米金利高止まり懸念で売り優勢、南ア中銀の追加利下げ示唆あれば一段安も
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、トランプ次期政権で生じる可能性が高い貿易摩擦への懸念や、インフレ再加速に伴う米金利高止まりなどが意識されて売り優勢となった。
トランプ次期政権に対中強硬派のマルコ・ルビオ氏が国務長官として加わると伝わったことで、高い関税を互いに掛け合う貿易摩擦への懸念が世界中で意識された。また、14日に行われた講演でパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が「米経済は強く、速やかな利下げの必要性がない」とのタカ派な考えを示したほか、クグラーFRB理事が利下げ見送りの可能性に言及。コリンズ・ボストン連銀総裁も「12月会合では追加利下げが間違いなく検討されるだろうがまだ決まったわけでない」と指摘するなど、FRB関係者から相次いでタカ派な発言が出たことが影響して米利下げ鈍化観測が強まり、10年債利回りは一時4.5%台まで上昇した。
FRB関係者からタカ派発言が相次いだことや、米インフレ再加速による金利高止まりなどが意識されて、ランドは資金流出懸念が意識されて売り優勢の展開に。第3四半期失業率や9月製造業生産高がそろって前回比で改善されたものの、市場の影響は限定的となり、10月21日以来の8.5円割れとなった。
ランド・円(東京時間:11月11日―11月15日)
※Investing.comの日足を参照
始値:8.6778円
高値:8.7442円
安値:8.4511円
終値:8.4724円
【先週と今週の重要指標】
※時間は東京時間
11月12日
18時30分、第3四半期失業率、前回:33.5%、結果:32.1%
20時00分、9月製造業生産高(前月比)、前回:−0.7%、結果:0.0%
11月20日
17時00分、10月消費者物価指数(前年比)、前回:3.8%、市場予想:3.0%
17時00分、10月消費者物価指数(前月比)、前回:0.1%
11月21日
時間未定、中銀政策金利、前回:8.00%、市場予想:7.75%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、トランプ次期政権の方向性に右往左往する展開となりそうだ。ドル一強の構図となりつつあり、ランドなど新興国通貨は売られやすい状況となっている。
21日の南アフリカ準備銀行による政策金利発表では0.25%の引き下げが織り込まれており、市場予想通りの結果であれば反応は限定的となりそうだが、南ア中銀が追加利下げの可能性を強く示唆した場合、ランドの売り圧力は強まる可能性がある。経済回復を考慮すると利下げを実施したいところだがインフレ抑制も意識する必要があるため難しい判断となりそうだ。
一方、CMEグループが提供しているFed Watchでは、15日時点の12月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での0.25%利下げ予想は61%と1カ月前の85%から大幅に低下している。引き続き利下げ実施の割合が高いものの、12月6日に発表される11月米雇用統計の結果次第では、利下げ観測が一段と後退する可能性もあり、米金利高止まりに伴う新興国通貨売りの構図は12月FOMCまで続くかもしれない。
日足の一目均衡表では、転換線も下向きに転換したほか、遅行スパンが実線に隠れるなどトレンドは弱い。100日移動平均線が位置する8.38円水準まで調整する可能性はある。この水準が下値支持線として意識されて下げ止まるか注目したい。
南アフリカランド円日足
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