ユーロ レジスタンスで売り下抜けを狙いたい(週報10月第3週)

先週のユーロドルは、比較的狭い値幅の中で横方向のもみあいを続けていました。

ユーロ レジスタンスで売り下抜けを狙いたい(週報10月第3週)

レジスタンスで売り下抜けを狙いたい

〇先週のユーロドル、強い米CPIにドル買いユーロ売りの動きで0.9632レベルに
〇その後ユーロ買いに切り返し0.9806レベル、週末は下げて当面の上と下を見た一週間に
〇ウクライナ、エネルギー問題などユーロにとって好材料がほとんど見当たらない状況続く
〇短期的には0.97台半ばをもみあいの中心とした方向感がはっきりしない展開
〇今週は0.9600レベルをサポートに、0.9900レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは、木曜の米国CPIまでは0.96台後半で底固めをしつつも0.97台半ばに近づくと売りも出てくるといった感じで比較的狭い値幅の中で横方向のもみあいを続けていました。均衡を崩したのは強い米国CPIで直後はドル買いユーロ売りの動きから0.9632レベルとそれまでのサポートを一気に下抜けたものの、売り過ぎたのかすぐに買い戻しが入るとユーロ買いへと切り返し、0.9806レベルと値幅を伴う強い買いが入りました。週末は下げて引けたので当面の上と下を見た一週間となりました。

欧州材料としてはロシアによるウクライナの攻撃激化が週末のプーチン発言でいったんは収まるであろうとの見通しから悪材料がひとつ落ちましたが、両国の争いが長期化することは避けられませんし、それに付随してのエネルギー問題が今後冬に向かう欧州の産業界も含めた節電、節ガスによる景気後退懸念など、ユーロにとっての好材料がほとんど見当たらない状況が続きます。

そこに英国での減税に端を発するポンド売りとその後の撤回による買い戻しといった英ポンド要因や週末のバイデン大統領によるドル高容認発言など米ドル要因などがミックスし、方向性を明確にしづらい市場環境となっています。長期的にはユーロ売りが続きやすいものの短期的には0.97台半ばをもみあいの中心とした方向感がはっきりしない展開が続くものと見られます。

テクニカルにもこうした動きを示すチャートとなっています。いつもの日足チャートをご覧ください。

レジスタンスで売り下抜けを狙いたい

年初来高値からのレジスタンスライン(青の太線)と平行ラインと(青)とで構成される下降チャンネル内での動きは依然として有効ですが、短期的には年初来安値と先週安値を結んだサポートライン(ピンク)もあり、長期レジスタンスラインと短期サポートラインとでトライアングル(三角もちあい)を形成中です。

方向感が出るにはこのトライアングルをどちらかに抜ける必要がありますが、長期レジスタンスラインは上ヒゲで抜ける程度でずっと抑えられていることを考えると、今回もレジスタンスラインの位置する水準で戻り売りを狙う参加者はかなり多いと考えられます。ポジション(シカゴ通貨先物での投機ポジション)的にはユーロは買いとなっていることも戻り売りがより有効になると考えたい材料です。

そうなるとサポートの下抜けを考え、その後年初来安値をトライしに行く流れが考えられますので、ドル円とともに今週も基本はドル高ということで良いかと思います。今週は10月安値を若干下回る0.9600レベルをサポートに、レジスタンスラインが位置する0.9900レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロ円の日足チャートを見ておきましょう。

レジスタンスで売り下抜けを狙いたい 2枚目の画像

ドル円での円安進行からユーロ円も10月初めの高値を上抜け9月高値(年初来高値)145.62レベルを視野に入れる展開となってきました。

ユーロドルではレジスタンス水準での戻り売りを考えていますので、そのタイミングとユーロ円の年初来高値更新が重なるかもしれません。ユーロ円が年初来高値を更新し上昇ウエッジの上側のライン(ピンク)に到達するようであれば、ユーロ円もユーロドルも売りとなるという見方をしておきたいと思います。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

10月17日(月)
17:00 デギンドスECB副総裁講演
24:00 レーンECB理事講演 ☆
28:00 ドイツ連銀総裁講演

10月18日(火)
18:00 ドイツ10月ZEW景況感
18:00 ユーロ圏10月ZEW景況感
25:00 シュナーベルECB理事講演

10月19日(水)
15:00 英国9月CPI ☆
18:00 ユーロ圏9月CPI
18:00 ユーロ圏8月建設支出
23:00 カンリフ英中銀副総裁議会証言
23:00 ポルトガル中銀総裁講演
27:00 ベージュブック ☆

10月20日(木)
15:00 ドイツ9月PPI ☆
15:45 フランス10月企業景況感
**:** EUサミット(〜21日)

10月21日(金)
08:01 英国10月消費者信頼感
15:00 英国9月小売売上高
23:00 ユーロ圏10月消費者信頼感速報値 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

10月10日(月)
ユーロドルは東京、米国市場がともに休場となる中でドル買い・ユーロ売りの流れが続き、欧州市場前場には0.9682レベルの安値をつけました。その後の海外市場では安値圏でもみあいのまま方向感の無い状態で終わりました。

10月11日(火)
ユーロドルは東京昼過ぎに0.9670レベルと週間安値は更新したものの下げきれず、その後は買い戻しが目立つ流れが続きました。NY市場では米金利低下とともに一時0.9775レベルの高値をつけましたが、引けにかけてはポンドの下げとともにユーロも買われる前の水準に押して引けました。

10月12日(水)
ユーロドルはドル円のドルの動きに引っ張られて上値が重たいいっぽうでユーロ円の買いが下支えし、ほぼ横ばいの1日となりました。NY市場前場に一時的に0.9668レベルの安値をつけましたが、引けでは0.97台に戻して引けました。

10月13日(木)
ユーロドルは東京市場では0.97前後でのもみあい、欧州市場ではポンドの買い戻しが強まる動きとともにユーロドルも0.97台半ばまでじり高となりCPI待ち。予想よりも強いCPI後のドル買いからユーロは0.9632レベルまで売られましたが、その後の買い戻しも急で0.9806レベルまで買われ、やや押しての引けとなりました。

10月14日(金)
ユーロドルはドル円に引っ張られてドル高地合いが続きNY市場前には0.9709レベルまで下押ししていました。その後プーチンがウクライナへの大規模攻撃は考えていないと発言したことで一時的にユーロ買いとなり0.9800レベルの戻り高値をつけましたが、すぐに0.9707レベルへと反落、引けにかけては上値の重たい地合いのまま引けました。

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