「英国まさかのEU離脱」
予想外の英国のEU離脱
衝撃的な結果となりました。
最離脱51.9%、残留48.1%(投票率72.2%)
英国がEU離脱への道を歩むこととなりましたが、世論調査もブックメーカーも誰もが予想できなかった結果です。
金融市場混乱、ポンドは今後対ドル1.20へ?
投票日前夜までは残留支持がリードしていたことからポンドの買い戻しを中心にリスクオンの動きとなり、今朝も投票締め切り直後の世論調査では残留優勢とのニュースに、ポンドドルは1.5019レベル、ポンド円は160.12レベルの高値を付けていました。
様子がおかしくなり始めたのは、サンダーランド地区で離脱多数となり全体の状況もわずかに離脱が優勢となった時点です。その後も一進一退の動きはあったものの徐々に離脱票がリードし、最終結果を待たずにEU離脱が決定。金融市場全体が大混乱に陥りポンドドルは1.3290レベル、ポンド円は133.56レベルへと暴落。朝方のポンド高値から考えるとポンドは1729ポイント安、割合にして11.5%の下げとなりました。その後、やや戻し17時現在で1.38前後となっています。
当レポート第3回で「短期的に10%程度の下落、中期的には20%の下落は考えてもよいのではないか」という見方を紹介しましたが、短期的な10%程度の下落は既に見ることとなりましたので、中期的にもう10%、レートにすると1.20あたりを伺う展開が予想されます。
今後起こること、世界同時株安?
さて、今後起こり得ることを考えていきます。
まず、今回の国民投票の結果を受けEU離脱への道を歩むこととなりますが、実際に様々な手続きを経て離脱に至るまでには数年かかると言われます。そして当面の間は常に英国発のリスクオフ要因と捉えられますので、ポンド売りだけでなく通貨全般のリスクオフ相場、英国株の売りが波及しての世界同時株安の懸念がつきまといます。
英国分解
英国のキャメロン首相は、投票結果を受け辞意を表明しましたが、残留が多数であったスコットランドでは改めて国民投票を行い英国からの独立を目指す方向です。そうなると、将来的にスコットランドはEUに入り通貨もユーロとなるでしょう。更に、北アイルランドも独立しアイルランドとの統合という流れも見えてきます。経済だけでなく政治的にも不安定な時代を迎えることとなりますが、実質的には英国の分解です。
地域別の投票結果がこうした状況をよく表しています。EU離脱後の英国とは距離を置きたいというEU離脱支持派と同じ発想で、英国離脱という動きが高まります。
離脱 残留
イングランド 53.4% 46.6%
ウェールズ 52.5% 47.5%
スコットランド 38.0% 62.0%
北アイルランド 44.2% 55.8%
EU弱体化 ユーロ、パリティへ?
そしてEUにも大変な試練が待ち受けています。ブレグジットに続いてフレグジット(フランスのEUからの離脱)といった他国における国民投票実施の機運が高まります。そうなると、EUの崩壊にまではつながらなくとも、弱体化は避けられません。そうなると、ユーロもポンド同様に売られる可能性が高まります。こちらは一時期遠のいていたパリティの思惑が復活する可能性が高くなります。
米国利上げ遠のく、シティ存続は可能か?
いずれにしても、世界経済にとって明るい材料は短期的にも、中期的にも無いと言えます。しばらくは英国問題への対応に各国が神経をとがらせることとなりますので、米国の7月利上げも可能性が無くなったと見てよいでしょう。金融関係者にとっては金融センターであるロンドンのシティ存続も危ういかもしれません。金融機関によってはフランクフルトにセンターを移すといった動きが出て来る可能性が高いといえます。
リスクオフは今日は始まり・・
政治、経済すべてにおいて確かなことは何もありませんが、上振れは無くとも下振れはいくらでもあるという認識でいたほうがよいと同時に、本日のポンド急落をはじめとする金融市場全般のリスクオフの動きは、今日が始まりと後から振り返って認識することになると思っています。
今後もブレグジット関連で注意すべき点が出てきた場合には、適宜テーマとして取り上げていきます。
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