今週の週間見通しと予想レンジ
あけましておめでとうございます。
ユーロはこの2週間も1.13台前半から1.14台後半の最近のレンジを抜けだせずにいます。今週は欧州各国の各種経済指標、ECB関係者の講演、12月ECB理事会の議事要旨公表と材料的には多いのですが、ここ2週間のレンジを抜けだせるほどの材料とは思えません。
やはり、英国のブレグジット案採決を見守りたいというところだと思いますが、昨日6日のメイ首相の発言では採決は15日頃を示し、もし否決された場合には英国は未知の領域に入ると警告しました。また各閣僚も年末年始に合意無き離脱に対する危険に言及し反対派をけん制していますが、果たして昨年の反対派優勢の状況からどの程度の変化がみられるのか、メイ首相もどのようになるのか誰にもわからないと発言。本日から再開する英国議会での議論を見守るしかないという状況です。
ユーロにしては、今は動きにくい時期ということもあり、今週はテクニカルな面から現状のユーロの立ち位置を見てみましょう。
日足チャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
下値は11月の年初来安値と12月安値を結んだサポートラインに沿って、いっぽう上値は11月高値が年明け高値とほぼ同水準と11月高値からの水平線という構図です。11月高値を抜けていれば見方も変化したのですが、抜けられなかったことから依然として11月の高値安値に縛られているチャートです。(青の水平線が11月の高値、安値)
また取引の中心価格帯も11月高値と安値の半値である1.13台半ば(青の水平線)を中心としてどちらにも方向感が出ていないもみあいとなっていて、どちらかに放れるきっかけ待ちであるとしか言えない状況です。さらに、少し戻って9月高値と11月安値からの戻しを見ると、半値戻しが1.1516(赤の水平線)と仮にユーロが買われた場合での1.15の大台前後に一度は調整が入る水準であると見られます。
中長期的には、いまだユーロ安の下降トレンドにあることを考えると、11月以降の底固めが下降トレンドの踊り場である流れとなってくる可能性があり、引き続きユーロにとっての悪材料には注意が必要と言えます。これも来週の英国議会における採決次第ということとなりそうですから、テクニカルにも今週はもみあい継続と考えることが妥当でしょう。
ユーロドルは1.1325レベルをサポートに1.1490レベルをレジスタンスと、もみあいのレンジの中でやや上側での推移をしやすいと見おきます。
今週のコラム
年初もユーロ円の日足チャートを見てみましょう。
先週のドル円急落の余波もあって、ユーロ円は一時119円水準(このチャートでは119.08)まで下げました。その後の反発も大きく4日には123円台後半にまで水準を切り上げています。この動きを9月高値から10月安値までの下げ、その後11月高値への押しを3点とする逆N波動で考えると、161.8%エクスパンション(ピンクのターゲット)が119.76と誤差は大きいものの、あれだけの振れの中ではターゲットを達成しいったん安値を見たと考えても良いと思われます。
そうなると戻しのターゲットの計算ですが、まず12月高値と先週安値との戻し(赤のターゲット)、そして12月末の戻しの高値と先週安値との戻し(青のターゲット)が参考にできるでしょう。するとそれぞれの重なるターゲットに124円水準と125円台前半の2つの集中水準があることが見て取れます。どちらを採用するかですが、既に前者は到達していること、また後者が12月安値とほぼ一致することを考えると、戻しの限界点として125円台前半は大きな目安になると考えられます。
しかし、ドル円の週報にも書いた通り、先週のユーロ円安値は東京7時台というメジャーではない時間帯(午前7時〜9時)につけています。そのため、再度メジャーな時間帯(東京9時〜NY17時)の間にしっかりとつけにいくと言えそうです。短期的には底堅く、長期的には下げ、ユーロ円の動きがユーロドルの動きにも影響が出やすいため、しばらくの間はユーロ円の動向にも注意したいところです。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
1月7日(月)
16:00 ドイツ11月製造業新規受注
19:00 ユーロ圏11月小売売上高
21:45 デギンドスECB副総裁講演
1月8日(火)
16:00 ドイツ11月鉱工業生産
16:45 フランス11月貿易収支
19:00 ユーロ圏12月消費者信頼感
1月9日(水)
16:00 ドイツ11月貿易収支
16:45 フランス12月消費者信頼感
19:00 ユーロ圏11月失業率
24:30 英中銀総裁講演
1月10日(木)
16:45 フランス11月鉱工業生産
21:30 ECB理事会(12月13日)議事要旨公表
1月11日(金)
17:20 メルシュECB理事講演
18:30 英国11月貿易収支、鉱工業生産
18:30 英国11月GDP
前週のユーロレンジ
上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
年末年始の概況
前回12月24日から1月4日までの間の出来事を簡単にまとめておきます。
ユーロドルは、マザーマーケットとなる欧州のクリスマス休暇明けが27日からということもあって、昨年中は1.13台半ばから1.14台半ばと120pips程度の比較的狭いレンジの中で、ドル円と同様にドルがじり安、ユーロはじり高の展開での年末クローズとなりました。ユーロの目立った材料が無い中で、米国の連邦機関一部閉鎖が長引きそうな懸念からドルが売られた面が大きかったと言えます。
年明けはドル円はリスクオフの動きとともに乱高下を見せましたが、ユーロドルはここでも比較的落ち着いた動きとなりました。年明け2日には年末のユーロ買いの動きを継続して、一時1.15の大台に迫る動きとなりましたが、今回もトライしきれずに反落。欧州市場ではドイツの金利低下や株安が、NY市場では株安によるユーロ円の売りが引き金となって弱い地合いでのスタートを切りました。
3日の市場ではアップルの業績下方修正からダウ先の売り、さらにはドル円の急落と大相場となりましたが、ユーロではユーロ円の下げが影響し朝方こそ1.13台前半へと押しましたが、その後はユーロ円の買い戻しとともに1.14台乗せ。4日は強い米国雇用統計で一時的に下押しする場面が見られたものの、すぐに回復しその後のパウエル議長講演後のダウ急騰も目立った影響が無いまま、1.14近辺での引けとなりました。
こうして振り返ると比較的動きが乏しく、市場参加者としては目先の最大の材料となり得る英国でのブレグジット案採決の成否を見るまでは動きにくいといった年末年始と言えるでしょう。
ディスクレーマー
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