日未明安値153.86円と18日午前安値153.83円で154円を割り込んだところを買われて毛抜き型のダブルボトムとして上昇期に入ったが、19日午前序盤へ失速しているためすでに戻り一巡から新たな下落期に入っている可能性も懸念される。
18日午前安値割れを回避する内は上昇余地ありとし、18日夜高値を上抜く場合は20日午前から22日午前にかけての間への上昇を想定するが、154.50円以下でジリ安推移の場合は18日午前安値試しとし、18日午前安値を割り込む場合は21日午前から25日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では18日夜への上昇では先行スパンに届かず、19日午前への失速で遅行スパンが再び悪化しやすい位置に来ている。先行スパンを上抜き返せないうちは15日午前高値を起点とした下落が二段目に入る可能性があると注意して遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンを上抜くところからは15日午前高値を再び試しに向かう上昇期とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は16日未明への下落で20ポイント台へ低下してから18日夜に60ポイントへ迫ったが、19日午前序盤に再び50ポイントを割り込んでいる。次に50ポイントを超えるところからは上昇再開として60ポイント台への上昇を想定するが、次に40ポイントを割り込むところからは戻り一巡による下落継続とみて20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月18日午前安値153.83円を下値支持線、18日夜高値155.35円を上値抵抗線とする。
(2)155円台回復からは18日午前安値を起点とした上昇継続と仮定し、155.35円超えからは156円前後への上昇を想定する。156円前後は反落注意とするが、155円を上回っての推移なら20日の日中も高値試しを続けやすいとみる。
(3)154.40円以下での推移中は下向きとし、153.83円割れからは15日午前高値からの下落が二段目に入るため153円割れを目指して行く下落を想定する。
【当面の予定】
11/19(火)
G20首脳会議最終日
18:00 (欧) 9月 経常収支・季調済 (8月 315億ユーロ)
19:00 (欧) 10月 HICP(調和消費者物価指数)改定値 前年同月比 (速報 2.0%)
19:00 (欧) 10月 コアHICP(食品エネルギー除く)改定値 前年同月比 (9月 2.7%)
22:30 (米) 10月 住宅着工件数・年率換算 (9月 135.4万件、予想 133.5万件)
22:30 (米) 10月 住宅着工件数 前月比 (9月 -0.5%、予想 -1.4%)
22:30 (米) 10月 住宅着工許可件数・年率換算 (9月 142.8万件、予想 143.5万件)
22:30 (米) 10月 住宅着工許可件数 前月比 (9月 -2.9%、予想 0.7%)
11/20(水)
08:50 (日) 10月 通関貿易収支・季調前 (9月 -2943億円、予想 -4141億円)
08:50 (日) 10月 通関貿易収支・季調済 (9月 -1872億円、予想 -1448億円)
16:00 (独) 10月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (9月 -0.5%、予想 0.2%)
16:00 (英) 10月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (9月 0.0%、予想 0.5%)
16:00 (英) 10月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (9月 1.7%、予想 2.2%)
16:00 (英) 10月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前年同月比 (9月 3.2%、予想 3.1%)
16:00 (英) 10月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (9月 2.7%、予想 3.3%)
19:00 (欧) 9月 建設支出 前月比 (8月 0.1%)
19:00 (欧) 9月 建設支出 前年同月比 (8月 -2.5%)
22:00 (欧) ラガルド欧州中銀(ECB)総裁、講演
24:30 (米) 米エネルギー省EIA 週間石油在庫統計
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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