『約1カ月ぶり安値を更新するなど上値の重い展開が継続中』
〇今週の南ア円、S&Pによる格付見通しの上方修正等に早々に週間高値8.63まで上昇
〇買い一巡後はロシア・ウクライナを巡る地政学的リスク、ドル円相場の急反落に安値8.44まで下落
〇その後も上値は重く、8.54前後で越週
〇南ア円、日足が主要テクニカルポイント下抜け、テクニカルの地合い悪化
〇トランプトレード本格化、トランプ政権の関税引き上げリスク、南ア中銀利下げ観測等が重石に
〇南アランド円相場の弱気見通し(ベア見通し)を継続
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.35ー8.65
今週のレビュー(11/18−11/22)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初8.48円で寄り付いた後、(1)格付会社S&P Global Ratingsによる格付見通しの上方修正(安定的からポジティブへの上方修正)や、(2)ドル円相場の堅調推移(ややハト派寄りの植田日銀総裁発言を受けて円キャリートレード再開→ドル円・クロス円上昇→南アランド円連れ高)が支えとなり、早々に週間高値8.63円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(3)加藤財務相による「為替動向、行き過ぎた動きには適切な対応を取る」との円安牽制発言や、(4)ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスク(一部メディアによる「プーチン大統領が核兵器の使用基準について従来よりも引き下げることを承認した」との観測報道)、(5)ドル円相場の急反落(リスク回避の円買い圧力→南アランド円連れ安)が重石となり、翌11/19にかけて、週間安値8.44円(10/17以来、約1カ月ぶり安値圏)まで下落しました。
その後も、(6)南ア10月消費者物価指数(結果+2.8%、予想+3.0%)の市場予想を下回る結果や、(7)南ア9月小売売上高(結果+0.9%、予想+2.7%)の冴えない結果、(8)南ア中銀による25bpの追加利下げ決定(結果7.75%、前回8.00%)などが重石となり、本稿執筆時点(日本時間11/23午前1時30分現在)においても、8.54円前後での上値の重い展開が続いております。
来週の見通し(11/25−11/29)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、11/7に記録した約4ヵ月ぶり高値8.86円をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、一時8.44円(10/17以来の安値圏)まで下落しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、一目均衡表転換線、一目均衡表基準線、ボリンジャーミッドバンド)を下抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります(南アランドの対ドル相場は強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転が成立済)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トリプルレッド成立に伴うトランプ・トレードの本格化期待(インフレ再開と財政悪化を織り込む形で米長期金利に上昇圧力→新興国通貨に下押し圧力)や、(2)トランプ次期政権下での関税引き上げリスク(特恵関税制度であるAGOAから南アフリカが除外されるとの警戒感)、(3)南ア中銀による更なる利下げ観測(今週発表された南アCPIは、中銀が設定するインフレターゲットレンジ3.0%ー6.0%の中央値である4.5%を大幅に下回る2.8%へ急低下→更なる利下げ観測台頭)、(4)西側諸国との対立懸念(ラマポーザ大統領は10/22にプーチン大統領と会談し、「われわれは今後もロシアを大切な同盟国と見なしアパルトヘイトとの闘いの時代からわれわれを支えてくれた大切な友人と見なす」と表明)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の弱気見通し(ベア見通し)を継続いたします。尚、来週は南ア10月生産者物価指数や、南ア10月貿易収支が予定されております。
来週の予想レンジ(ZARJPY):8.35ー8.65
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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