今週の週間見通し
あけましておめでとうございます。
ここからの展開ですが、中長期的には再び円高に向かう可能性が高いと見ています。その理由として、瞬間的に薄い取引時間帯につけた価格帯は後からしっかりとつけに行くことが多いためです。また当レポートで示しているレンジは東京午前9時からNY17時までとしていますが、これには意味があります。この時間帯ですと3日早朝の円急騰劇は午前7時台に起きたため含まれていません。
いっぽう日足チャートに使っているチャートは24時間のレンジで表示されているため、早朝時間帯のレンジも含まれています。比較に私が個人的に使っている東京9時〜NY17時のチャートをご覧ください。こちらは平均足を使っているため、足形が通常のローソク足とは異なりますが、安値が106円台後半であることは確認できると思います。
つまり、24時間レンジの安値104.90レベル(日足チャートでの安値、実際はFX業者によって安値はまちまち)と東京9時以降の安値106.75レベルとの差に着目します。こうした取引時間帯ダイバージェンス(乖離)が起きているケースでは、ほとんどの場合、後からそのレート(104.90〜106.75)を通常時間帯(東京9時以降)につけにいくことが多いという経験則があります。つまり、104円台後半まで再び通常時間帯に、いつかはわかりませんがつけにいくであろうという見方です。
今週は株式市場が戻してきたこともあって、下値をトライしに行くことは無いと思いますが、中期的には再び104円台、特に2018年安値となった104.66、そしてテクニカルなターゲットとして2016年安値(99.02)とその後の高値(118.66)の78.6%(61.8%の平方根押し)である103.22、をターゲットとする流れになってきたと考えられます。
また2017・2018年とここ2年ほど約10円の狭いレンジが続きましたので、2019年の相場はそろそろ荒れてボラティリティが上昇する可能性が高いと思います。元旦の日経新聞で各界の経営者による経済見通しで皆さん株高、為替でも誰一人として100円割れを想定していなさそうなことから、今年は長期的には100円割れを見ることになるのではないかと考えています。
パウエルFRB議長の発言については、今週もう一度講演がありますので、そこで年始からの市場の動きも踏まえて再度どのような発言がされるのか、それを見てから分析したいと思います。今週は年初でもあり、もっとも気になっている上記のこと、そして以下テクニカルな面からの見通しとします。
いつもの日足チャートをご覧ください。
下値としては当チャート上の安値104.90、そして上下にいくつかのテクニカルなターゲットが示されています。長期的にはこの104.90と更には昨年安値の104.57が重要なポイントとなりますが、短期的には既にかなり距離があり、もう少し近いところでのターゲットを考える必要があります。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
ここでもうひとつチャートを見てください。
これは今朝の到達確率チャートです。
3日の安値を除けば、ピンクの上昇ウェッジの中できれいな上昇トレンドにあり、このウェッジを下抜けする時が、短期上昇トレンドが終わる時と考えられますが、ウエッジの上端は暴落前の水準にまで伸びていて、状況次第では同水準近くにまでは戻す可能性が考えられます。しかし長期的に円高への回帰を考えているため、年初の高値には届かないで終わるという見方をします。すると上値としては109円台前半、具体的には109.40レベルをレジスタンスと見てよさそうです。
いっぽう下値ですが、さすがにサポートラインは近く早晩下抜けすると見ていますが、青い点線で示した平行線がこの上昇トレンドにおけるいくつかの押しです。もっとも近いところで107.82レベル、その次が107.10レベルとなります。通常であれば前者を考えてもよいのですが、大きく動いた後だけに後者を使いたいところです。結論としては、今週は107.10レベルをサポートに109.40レベルをレジスタンスとする週を見ておきたいと思います。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2018年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
1月7日(月)
16:00 ドイツ11月製造業新規受注
19:00 ユーロ圏11月小売売上高
21:45 デギンドスECB副総裁講演
