三尊型形成か、三角持ち合いから上放れか、試される
〇トルコ円、11/21夕刻に4.45まで下げた後は4.47を挟んだ揉み合いに終始
〇対ドル、11/22は概ね34.60から34.22の取引レンジ、終値の史上最安値更新で越週
〇トルコ中銀の利下げ開始への思惑は交錯、市場では来年1月以降との声が優勢
〇4.45割れからは4.43前後への下落を想定
〇4.50超えからは上昇継続とみて4.51、4.52を順次試す上昇を想定
【概況】
トルコリラ円の11月22日は概ね4.49円から4.45円の取引レンジ、23日早朝の終値は4.48円で前日終値と変わらなかった。
9月16日以降はドル円の騰落を追いかけてきたが、ドル円が11月15日高値156.74円以降を155円を挟んだ持ち合いとして高値更新へ進めずにいるため、トルコリラ円は11月15日早朝高値4.56円から19日夕安値4.43円まで反落した後はこの高安レンジ内に留まり、20日夜高値4.52円まで戻してから21日夕刻安値4.45円まで下げた後は4.47円を挟んだ揉み合いに終始した。
週間では11月15日終値4.48円と変わらず、月間では22日終値時点で10月末終値4.44円から0.04円の円安リラ高となっている。
ドル円は米10年債利回りとほぼ相関した動きを続けている。米国の利下げペースが緩むとの見方で米長期債利回りが上昇した流れを追いかけてきたが、米10年債利回りが11月14日に一時4.51%をつけて9月17日の年初来安値である3.60%以降の最高としてから上げ渋っているために、ドル円も11月15日に156.74円へ上昇して9月16日安値139.57円以降の最高値とし、19日に153.28円まで反落した後は154円割れを繰り返し買われつつ持ち合い型の動きに留まった。
ドル円にとっては、米FRBが12月利下げの後に利下げ見送りへ向かうとの見方や、12月も利下げ見送りとなる可能性が指摘されていること、ユーロやポンドの下落によるドル高優勢の流れが上昇要因だが、日銀による12月追加利上げの可能性を排除しないとする植田日銀総裁らの姿勢や加藤財務相等による円安けん制、ユーロ等の下落によるクロス円全般の下落が円高を招きやすいこと、ウクライナ・ロシア情勢の緊迫化によるリスク回避的円高感が上値を抑える要因となっている。25日早朝の下落はトランプ次期政権における財務長官指名を反映したドル安との見方もある。
トルコリラ円は、ドル/トルコリラが終値の史上最安値を更新して週を終えてリラ安基調が続いていることを踏まえつつ、ドル円の流れを慎重に追いかける展開と思われるが、日足チャートでは11月15日早朝高値を頭、11月7日高値と20日高値を両肩とした三尊型を形成しつつある点に注意したい。
11月8日と19日の両安値4.43円によるフラットな下値支持線が三尊のネックラインであり、4.43円割れを回避する内は11月15日早朝高値以降を三角持ち合いとして持ち合い上放れへ進む可能性を残すが、4.43円割れからは三尊完成により9月16日以降の上昇トレンドから転落して下落が長期化することも懸念される。
【ドル/トルコリラは終値の史上最安値更新で週を終える】
ドル/トルコリラの11月22日は概ね34.60リラから34.22リラの取引レンジ、23日早朝の終値は34.54リラで前日終値の34.46リラから0.08リラのドル高リラ安となった。
11月15日に取引時間中の史上最安値を34.69リラへ大幅に更新し、終値ベースの最安値も15日から18日へ2営業日連続で更新した後を下げ渋っていたが、22日は4日ぶりに終値の史上最安値を更新した。
21日にトルコ中銀は政策金利を予想通りに据え置いたものの、市場は来年第1四半期での利下げ開始を見込み、早ければ12月利下げもあり得るとの声も聞かれるため、高金利継続がいずれ終了することでリラ安が進むとの見方で売られている印象だ。
為替市場全般は米国の利下げペース鈍化に対するECB(欧州中銀)の大幅利下げ見通しによりユーロドルが急落して9月25日以降の最安値を更新し、ポンドドルも9月26日以降の最安値を更新してドル高優勢としたが、25日早朝はユーロ等が反騰しており、トランプ次期政権財務長官人事を巡る報道でドル高に一服感が出ている印象もある。
週間では11月15日終値34.42リラから0.12リラのドル高リラ安、22日時点の月間は10月末終値34.25リラから0.29リラのドル高リラ安となった。
【トルコ中銀の利下げ開始への思惑は交錯】
トルコ中銀は21日の金融政策決定会合で政策金利の週間レポレートを8会合連続で50%で据え置いた。
