153円台前半へ下落後に154円台後半へ戻す、乱調ながら右肩下がりの展開
〇昨日のドル円、ウクライナ情勢緊迫によるリスク回避でユーロやポンド等が売られる一方で円高に
〇夕刻153.28へ一段安、11/20未明に154.79まで持ち直す
〇情勢緊迫化に対する安全資産買いで米国債が買われ、米長期債利回り低下し円高招く
〇カンザスシティー連銀総裁、インフレや労働市場悪化なら利上げで対処する姿勢示す
〇米長期債利回りは概ね低下、NYダウは続落、ナスダックとS&P500は連騰
〇154円台維持するうちは155.35試し、高値更新からは156円を目指す上昇想定
〇154円割れからは153.28試し、底割れからは152円台中盤への下落想定
【概況】
ドル円は米大統領選後の「トランプ・ラリー」によるドル高と15日早朝にパウエルFRB議長が「利下げを急がない」姿勢を示したことで15日午前に156.74円へ上昇して9月16日安値139.57円以降の最高値としたが、当面のドル買い円売り材料を消化や加藤財務相の円安けん制発言等から下落に転じて18日午前序盤に153.83円まで安値を切り下げた。
15日夜に155.35円までいったん戻したところを売られ、19日夕刻には153.28円へ一段安となり、11月6日午前安値151.28円と8日夜安値152.14円、18日午前安値153.83円をほぼ1直線で結んでいた上昇チャンネルの下値支持線から転落した。
19日夕刻はウクライナ情勢緊迫によるリスク回避でユーロやポンド等が売られる一方で円高となったが、その後はやや乱調な展開を続けながら20日未明に154.79円まで持ち直している。
ロシア国防省は19日、ウクライナ軍が西部ブリャンスク州の軍事施設に対して米国製長距離地対地ミサイル「ATACMS」を撃ち込んだと発表、プーチン大統領は核兵器使用条件を示した核ドクトリンの改定に署名し、核攻撃の対象をウクライナを軍事支援する欧米に拡大することと示唆した。
一連の報道による情勢緊迫化に対する安全資産買いで米国債が買われて米長期債利回りが低下したことが19日夕への円高を招き、19日深夜の米住宅関連統計が低調だったことも深夜にかけての円高要因だったが、ロシアのラブロフ外相が「核戦争の勃発を回避するためあらゆる手段を講じる」と述べたことでリスク回避型の反応がひとまず落ち着いている。
カンザスシティー連銀のシュミッド総裁が19日の講演で、「大規模な財政赤字が発生する場合にFRBはインフレ抑制のため高金利政策を取らざるを得ない」との認識を示した。同総裁は「FRBが責務を果たしてインフレ目標を達成するので、大規模赤字はインフレ拡張的にはならない」とし、「その結果で持続的な高金利を招く可能性がある」と述べた。トランプ次期米政権が関税引き上げや移民規制を強化するとしてることに対しては「インフレや雇用に影響をもたらせばFRBは対応する」とした。
トランプ氏勝利以降、FRB高官の姿勢はパウエルFRB議長を含めて利下げ継続への慎重姿勢であり、カンザスシティー総裁はさらに踏み込んでトランプ政権発足からインフレや労働市場の悪化がみられるなら利上げで対処する姿勢を示したものと思われる。
【米長期債利回りは概ね低下、米主要株価指数はまちまち】
11月19日の米長期債利回りはウクライナ情勢の緊迫化に対応した米国債への安全資産買いにより一時急低下したものの、カンザスシティー総裁発言等で終盤に戻した。
長期金利指標の10年債利回りは11月15日に一時4.51%をつけて9月17日の3.60%以降の最高としてから低下していたが、19日は一時4.34%まで大幅低下してから持ち直したものの前日比0.02%低下の4.40%で終了した。30年債利回りは一時4.54%まで低下してから持ち直して前日比0.02%低下の4.59%、政策金利動向に敏感な2年債利回りは一時4.22%まで大幅低下してから持ち直して前日比変わらずの4.28%だった。
今後はウクライナ情勢の緊迫度がさらに増す場合には債券高・利回り低下を招きやすく、FRB高官らの利下げ慎重姿勢や必要に応じて利上げもあり得る等のタカ派姿勢が続けば利回り上昇ないし高止まりを続ける可能性がある。ドル円は米10年債利回りと同調した動きを採りやすいため、引き続き米10年債利回り動向を追いかける展開と思われる。
一方で米主要株価指数の動きはまちまちの動きが続いている。
NYダウはウクライナ情勢を意識して前日比120.66ドル安と下落して14日から4営業日続落したが、安値で42938.87ドルまで下げてから終値43268.94ドルまで反騰して日足は長い下ヒゲを付けた。ナスダック総合指数は20日のヌエビディア決算待ちで買い優勢となり前日比195.66ポイント高と上昇して18日から2連騰とした。S&P500指数は前日比23.36ポイント高で18日から連騰としている。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は19日夕刻に153.28円まで一段安してから20日未明に154.79円へ切り返したため、目先は19日夕安値を起点として戻りを試す流れとみる。