ドル円 もみあい継続するも動くならば下方向の調整か(週報11月第4週)

ドル円も154円割れではドル買いが出てくる展開になっていました。

ドル円 もみあい継続するも動くならば下方向の調整か(週報11月第4週)

もみあい継続するも動くならば下方向の調整か

〇先週のドル円、米金利の高値圏での底堅い動きにより、154円割れではドル買いが出る展開
〇日米長期債利回り、米金利より円金利の上昇が目立ち日米金利差は縮小方向
〇円相場との相関はここ1週間ほど低下傾向、11/22時点で20日相関係数0.29と7月上旬以来の低さ
〇月末実需に注意だが、木曜が感謝祭で米国休日、金曜も短縮取引と流動性低下気味の月末相場に
〇今週は153.00レベルをサポート、155.25レベルをレジスタンスとする流れと見る

今週の週間見通し

先週のドル円は振り返るとユーロドルの下げが明確な動きとなる中で、ドル買いの動きからドル円が上昇する動きとユーロ円の下げによるドル円の下落とその時々によって動きが異なっていましたが、全般に方向感が定まらない中で米金利が高値圏で底堅い動きとなっていたことから、ドル円も154円割れではドル買いが出てくる展開になっていました。

ただ長期債の利回りに関しては米金利の上昇よりも円金利の上昇のほうが目立っていたため、日米金利差自体は縮小方向で円相場との相関はここ1週間ほどは低下傾向と言えます。中期的にも11月に入ってからは相関は低下が続いていて、金曜時点では20日相関係数が0.29と7月上旬以来の低い相関を示しています。

もみあい継続するも動くならば下方向の調整か

相関が上がる方向で円相場が円高方向に修正が入るのか、あるいは今年の夏のように更に相関が下がるのか、現時点ではあまり金利差は参考に出来ないという点しか見えてきません。

さて今週は月末ということで月末実需に注意が必要ですが、木曜が感謝祭で米国が休日、金曜も取引所は短縮取引と流動性が低下気味の月末相場になる点には注意が必要です。イベント的にはFOMC議事録と米国PCEの発表が重要度が高いのですが、大きく流れを変えるような動きにはならないと見られます。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

9月安値からの中期上昇トレンド(ピンクの平行チャンネル)を下抜けるかどうか微妙な水準にあるものの、それほどきれいなチャンネルでも無いため、現状は高値圏でのもみあいが続いているという程度の押さえでよいでしょう。他にトレンドを見るテクニカル指標としては長期的には20週移動平均、短期的には5日始値・終値移動平均を参考にしていますが、前者は上昇トレンド継続中、後者は水曜終値時点で短期下降トレンド入りといった動きを見せています。

今週は基本的にコアレンジを154〜155円の横方向の動きを考えていますが、やや下方向に余裕を見ておきたいと思いますので、153.00レベルをサポートに155.25レベルをレジスタンスとする流れとします。

もみあい継続するも動くならば下方向の調整か 2枚目の画像

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

11月25日(月)
18:00 ドイツ11月ifo企業景況感
25:30 レーンECB理事講演 ☆
26:30 ドイツ連銀総裁講演 ☆

11月26日(火)
17:00 フランス中銀総裁講演 ☆
23:00 米国9月住宅価格、ケースシラー住宅価格 ☆
24:00 米国11月消費者信頼感、リッチモンド連銀製造業景況指数 ☆
24:00 米国10月新築住宅販売
28:00 FOMC議事要旨公表 ☆

11月27日(水)
16:00 ドイツ12月消費者信頼感
16:45 フランス12月消費者信頼感
22:30 米国7〜9月期GDP改定値 ☆
22:30 米国10月卸売在庫、耐久財受注
22:30 米国新規失業保険申請数
23:45 米国11月シカゴ購買部協会景況指数 ☆
24:00 米国10月個人所得・消費支出 ☆
24:00 米国10月住宅販売保留件数
24:30 週間原油在庫統計
27:00 レーンECB理事講演

11月28日(木)
**:** 米国市場休場 ☆
19:00 ユーロ圏11月消費者信頼感
22:00 ドイツ11月CPI速報値 ☆

11月29日(金)
08:30 本邦11月東京区部CPI ☆
08:30 本邦10月失業率・有効求人倍率
16:00 ドイツ10月小売売上高
16:45 フランス11月CPI速報値 ☆
16:45 フランス10月PPI
16:45 フランス7〜9月期GDP改定値
17:55 ドイツ11月失業率
19:00 ユーロ圏11月CPI速報値 ☆
**:** 米国市場短縮取引

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

11月18日(月)
週明けのドル円は東京市場では特段大きな材料が無い中で植田日銀総裁の講演に注目が集まり、従来からの見解に変化がなかったことを安心材料とした円売りが先行しました。この流れはNY市場まで続きNY朝方に155.36レベルの高値をつけましたが、155円台では戻り売りを考える向きも多く、またユーロドルが買われた動きもあって154円台半ばへと押して引けました。

11月19日(火)
ドル円は東京市場では154円台前半で方向感がはっきりしない動きを続けていましたが、欧州市場に入りウクライナがロシアに向けて長距離ミサイルによる攻撃を行ったこと、またロシアが核ドクトリンを変更したと伝わったことからリスクオフによる株安と為替市場では円買い、ユーロ売りが広がりました。ドル円は153.27レベルの安値をつけ、その後は安値圏での様子見が続いていましたが、NY市場に入りロシア外相がロシアの立場は核戦争が起きないことと明言したことで完全に行って来いの値動きとなりました。

11月20日(水)
ドル円は前日NY市場の流れを受けてドル買いが先行、米金利も上昇する動きを強めていたことにも反応し、NY市場が始まる前には一時155.88レベルの高値をつけました。しかし、ウクライナ情勢も不透明な中で積極的なリスクオン相場にもなれず、155円の大台目前まで下げた後に155円台半ばに戻して引けました。

11月21日(木)
ドル円は東京朝方から上値の重たい展開が続き、東京時間に米欧双方の関係者が12月の追加利下げを示唆する発言が伝わったことからドル円、ユーロ円での売りが強まりました。その後も上値が重い流れが続き、NY前場には153.90レベルの安値をつけましたが、ユーロドルの下げによるドル買い戻しの動きも入り154円台半ばでの引けとなりました。

11月22日(金)
ドル円は東京朝方に153.96レベルの安値をつけたものの154円割れではドル買いオーダーも見られ、その後は上下しながらもユーロ売りの勢いが強くドル円も買いが目立ちました。NY市場朝方には155.02レベルの高値をつけましたが、155円台では売りも見られ154円台後半に押して引けました。

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