ドル円 緩やかなドル安傾向が続く(週報12月第3週)

先週のドル円は、週初のポンド高の動きがきっかけとなってドル売りが強まり103円台半ばへと下押し。木曜には一時102円台へと入り込み3月以来の安値をつけました。

ドル円 緩やかなドル安傾向が続く(週報12月第3週)

緩やかなドル安傾向が続く

〇先週のドル円、木曜に一時102円台へと入り込み3月以来の安値
〇実需筋のドル売りも着実に水準を下げ、ドル買い戻しが出ても戻りは鈍い状況続く
〇今週はドル円もEUと英国との協議の行方次第
〇今週は102.40レベルをサポートに、103.60レベルをレジスタンスとする週

今週の週間見通し

先週のドル円は週初のポンド高の動きがきっかけとなってドル売りが強まり、ドル円は103円台半ばへと下押し。その後も買い戻しの局面では着実に売りがかぶさってくる動きとなり、FOMCでの追加緩和思惑もあり、103円台前半まで下押ししてのFOMC待ち。FOMCでは追加緩和こそ無かったものの、フォワードガイダンスの変更で超緩和が長期化するとの見方から改めてドル売りが広がり、木曜には一時102円台へと入り込み3月以来の安値をつけました。

ドル円は10日の戻り高値をつけた104円台半ば以降は、ポンドの動きやFOMC直後の反応といった一時的なドル買い戻しの動きを除くと一貫してドル安の流れが続き、102円台後半までドル安・円高となってきました。その間ドル買い戻しからのドル安回帰への動きを見ていると実需筋のドル売りも着実に水準を下げてきている印象です。ユーロ高の動きが止まればドル安の動きも鈍ってはくるものの、ドル円はユーロドルに比べると出遅れているともいえ、ドル買い戻しが出ても戻りは鈍いという状況が続きそうです。

主要国の金融政策イベントが一巡し、今週は海外では週後半のクリスマスを控えて市場参加者が減ってきます。EUと英国との協議の行方によってはポンドが波乱の中心となる可能性もあり、良い結果でも悪い結果でも流動性が低い中で振れる要因になり得る点には注意が必要です。特に年初来安値を視野に入れ始めたドル円の場合、協議がまとまらずに合意無き離脱となりポンド円の下げがドル円にも影響するという動きが最も荒れる要因となります。

逆に協議が継続中のままで進み、これといった材料も出て来ないということになると、クリスマスに向けて徐々に動きが鈍くなるでしょうから、今週はドル円もEUと英国との協議の行方次第というところだと思います。なお、今回のレポートは土曜に執筆していますが、週末も通商協議は継続しますので、先週同様週明けの動きには要注意です。

テクニカルに見てみましょう。日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

引き続き7月高値からのレジスタンスラインは有効ですが、徐々に離れてきています。このレジスタンスラインと平行に引いたラインとで構成する下降チャンネルの中でのドル安の流れを長期的には続けていると考えられますが、最近の動きとしては青のラインで示したトライアングルを下抜けているため、抜けた青のサポートラインが現在はレジスタンスとなってきていると考えられます。

サポートについては、値幅観測的な水準は既に下抜けていますので、上記下降チャンネルの下限がサポートとなりますが、逆N波動で示したターゲット(青)の102円台後半と前半が目先のターゲットとなっています。上記のことを考え、今週は102.40レベルをサポートに、103.60レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

12月21日(月)
24:00 ユーロ圏12月消費者信頼感速報値

12月22日(火)
16:00 英国7〜9月期GDP改定値
16:00 ドイツ1月GFK消費者信頼感
22:30 米国7〜9月期GDP確報値
24:00 米国12月消費者信頼感
24:00 米国12月リッチモンド連銀製造業景況指数
24:00 米国11月中古住宅販売

12月23日(水)
08:50 日銀会合議事要旨公表
16:45 フランス11月PPI
22:30 米国新規失業保険申請数
22:30 米国11月個人所得・消費支出
22:30 米国11月耐久財受注
23:00 米国10月住宅価格
24:00 米国12月ミシガン大消費者信頼感
24:00 米国11月新築住宅販売
24:30 週間原油在庫統計

12月24日(木)
**:** 黒田日銀総裁講演
20:00 トルコ中銀政策金利発表
**:** 東京を除く主要市場取引所が短縮取引

12月25日(金)
**:** 東京を除く主要市場は全休場
08:30 本邦12月東京区部CPI
08:30 本邦11月失業率・有効求人倍率

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

12月14日(月)
 週末にEUと英国が協議を継続することで合意したことによるポンド高の動きがドル安となってドル円でもドルが売られる展開となりました。東京市場では動きが鈍かったものの、欧州市場以降ポンドが一段高の動きとなる中でNY市場前場にはドル円も103.51レベルの安値を付けましたが、ポンドが反転下落する動きに引っ張られ104円台に戻して引けました。

12月15日(火)
 ドル円は東京市場では104円台前半の狭いレンジの中で動意薄の流れが続きました。欧州市場に入り104.15レベルでの上値の重さもあり、徐々に下げ始める動きになると前日上げた動きに対する調整が目立ってNY引け間際には103.61レベルまで水準を下げ安値圏での引けとなりました。

12月16日(水)
 ドル円はFOMCでの追加緩和期待もあって前日からのドル売りの流れが継続、週間安値を下回ると短期筋のストップが入り、欧州市場ではユーロドルのユーロ買い・ドル売りに引っ張られて一時103.26レベルの安値をつけました。FOMCに向け日中のショートカバーから東京朝方の水準に戻していましたが、追加緩和が無かった直後には103.92レベルまで買い戻し。引けにかけてはフォワードガイダンスの強化が改めてドル売りの動きとなり103円台半ばで引けました。

12月17日(木)
 ドル円はFOMCのフォワードガイダンスで超緩和状態が長期化することを確認して以降はドル売りの流れとなり、朝から一貫してドル売りの動きとなりました。東京後場に前日安値を下抜けてからもNYの昼前までドル売りが続き、一時102.87レベルの安値をつけ引けにかけては103円台に戻しました。

12月18日(金)
 ドル円は前日に102円台をつけ短期筋のポジションがドル売りに傾いていたことから週末を前にポジション調整の買い戻しが目立ちました。欧州市場では再びドル売りとなっていたものの下げきれず、引けにかけてはやや買い戻されての引けとなりました。

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