トルコリラ円見通し ドル円は昨夜の反騰から失速、トルコリラ円も上値重い展開(24/11/21)

トルコリラ円の11月20日は概ね4.52円から4.46円の取引レンジ、21日早朝の終値4.51円で前日終値の4.48円から0.03円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円は昨夜の反騰から失速、トルコリラ円も上値重い展開(24/11/21)

ドル円は昨夜の反騰から失速、トルコリラ円も上値重い展開

〇昨日のトルコ円、ドル円反騰と共に4.52まで戻すも、本日午前は4.48まで下げ上値の重い展開
〇対ドル、11/20は概ね34.56から34.24の取引レンジ、最安値近辺での推移続く
〇今夜のトルコ中銀政策金利発表は据え置き予想
〇ウクライナ情勢悪化、リラへの地政学的リスクを増す
〇4.47を上回るうちは上昇余地ありとし、4.52超えからは4.54試しとする
〇4.47割れからは4.45前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の11月20日は概ね4.52円から4.46円の取引レンジ、21日早朝の終値4.51円で前日終値の4.48円から0.03円の円安リラ高だった。
ドル円が11月15日午前高値156.74円から19日夕安値153.28円へ下落したため、トルコリラ円は15日早朝高値4.56円から19日夕安値4.43円まで安値を切り下げたが、ドル円が20日夜に155.88円へ反騰した局面でトルコリラ円は4.52円まで戻した
しかし、ドル円は21日未明に155.05円へ反落してからの下げ渋りが続かずに21日午前序盤に155円を割り込んでおり、トルコリラ円も21日9時台安値で4.48円まで下げて上値の重い展開となっている。
20日夜にFRBのクック理事が利下げ停止に言及したこと等が20日夜のドル円上昇に寄与したが、ウクライナ情勢の緊迫化によるリスク回避的な円高感や、市場介入への警戒感で上値が抑えられている印象もあるため、トルコリラ円も慎重にドル円を後押ししながらも一段高へ進めずに方向感を探っている。

【ドル/トルコリラは最安値近辺での推移続け、今夜の中銀政策金利発表待ち】

ドル/トルコリラの11月20日は概ね34.56リラから34.24リラの取引レンジ、21日早朝の終値は34.44リラで前日終値の34.30リラからは0.14リラのドル高リラ安だった。
11月15日に取引時間中の史上最安値を34.69リラへ大幅に更新し、終値ベースの最安値も15日から18日へ2営業日連続で更新したが、19日は34.66リラへ下落したものの最安値更新へ進めずに、揺れ返しのドル売りリラ買いで下落した。しかし、9月16日高値33.58リラ以降は概ね日々の高安レンジを切り上げる右肩上がりの展開であり、中心値は下落基調(ドル/トルコ表記では上昇)を続けている。

【トルコ中銀、政策金利据え置き予想】

今夜はトルコ中銀の政策金利発表があり、直近のインフレ率高止まり傾向により市場の事前予想は週間レポレートを50%で据え置くとの見方でほぼ一致しているため、金融引き締め継続が強調されればリラも確りした反応で通過してゆくのではないかと思われる。
しかし、来年第1四半期にも利下げを開始したい姿勢が示される場合にはリラ売り材料視されて史上最安値更新へ向かう可能性もあると注意したい。
トルコ中銀は政策金利の週間レポレートを2023年5月の8.5%から2024年3月の50%まで連続利上げを行い、その後も50%での据え置きを続けてきた。11月8日に発表された中銀の四半期インフレ報告では、CPI上昇率見通しを2024年末で44.0%として前期予想の38%から上方修正し、2025年末についても21%として前期予想の14%からから上方修正とし、カラハン中銀総裁は「インフレ鎮静化のための引き締め政策を続ける」としている。
トルコのエルドアン大統領は20日、1月1日に予想される最低賃金の引き上げについて、インフレで国民が苦しむようなことはさせないと述べた。中銀としては賃金インフレ要因を抑えるために利下げしづらい状況ともいえる。

【ウクライナ情勢悪化はリラへの地政学的リスクを増す】

ウクライナ情勢の緊迫感が高まっていることはトルコリラにとっては地政学的リスクの増大としてマイナス要因だ。ウクライナは19日に米国製長距離ミサイルでロシア領内を攻撃したのに続き、20日には英国製長距離ミサイルでの攻撃を行った。
プーチン大統領が19日に核ドクトリンを改定してウクライナを支援する欧米も核の報復攻撃対象とするとしたことに対して、ラブロフ外相は核戦争を回避するためにあらゆる努力をすると表明しているものの、バイデン政権がトランプ政権へ移行する前にウクライナによるロシア攻撃を激化させたい意向も見られるため、さらに緊張度を高めかねない情勢と注意したい。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月15日早朝高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしてきたが、19日夕へ一段安してからの反騰で15日夜以降の下げ幅の大半を解消したため、20日午前時点では19日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして20日の日中から22日午前にかけての間への上昇を想定した。
20日夜へ続伸してから反落しており、15日早朝高値を中心として7日高値と20日高値を両肩とした三尊型を形成する可能性もあると注意し、4.47円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先して22日午後から26日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では20日夜への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンを上抜いたが、21日午前への反落で遅行スパンが悪化しやすい位置に来ているため、先行スパンからの転落を回避する内は遅行スパンが悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まる可能性もあるとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は20日夜の上昇時に70ポイントを超えてから失速して50ポイントを割り込んでいる。55ポイント超えからは反騰入りの可能性ありとするが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.47円を下値支持線、4.52円を上値抵抗線とする。
(2)4.47円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.52円超えからは4.54円試しとする。4.54円前後は反落警戒とするが、4.48円を上回っての推移なら22日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)4.47円割れからは4.45円前後への下落を想定する。下げ足が速まる場合は4.43円試しへ下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

11月21日
 16:00 11月 消費者信頼感指数 (10月 80.6)
 20:00 トルコ中銀 政策金利 週間レポレート (現状 50.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 11/15時点 グロス(11/8時点 921.2億ドル) 
 20:30 週次 外貨準備高 11/15時点 ネット(11/8時点 607.3億ドル)
11月22日
 17:00 10月 海外観光客数 前年同月比 (9月 4.64%)
11月25日
 16:00 11月 製造業信頼感指数 (10月 100.9)
 16:00 11月 設備稼働率 (10月 74.9%)


注:ポイント要約は編集部

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