ユーロ ウクライナ停戦協議長期化で上値は重く(週報3月第4週)

先週のユーロはロシアとウクライナの停戦協議は長期化するとの見方が広がり、改めてユーロの上値が重たい展開となりました。

ユーロ ウクライナ停戦協議長期化で上値は重く(週報3月第4週)

ユーロ ウクライナ停戦協議長期化で上値は重く

〇先週のユーロ、ロシア・ウクライナ停戦協議長期化との見方広がり、ユーロの上値が重たい展開
〇米連銀総裁の積極的利上げ示唆からドル買いの動き、一時1.0961レベルの安値つける
〇今週はドイツCPI・ユーロ圏CPIの速報値発表予定
〇今週もトルコにて停戦協議実施予定だが、停戦合意に至る可能性低いか
〇今週は突発的なことが無い前提で、1.0825レベルをサポートに1.1075レベルをレジスタンスとする

今週の週間見通しと予想レンジ

先々週のユーロはECBによるインフレ懸念と早期緩和縮小思惑によるユーロ買いでしたが、先週のユーロはロシアとウクライナの停戦協議は長期化するとの見方が広がり、改めてユーロの上値が重たい展開となりました。またウクライナ問題から波及して景気減速懸念の中でECBが利上げを開始することによるスタグフレーションが現実的な懸念となってきていることから、当面はECBの緩和縮小思惑も素直にユーロ買いとはならない展開が続くと思われます。

今週のイベントとしては30日にドイツのCPI、1日にユーロ圏のCPIの速報値がそれぞれ発表されますが、前回から更なる上昇となりドイツが6.4%、ユーロ圏が6.5%の予想となっています。仮に予想通りの数字が出てもECBの緩和縮小早期化の思惑に繋がりそうですが、いっぽうで景気後退の懸念があるため、ユーロ買いが見られればカウンターですぐに売りが入ってくる展開が予想されます。

また今週も先週に続いてロシアとウクライナによる停戦協議がトルコで行われますが、ウクライナ側は28〜30日、ロシア側は29〜30日と日程に差異があり、共通項を取るとロシア側の29〜30日にトルコ国内において対面で行われるということになりそうです。しかし、ウクライナ側が譲歩姿勢を示してもロシア側は更なる譲歩を求めそうですし、ウクライナ東部ではロシア編入への住民投票が行われるというニュースも聞こえてきます。当然、制圧地域での住民投票の結果は歪んだものとなるため、ウクライナ側は反発と今週もとても停戦合意に至るとは思えません。

またこれまでは国外で起きていた反プーチンの動きがロシア国内の主要都市でも強まっていて、連日数千人の逮捕者が出ているようです。また反プーチンの政治家ナワリヌイ氏に対して新たに懲役9年の追加刑が出るなど、ロシア当局による圧力も強まっています。これまでにもこうした動きは旧東欧などで見てきたことですが、プーチン失脚の可能性も徐々に高まって来ています。3月初めには米国在住の元ロシアの富豪がプーチンの首に懸賞金をかけていましたので、ロシア軍の反乱が起きるのか、追い詰められたプーチンが何かしでかすのか、ますます不透明な状況となってきたため、本流はしばらくユーロの戻り売りとしか言えません。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

ユーロ ウクライナ停戦協議長期化で上値は重く

大きくはピンクの平行線で示した下降チャンネルの中で上値は1.1100水準が依然としてレジスタンスとして効いていると見られます。また以前のサポートとなっていた青のラインが1.10台後半に位置しているため、手前では同水準では上値が重くなりやすいと言えます。

いっぽうで下値はまだ距離はあるもののピンクの下降チャンネルの下側のラインと重なる1.0800水準がサポートとなります。停戦協議がまとまらず今後万が一にもロシアが核ミサイルなどということになると暴落するリスクがありますが、現状ではさすがにそこまでの事態は想定されていないと見られます。あってはならないことですが、可能性として考えておかなくてはならないでしょう。

今週は突発的なことが無い前提で1.0825レベルをサポートに1.1075レベルをレジスタンスとする一週間を見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロ円の月足チャートです。

ユーロ ウクライナ停戦協議長期化で上値は重く 2枚目の画像

先週執筆時点では調整が入りやすい水準と見ていましたが、円独歩安のスピードも速く昨年高値を上抜け2018年2月以来の水準となってきました。

2018年2月の高値が137.49レベルですから、純粋にチャートだけからの判断では次のターゲット兼レジスタンスは137円台半ばということになりますが、ユーロ以上にそこまで円安が進むのかとなると正直疑問に感じます。

ただ可能性は低いものの停戦合意という話が出てくる時には、このターゲットも一気に上抜ける可能性がある点には注意が必要です。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

3月28日(月)
**:** 欧州市場夏時間移行
19:00 フィンランド中銀総裁講演
20:00 英中銀総裁講演 ☆

3月29日(火)
15:00 ドイツ4月GFK消費者信頼感 ☆
15:45 フランス3月消費者信頼感

3月30日(水)
17:00 ラガルドECB総裁講演 ☆
18:00 ユーロ圏3月消費者信頼感
21:00 ドイツ3月CPI速報値 ☆

3月31日(木)
15:00 ドイツ2月小売売上高
15:00 英国10〜12月期GDP改定値 ☆
15:00 英国3月住宅価格
15:45 フランス3月CPI速報値 ☆、2月PPI
16:55 ドイツ3月失業率
17:00 レーンECB理事講演 ☆
18:00 ユーロ圏2月失業率

4月1日(金)
16:50 フランス3月製造業PMI
16:55 ドイツ3月製造業PMI
17:00 ユーロ圏3月製造業PMI
17:30 英国3月製造業PMI
18:00 ユーロ圏3月CPI速報値 ☆
21:30 米国3月雇用統計 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

3月21日(月)
ユーロドルは上値は若干重たいものの1.10台半ばでのもみあいを続けていましたが、NY市場に入りパウエルFRB議長が積極的な利上げを示唆する発言をきっかけに1.1010レベルまで水準を下げ安値圏での引けとなりました。

3月22日(火)
ユーロドルは東京市場では前日パウエル議長発言以降のドル買いの動きから上値が重たい展開となり東京後場には1.0961レベルの安値をつけました。欧州市場に入ると円売りの動きがクロス円でも加速し、ユーロ円の買いとともにユーロドルも上昇、1.10台半ばへと買い戻された後は若干押して引けました。

3月23日(水)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場に入りドラギ伊首相がウクライナ情勢に不透明感を示したことをきっかけに下げる動きに。ドル円とともにユーロ円の売りも出ていたことからユーロ円は東京朝方の高値133.90レベルから132.33レベルまで下押しし、引けにかけてはユーロドル、ユーロ円ともに欧州前場水準へと戻しました。

3月24日(木)
ユーロドルはウクライナ情勢の長期化が予想されるため上値が重たい流れではありましたが、ユーロ円での円売りがユーロ安を中和した状況でした。NATO軍はロシアが核兵器を使用する可能性を考えた準備をし始めたとのニュースもあり、ユーロの戻りでは売りが出やすくなってきました。

3月25日(金)
ユーロドルは東京前場にはドル円とともにドル売りの動きから買いが先行していましたが、その後はじり安の展開が続き、ウクライナ情勢が不透明なことから週末前のポジション調整も出ていた様子でした。ロシアとウクライナとの停戦協議が続いていますが、早期解決は困難との見方が強く短期的な材料とはなりにくくなってきました。

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