中銀は、「月間インフレ率の顕著な低下が数カ月間続き、インフレが制御されるまで、引き締め政策の姿勢を維持する」としたが、「金融引き締めにより、国内需要の緩和、トルコリラの実質的上昇、インフレ期待改善を招き、財政政策も併せてデインフレの過程は強力になるだろう」と述べており、インフレ鈍化がより顕著になれば利下げを判断してゆく可能性を示唆した。
12月3日のトルコ11月CPIが予想以上に鈍化するならば、12月20日の中銀ビジネスサーベイ(エコノミストや企業トップに対する市況予想調査)を経て12月26日の次回金融政策決定会合で利下げに踏み切るか、年明け以降の利下げ開始を仄めかす可能性もあるとの声も聞かれる。しかし、インフレ鈍化の確認にはまだ数か月かかるとの見方も根強く、早くても来年1月以降との声が優勢のようだ。仮に12月利下げがあるとすれば、かつてインフレ抑制のために低金利政策が有効としたエルドアン大統領による政治的圧力が疑われ、海外からの投資意欲を削ぐことにもなりかねない。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月19日夕安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとしていたが、20日夜へ続伸してからの反落により21日午前時点では4.47円割れから弱気サイクル入りとし、21日夕への下落時に4.47円を割り込んだため、22日午前時点では20日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして22日午後から26日夕にかけての間への下落を想定した。
21日夕安値の後は4.460円割れを買われて4.48円台を売られる揉み合いのためまだ一段安余地ありとするが、4.50円超えからは強気サイクル入りとして25日夜から27日夜にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では21日夕への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、その後はもみ合いのために方向感に欠けるので、4.49円を超えないうちは一段安余地ありとし4.46円割れからは下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、4.49円超えからは上昇継続の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は20日夜の上昇時に70ポイントを超えてから30ポイント台へ失速したが、その後は30ポイント台から40ポイント手前での小動きにとどまっているため、次の45ポイント割れからは下落再開として30ポイント前後への低下を想定し、60ポイント超えからは上昇継続とみて70ポイント前後への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.45円を下値支持線、4.50円を上値抵抗線とする。
(2)4.49円以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは一段安余地ありとし、4.45円割れからは4.43円前後への下落を想定する。4.43円以下は反騰注意とするが、4.47円以下での推移なら26日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.49円から4.50円手前を戻り売り有利とするが、4.50円超えからは上昇継続とみて4.51円、4.52円を順次試す上昇を想定する。
【当面の主な予定】
11月25日
16:00 11月 製造業信頼感指数 (10月 100.9)
16:00 11月 設備稼働率 (10月 74.9%)
11月28日
16:00 10月 貿易収支確報 (9月 -51.3億ドル)
16:00 11月 経済信頼感指数 (10月 98)
20:30 週次 外貨準備高 11/22時点 グロス(11/15時点 940.9億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 11/22時点 ネット(11/15時点 590.6億ドル)
11月29日
16:00 7‐9月 GDP 前期比 (4‐6月 0.1%)
16:00 7‐9月 GDP 前年同期比 (4‐6月 2.5%)
注:ポイント要約は編集部
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