18日夜高値155.35円を上抜く場合は20日の日中から22日午前にかけての間への上昇を想定するが、18日夜高値超えずに154円割れへ失速する場合は戻り高値を切り下げて下落基調を継続しやすくなるとみて19日夕安値割れを試し、底割れする場合は21日午前から25日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では20日未明への反騰で遅行スパンが実線まで戻し、先行スパン下限に到達している。遅行スパン好転からは高値試し優先とし、先行スパンを上抜くところからは上昇が勢い付くとみるが、先行スパンを上抜き返せずに154円割れへ失速する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は18日午前安値から19日夕への一段安に際して指数のボトムが切り上がり50ポイント台へ戻しているため、60ポイント超えからは70ポイント台への上昇を想定するが、45ポイント割れからは下落再開とみて30ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、154.00円を下値支持線、18日夜高値155.35円を上値抵抗線とする。
(2)154円台を維持するうちは18日夜高値155.35円試しとし、高値更新からは156円を目指す上昇を想定し、155円を上回っての推移なら21日も高値試しを続けやすいとみる。
(3)154円割れからは19日夕安値153.28円試しとし、底割れからは152円台中盤への下落を想定する。152.50円位kあ反騰注意とするが、154円を下回っての推移なら21日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
11/20(水)
16:00 (独) 10月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (9月 -0.5%、予想 0.2%)
16:00 (英) 10月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (9月 0.0%、予想 0.5%)
16:00 (英) 10月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (9月 1.7%、予想 2.2%)
16:00 (英) 10月 コアCPI(食品エネルギー等除く) 前年同月比 (9月 3.2%、予想 3.1%)
16:00 (英) 10月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (9月 2.7%、予想 3.4%)
19:00 (欧) 9月 建設支出 前月比 (8月 0.1%)
19:00 (欧) 9月 建設支出 前年同月比 (8月 -2.5%)
22:00 (欧) ラガルド欧州中銀(ECB)総裁、講演
24:00 (米) バーFRB副議長、米下院金融サービス委員会証言
24:30 (米) 米エネルギー省EIA 週間石油在庫統計
25:00 (米) クックFRB理事、講演
26:15 (米) ボウマンFRB理事、講演
11/21(木)
トルコ中銀、南ア中銀 政策金利発表
14:10 (日) 植田日銀総裁、パリのフォーラムで講演
22:30 (米) 11月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (10月 10.3、予想 5.8)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.7万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 187.3万人)
22:45 (米) ハマック・クリーブランド連銀総裁、会議挨拶
24:00 (欧) 11月 消費者信頼感速報値 (10月 -12.5、予想 -12.4)
24:00 (米) 10月 コンファレンス・ボード景気先行指数 前月比 (9月 -0.5%、予想 -0.3%)
24:00 (米) 10月 中古住宅販売件数・年率換算 (9月 384万件、予想 383万件)
24:00 (米) 10月 中古住宅販売件数 前月比 (9月 -1.0%、予想 2.3%)
26:25 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、質疑応答
26:30 (米) ハマック・クリーブランド連銀総裁、懇談会
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.20
ドル円、一時153円台前半まで急落するも、海外勢参入後に全値戻し(11/20朝)
19日(火)のドル円相場は下落後に急反発。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.19
東京市場のドルは154円台での小動き、海外時間でも材料難で小動き推移か(24/11/19)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、加藤勝信財務大臣の口先介入などもあったが、154円台での小動き推移となった。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。