24:00 米国12月ISM非製造業景況指数
24:00 米国11月製造業新規受注
26:40 アトランタ連銀総裁講演
1月8日(火)
09:30 豪州11月貿易収支
16:00 ドイツ11月鉱工業生産
16:45 フランス11月貿易収支
19:00 ユーロ圏12月消費者信頼感
22:30 米国11月貿易収支
1月9日(水)
09:30 豪州11月住宅建設許可件数
16:00 ドイツ11月貿易収支
16:45 フランス12月消費者信頼感
19:00 ユーロ圏11月失業率
22:20 アトランタ連銀総裁講演
23:00 (シカゴ連銀総裁講演)
24:00 カナダ中銀政策金利発表
24:30 英中銀総裁講演
24:30 週間原油在庫統計
28:00 FOMC(12月19日)議事要旨公表
1月10日(木)
09:30 黒田日銀総裁挨拶
10:30 中国12月CPI・PPI
16:45 フランス11月鉱工業生産
21:30 ECB理事会(12月13日)議事要旨公表
22:30 米国新規失業保険申請件数
22:35 リッチモンド連銀総裁講演
24:00 米国11月卸売売上高・在庫
26:00 パウエルFRB議長講演
26:40 (セントルイス連銀総裁講演)
27:00 (シカゴ連銀総裁講演)
30:45 NZ11月住宅建設許可件数
1月11日(金)
07:30 クラリダFRB副議長講演
08:50 本邦11月国際収支(貿易収支)
09:30 豪州11月小売売上高
17:20 メルシュECB理事講演
18:30 英国11月貿易収支、鉱工業生産
18:30 英国11月GDP
22:30 米国12月CPI
前週の主要レート(週間レンジ)
上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
年末年始の概況
前回12月24日から1月4日までの間の出来事を簡単にまとめておきます。
東京市場は28日まででしたが、海外勢はクリスマス休暇明けの26日(欧州は27日)から実質的に新年度入りとなり、31日から2日にかけては米中間の貿易協議に対する不安、さらには米国連邦機関の一部閉鎖が長引く懸念も重なって、株式市場は上値の重たい展開を続けました。このリスクオフの動きが為替市場では円買いとなり、28日までは110円の大台を維持していましたが、31日の年末終値で109円台半ばへと下落しての年越しとなりました。
年明け2日の欧州市場では108円台後半へと更に円高が進む中、NY引け後に為替市場は一気に乱高下相場となりました。3日早朝の7時台にアップルの業績下方修正をきっかけとしてダウ先物が下落、それをきっかけとしてマーケットが薄い中でドル円は一気に104円台まで4円もの円急騰劇を10分にも満たない時間帯で演じましたが、さらにその直後には107円台後半まで3円戻すというジェットコースター相場となりました。
これは、東京が休場で参加者が少ない中、しかも豪州市場で流動性が低い時間帯にアルゴリズムトレードの売りがストップをつけ、そのストップが下のストップもつけるというスパイラル状の動きとなったためですが、108円以下にはドル買いオーダーが当初はほとんど入っていなかったこと、その後慌てた実需筋が買い注文を入れてきたこと等、複数の要因が絡み合ったことによる値動きと考えられます。
また、ドル円以外のクロス円でも円独歩高の円急騰劇が見られましたが、トルコリラ円では一瞬にして7%ものトルコリラ安・円高と、かなりの強制決済が入ったことは間違いありません。連休中の乱高下で入金も間に合わないという悲劇があちこちで起きたであろうことは容易に想像できますが、推定ではトルコリラ円だけで2割程度のポジションが強制決済になったと考えられます。その後3日のドル円はNY市場までじり高となり、一時108円台前半を回復しましたが、ダウの下げとともに107円台半ばへと下押しして4日の東京市場再開を迎えました。
そして4日は米国雇用統計が予想よりも強かったことに加え、パウエルFRB議長が2019年の利上げ見通しについて柔軟な姿勢を示したことから、早期の利上げ思惑が遠のき株式市場は好感して急騰、それに引っ張られてドル円も108円台半ばまで戻しての引けと、なんとも荒っぽい値動きで東京市場勢復帰初日を迎えた週となりました。
本年もよろしくお願いいたします。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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