『トルコ中銀は政策金利の据え置きを決定。一巡後の反発に期待』
〇今週のトルコ円、週初4.41まで下落後、週末4.48レベルに反発
〇急ピッチな下落に対するショートカバー、円キャリートレードの継続期待が支え
〇トルコ円、強い買いシグナルが成立、地合い崩れていない
〇トルコ経済復調期待、トルコへの資金流入期待、トルコ中銀利下げ後ずれ観測等もトルコ円を支持
〇引き続き、トルコリラ円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.35ー4.65
今週のレビュー(11/18−11/22)
今週のトルコリラ円相場は、週初4.48円で寄り付いた後、(1)加藤財務相による「為替動向、行き過ぎた動きには適切な対応を取る」との円安牽制発言(ドル円反落→トルコリラ円連れ安)や、(2)ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスク(一部メディアによる「プーチン大統領が核兵器の使用基準について従来よりも引き下げることを承認した」との観測報道→リスク回避の円買い圧力)、(3)エルドアン大統領による「(米国がウクライナに長距離地対地ミサイルATACMSによるロシア領内攻撃を容認したことについて)前向きな動きではない」との批判発言(米国・トルコ関係の悪化懸念)が重石となり、翌11/19にかけて、週間安値4.41円まで下落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)急ピッチな下落に対するショートカバーや、(5)円キャリートレードの継続期待(トルコリラと日本円の金利差に着目したリラ買い・円売り)が支えとなり、週央にかけて、週間高値4.53円まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(6)トルコ中銀会合のハト派的な内容(トルコ中銀は政策金利の据え置きを決定しつつも、声明文に「ディスインフレプロセスは力強さを増している」と記載するなど、近い将来の利下げ開始を示唆)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間11/23午前1時40分現在)では、4.48円前後で推移しております。
来週の見通し(11/25−11/29)
トルコリラの対円相場は、9/16に記録した史上最安値4.10円をボトムに切り返すと、11/15にかけて、約3カ月半ぶり高値4.56円(8/1以来の高値圏)まで上昇しました。今週はポジション調整主導で上値の重い展開が目立ちましたが、強い買いシグナルを示唆する「21日線と90日線のゴールデンクロス」「一目均衡表三役好転」「ダウ理論の上昇トレンド」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは崩れていない(下値余地は限定的→今週の下落は上昇トレンドの過程で見られる一時的な押し目)と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)外国人投資家による資金流入期待(格付会社S&Pは11/1にトルコの長期ソブリン債格付けの引き上げを決定)や、(2)トルコ中銀による利下げ開始時期の後ずれ観測(トルコ中銀会合は声明文に「ディスインフレプロセスは力強さを増している」と記載されるなど、ややハト派寄りの内容となったが、実際のインフレ率は加速しているため、市場ではトルコ中銀による利下げ開始は来年以降にずれ込むとの見方がコンセンサス)、(3)円キャリートレードの継続期待(トルコリラと日本円の金利差に着目した構造的なリラ買い・円売り)、(4)トランプ氏勝利に伴うトルコ株の上昇期待(トランプ次期政権がトルコの鉄鋼・繊維製品に対する関税を引き下げる可能性があるとの見方)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
来週予定されているトルコ11月設備稼働率や、トルコ10月貿易収支、トルコ第3四半期実質GDPが市場予想を上回る場合には、トルコ経済の復調期待を背景に、リラ買い圧力が強まるシナリオが想定されるため、当方では引き続き、トルコリラ円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.35ー4.65
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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