基本はレンジ見込みだが予断許さず
〇東京市場のドル円、上方向にギャップを空け154.30前後で寄り付き
〇ドル売り円買いの流れたどり日中安値153円半ばまで下落後、急反発し「行って来い」
〇153.80-90に位置する21日線をしっかり割り込むとドルの下値不安が拡大する可能性も
〇露の核恫喝を受けた地政学リスクの高まりとトランプ新政権の閣僚人事には要注意
〇ドル高円安方向、154円後半のギャップが最初の抵抗、埋めきれば155円台乗せも
〇ドル安円高方向、21日線めぐる攻防に注目、基本は底堅いがしっかり下回ると下げ足は早いか
〇欧米時間のドル円予想レンジ:153.80-155.00
<< 東京市場の動き >>
週明けの東京市場は「行って来い」。一時ドル売りが優勢となったが底堅く、そののちVの字型の回復をたどっている。
週末は、決定せず延び延びになっていた米財務長官人事がようやく決着。投資家のベッセント氏が指名されている。一方、イランが英仏独と29日に次官級の核協議を実施することを明らかにし、思惑を呼んでいたようだ。
そうした状況下、ドル/円は上方向にギャップを空ける格好で154.30円前後で寄り付き。その後もドル売り・円買いの流れをたどると、日中安値の153円半ばまで下落した。「財政規律重視」派とされる、前述した新米財務長官人事がドル売り要因として取り沙汰されていたという。しかし、目先安値を示現後ドルは一転して急反発。154円台を回復し、そのまま寄り付きレベルまで戻す「行って来い」で、15時現在では154.25-30円で推移し欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「トランプ政権人事」と「ロシア情勢」について。
前者は、人選が遅々として進まずやきもきした米財務長官人事だが、この週末にトランプ氏からヘッジファンドなどを運営する投資家のベッセント氏が指名された。そんなベッセント氏は、当初トランプ氏が掲げる一律追加関税策に慎重な姿勢だったが、そののち方針を転換し、現在は支持する姿勢をみせている。なお、トランプ氏は今回の指名の際、「世界最高の国際投資家および地政学的、経済的戦略家のひとりとして尊敬されている」と最大限の賛辞をおくっていたが、実際の仕事ぶりが注目されるところだ。一方、それとは別に、人身売買疑惑が取り沙汰されていたゲーツ氏が米司法長官候補を辞退するなど、始動前から人事でつまずいた感もあったトランプ新政権だが、今度はギャバード次期国家情報長官の「資質」に疑問の声が挙がっていると伝えられている。シリアでアサド大統領と会っていたことなどが問題視され、承認公聴会で厳しく追及される可能性が高いという。
後者は、ウクライナが当初「大陸間弾道ミサイル(ICBM)」と指摘していたミサイルは、結局ロシアの新型ミサイルだったようだが、プーチン氏は「今後も発射を継続する」などと表明し物議を醸していた。なお、先週のミサイル発射について、ペスコフ報道官は「米国などがウクライナに供与した射程の長いミサイルによる攻撃への報復」と指摘、自制を促すコメントも発していた。ただ、米英などに続きフランスも、バロ外相が「攻撃は自衛の論理」とし、長射程兵器による攻撃容認を初めて公言したと伝えられるなど、両者の攻撃はさらに先鋭化される可能性もありそうだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は結局レンジ内。先でも指摘したように、本日東京時間も1円近くとなかなかの変動をたどったが、レンジを抜けるには至らず。先週のレンジと考えるなら、下値は153.28円だが153円半ばあたりから下はかなり底堅いだろう。ただ、視点を変えると、テクニカルに見た場合の攻防の分岐点になることが多い移動平均の21日線は現在153.80-90円に位置している。本日東京時間にはなんとか維持したものの、このあとしっかり割り込んでしまうとドルの下値不安が拡大する可能性も否定できない。
市場の関心は12月の日米金融政策発表に依然として高く、基本的にはそれにらみ。発表される指標や要人発言などに一喜一憂する展開が見込まれている。しかし、ほかに注意すべき要因が2つあり、それが「ロシアの核恫喝」などを受けた地政学リスクの高まりと、トランプ新政権の閣僚人事について。後者は、注視されていた財務長官人事がようやく決定したものの、予想される様々な政策をめぐりまだまだ思惑が交錯しそう。また、事前の身体検査が甘く、発足前から一部で糾弾を受ける人物がいるなど、順風満帆で事態が進展するとも思われない。
テクニカルに見た場合、ドル/円は期間をいつから取るのかによるが、もっとも狭くとれば153.30-155.90円という2.6円レンジを形成している。まずは、このレンジを上下どちらに抜けていくのかに注目だ。もちろん上方向に抜けていく可能性も否定できないが、チャート的には21日線も位置していることから、底割れした方が波乱含みであるのかもしれない。NYクローズで154円をしっかり下回るようだと、さらなるドル安進行にも注意を要する。
本日は米経済指標として、10月のシカゴ連銀全米活動指数や11月のダラス連銀製造業活動指数などが発表される予定となっている。また、米国はとくに目立ったものがないが、ドイツ連銀総裁など欧州当局者の講演などは幾つか予定されており、そちらには注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは153.80-155.00円。ドル高・円安方向は、本日早朝に空けた154円後半のギャップが最初の抵抗。埋めきれば、そのまま155円台乗せも否定できない。
対するドル安・円高方向は、本日東京時間のザラ場ベースでは一時下回った移動平均の21日線をめぐる攻防に注目。基本は底堅いと考えるが、しっかり下回ってしまうと意外に下げ足は早いかもしれない。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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