ドル円 Xマス週で参加者乏しい、基本はレンジ取引(週報12月第3週)

先週のドル/円相場は、ドルが弱含み。一時102円台まで下落し、3月以来9ヵ月ぶりの安値を示現する局面も観測されていた。

ドル円 Xマス週で参加者乏しい、基本はレンジ取引(週報12月第3週)

Xマス週で参加者乏しい、基本はレンジ取引

〇ドル円、一時102円台まで下落、3月以来9ヵ月ぶりの安値を示現
〇英EU通商交渉、18日にEU首席交渉官「合意への障害は依然大きい」と発言
〇クリスマスモードの為替市場、「薄商い=荒れ模様」に注意
〇米新型コロナ「ワクチンへのアレルギー症例が合計6例発覚」と発表
〇今週は米7-9月期GDP確定値、12月リッチモンド連銀製造業指数発表予定
〇先週の102.88を下回れば年初来安値101.19まで目立ったサポートなくドル安進行の可能性
〇今週のドル/円予想レンジ102.20-104.20

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが弱含み。一時102円台まで下落し、3月以来9ヵ月ぶりの安値を示現する局面も観測されていた。

前週末は、新型コロナの新規感染者数が7000万人を上回ったことが明らかになったうえ、英EU首脳が電話会談を実施するなか「通商交渉続行」で一致し決裂が回避したと発表されている。
そうした状況下、ドル/円は103.95円前後でオープンしたのち、しばらくはレンジ取引。そのなかで週間高値である104.15円を示現した。しかし、レンジの下限だった103円半ばを下回ると、そのままズルズルと続落し、ついには9ヵ月ぶりの102円台へ。ただ、週末には調整的なドルの買戻しも散見され、NYでは103円台を回復した103.30円前後で越週している。
なお、先週はドル/円以外、たとえばユーロ絡みや豪ドル絡みの通貨ペアも、なかなか興味深い値動き。とくに豪ドルは対円やドルで年初来高値を更新するなど、一段高の動きだった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「英EU通商交渉」と「米FOMC」について。
前者は、先で指摘したように、13日に実施された英EU首脳の電話会談において、「通商交渉続行」で一致、決裂が回避された。これそのものはポジティブファクターで、週明けのポンド相場は下方向にギャップを空けての高寄りの一因に。しかし、トップや実務者などによる会談は週間を通して断続的に実施されたものの、結果的に目立った進展なく合意へはほど遠い膠着状態。実際、週末18日にはEU首席交渉官から「合意への障害は依然大きい」との発言が改めて聞かれている。ジョンソン英首相が事前に警告していた「通商協定がない状態となる可能性」が一段と高まっている感も否めない。

対して後者は、先週を通してもっとも注視されていた米FOMCで金融政策の発表が16日に行われ、FF金利の誘導目標レンジ据え置きを公表。そのうえで、「2023年まで実質ゼロ金利政策維持の方針」も改めて示されている。加えて、「月額の債券購入額を少なくとも1200億ドルで据え置く」ことを決定し、さらに購入期間に関する「今後数ヵ月にわたって」という従来の文言を削除していたようだ。発表前後の為替市場はなかなかの乱高下をたどるも、結果的にドルの下支えには寄与できず、ドル/円はそののち103円割れを示現した。

<< 今週の見通し >>

ドル/円は、週末NYこそ103円台で大引けたものの、ザラ場ベースでは一時9ヵ月ぶりの安値である102.88円まで下落している。リスクという意味では下向きで、年初来安値101.19円も薄っすらとだが視界内に捉えられてきた。今週は名実とも市場はクリスマスモードに入ることで、商いそのものがかなり限られるなか、週間を通して基本は「薄商い=小動き」か。しかし、先週の暗号資産ビットコインのように、一部の金融市場は薄商いのなか活況を呈しているものもあるにはある。為替市場も「薄商い=荒れ模様」に一応要注意で、リスク管理だけはしっかり行いたい。

そうしたなか目先の注目材料として、米国ファクターだけで大きく2つ挙げられている。ひとつは、新型コロナの感染拡大がいまだ止まらないなか、「ワクチン開発あるいは接種をめぐる動き」について。たとえば、この週末に米当局が「コロナワクチンへのアレルギー症例が合計6例発覚」と発表していたことも気掛かりだろう。2つ目は米国議会超党派グループが提案する「9000億ドル規模の追加経済対策」の合意の有無。ほぼ合意したとの報道もあるが、果たして!?

テクニカルに見た場合、ドル/円は過去1ヵ月程度維持していたレンジ下限103.66円に続き11月安値103.18円も下回ると、102円台へ。週末NYは103円台を回復したとはいえ、リスクはドル安方向にバイアスがかかりそう。
先で指摘したように、今週は基本的に「薄商い=小動き」が見込まれるが、「薄商い=荒れ模様」の展開にも一応要注意。先週記録した102.88円を下回ると、年初来安値101.19円まで目立ったサポートもないことで、なし崩し的なドル安が進行する可能性もある。

材料的に見た場合、中長期的には再び激化の兆しのうかがえる「米中の対立」やそれだけにとどまらない「様々な中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発」、「就任確実のバイデン新大統領による米政権人事と政権運営」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、7-9月期のGDP確定値や12月のリッチモンド連銀製造業指数といった米経済指標が発表される予定となっている。前者については、通常確定値があまり注目を集めることは少ないが、速報値と改定値が前期比年率プラス33.1%というかなりの好数字だったこともあり、維持できるかどうか注目されているようだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、102.20-104.20円。ドル高・円安については、今週中に104円を割り込んでくることがほぼ確実視されている移動平均の21日線をめぐる攻防にまずは注目。ザラ場ベースの動きもさることながら、NYクローズで上回れるのかにも注意を払いたい。
対するドル安・円高方向は、先週安値102.88円が目先のサポートとして意識されている。割り込むようだと、目立ったサポートはしばらくないのだが、102円前後などが意識される展開か。

Xマス週で参加者乏しい、基本はレンジ取引

ドル円日足

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