金利差に着目した円全面安の流れは継続
〇本日のドル円、先週高値122.44を上抜け123円も突破、円全面安の展開で123.30-35まで上昇
〇日銀による、国債金利の上昇抑制のための指し値オペ通告、材料視される
〇利上げに対する日米の金融政策の違いにより、円を積極的に買い進めにくい状況
〇テクニカルには123.60-80が現実的なターゲット、超えれば2015年6月の125.86が視界内に
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ122.90-124.20、123.60-80がターゲット
〇ドル安・円高方向は、これといったサポートがないが再び1円程度の深押しの可能性も
<< 東京市場の動き >>
週明け28日の東京市場は、結果として円全面安。ドル/円は先週示現した高値を早くも更新、123円台へと乗せてきている。
先週末は、「停戦合意」を含めウクライナ情勢で興味深いニュースが複数観測されるなか、中国上海で新型コロナの感染が拡大し、「28日から事実上のロックダウンに入る」ことが話題となっていたようだ。
そうした状況下、ドル/円は先週末のNYクローズよりも若干円高である122円前後で寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。先週高値122.44円をなかなか超えられなかったが、上抜けるとそのまま緩やかな右肩上がりをたどり、ついには123円も突破した。日銀が「国債金利の上昇抑制」を目的として「指し値オペを通告」したことが材料視されていたという。123.30-35円まで上値を広げ、16時現在でもそのままドルの高値圏で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「ロシア情勢」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、ロイターが「停戦交渉は28-30日にトルコで行われる」と報じたこともあり、一部では期待を抱く向きも依然としてあるものの、実際には進展もなかなか難しいのかもしれない。実際、インタファクス通信は、ロシア側で交渉に携わるメジンスキー大統領補佐官が「重要な問題での進展は限られている」とし、交渉の足踏みを認めたと報じている。そうしたなか、「チェルノブイリ原発周辺で山火事が発生した」との報道や、IAEA事務局長から「原発技術者200人以上住むスラブチッチがロシア軍に掌握されたことで、原発保守や管理に支障の出る恐れがある」とのコメントが聞かれるなど、原発に関連した報道が相次ぎ思惑が広がっていた。
対して後者は、24日に北朝鮮が発射した飛翔体をめぐり、日米韓の北担当高官が個別電話会談を行い、それぞれ「北朝鮮を非難」。ただ、開催された緊急の国連安保理は、中国が「緊張を高める行動を取ってはならない」と主張し、制裁強化決議に反対したため、結局非難声明の発表は見送られている。ロシアによるウクライナ侵攻に続き、北朝鮮対応でも国連の機能不全を露呈した感を否めない。
<< 欧米市場の見通し >>
円全面安の流れは本日東京時間も継続。と言うより、前述した日銀の「指し値オペ通告」により、円売りの流れがさらに加速した感すらうかがえる。実際、本日東京だけで1円を超えるドル高・円安だ。先週末に初めてポジション調整らしき動きが観測されたとはいえ、市場はまだ明らかにドルロングであるものの、それでもさらなるドル高の進行を見込む向きが優勢と言わざるを得ない。
これまでも、「利上げに消極的な日本」と「積極的な米国」という両国の金融政策の違いを背景にドル高・円安が進行してきたが、この期に及び改めて方向性の違いが露呈されている。度々指摘しているように、金利差が市場変動要因のすべてではないとはいえ、なかなか円を積極的に買い進めるという状況にはないようだ。問題は、日本の当局者を中心とした「円安けん制発言」だが、本日に限れば日本当局の対応が円安を増長させた面もあるだけに、なかなかコメントはしにくいとの指摘も聞かれている。
テクニカルに見た場合、ドル/円は本日東京で先週高値の122.44円を単に超えただけでなく、1円近い123.30-35円まで上値を広げている。中期的な上値メドとして、「週報」でも取り上げた123.60-80円がすでに間近で現実的なターゲット。もし超えたら、2015年6月の125.86円が名実ともに視界内にとらえられるだろう。
ただし、何かの拍子で調整が入った場合には、1-2円の振り落としが入っても不思議はない。
材料的に見た場合、中長期的にはロシアや北朝鮮擁護の姿勢が再び強まりつつある感がある「中国情勢」、バイデン氏訪欧に同行した米高官のコロナ感染が発覚し、大統領への感染も懸念されている「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」、「エネルギー・穀物相場への懸念」−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、2月の卸売在庫速報や3月のダラス連銀製造業活動指数などが発表されるほか、米財務省による2年債の入札等も実施される見込みだ。また、バイデン米大統領による予算教書予算教書の発表(日本時間29日午前3時45分)、トルコで行われる停戦交渉の行方などにも一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは122.90-124.20円。中期的な上値メドと考えていた123.60-80円がすでに現実的なターゲットに。上抜けると124円台乗せも否定できないだろう。
対するドル安・円高方向は、これといったサポートがないが、123円前後で仮に下げ止まらないなか、再び1円程度の深押しとなる可能性もある。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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