トルコリラ円見通し ドル全面安、新興国通貨高で11月24日からの持ち合い上放れ(20/12/21)

日足は12月16日から18日まで3日連続陽線となった。

トルコリラ円見通し ドル全面安、新興国通貨高で11月24日からの持ち合い上放れ(20/12/21)

ドル全面安、新興国通貨高で11月24日からの持ち合い上放れ

〇トルコリラ円、12/18深夜高値で13.55まで上昇し12/11夕刻に13円割れとなって以降の戻り高値を更新
〇日足は16日から18日まで3日連続で陽線に
〇対ドルでは18日深夜に7.60まで上昇、15日から18日まで日足は4日連続の陽線となった
〇24日の金融政策決定会合は市場の予想は16.5%への連続利上げ
〇13.40を割り込んでも回復するなら13.55超えから13.60台を目指す可能性
〇13.40割れから続落の場合、13.30前後試しとみる

【概況】

トルコリラ円は12月18日深夜高値で13.55円まで上昇、12月11日夕刻にEU及び米国によるトルコ制裁の動きを警戒して13円割れとなって以降の戻り高値を更新した。日足は12月16日から18日まで3日連続陽線となった。
11月19日のトルコ中銀による大幅利上げを受けて11月19日当日に13.82円まで上昇して11月13日高値と同値まで戻したが、買い材料一巡から売られて11月24日には12.92円まで反落した。その後は13.30円前後までを上値抵抗とし、12月11日安値では12.96円まで下げたものの11月24日安値割れを回避して持ち合いでの推移となっていた。
12月11日安値の後は抵抗線はほぼフラットながら12月16日に13.31円まで戻り高値を若干切り上げつつ、安値は12月14日夕安値13.08円から12月16日朝安値13.17円へと切り上がってきていたが、12月18日未明には13.37円まで上昇して持ち合いの抵抗から上抜け始め、18日深夜には13.55円まで一段高となった。その後は買われ過ぎ警戒で13.50円を割り込んでいる。

【ドル全面安、新興国通貨高】

対ドルでのトルコリラは12月18日深夜に7.60円まで上昇した。11月6日に8.57リラの史上最安値まで暴落してきたが、11月7日のトルコ中銀総裁更迭等をきっかけに反騰へ転じ、11月19日のトルコ中銀による大幅利上げ時には7.48リラまで上昇した。上昇一巡で反落した後は8.00リラ前後を下値支持線、7.73リラを上値抵抗線として持ち合いとなっていたが、ドル安の進行による新興国通貨高と12月24日の次回トルコ中銀連続利上げ観測によりトルコリラも買われて12月15日から18日まで日足は4日連続陽線での上昇となり、持ち合いから一歩抜け出してきた印象だ。

トルコリラ円の上昇にはドル安進行が寄与している。
ECBは12月10日の理事会でコロナ不況対策の量的緩和規模を5000億ユーロ拡大して1兆8500億ユーロとした。12月16日の米FOMCでは政策金利及び量的緩和規模を据え置いたものの長期的な実質ゼロ金利と拡大した資産買い入れの長期継続姿勢を示した。世界的な金融緩和の長期化は過剰流動性を招き、投機マネーとなり株式市場を押し上げ、為替市場においてはユーロ、ポンドが3月コロナショック以降の最高値を更新、豪ドル等資源通貨も3月以降の最高値を更新してきたが、ここにきて新興国通貨高も目立ってきており、南アランドやメキシコペソ、タイバーツ等のアジア通貨等が上昇している。人民元が対ドルで5月27日以降の上昇基調を継続して2018年6月以来の高値水準まで来ていることもドル安を助長している。
歴史的暴落一服中のトルコリラにとっても全般的なドル安、特に新興国通貨高が押し上げ要因となりつつあるところだ。

【12月24日、トルコ中銀は連続利上げを決めるか】

トルコ中銀は11月7日に前総裁を更迭、アーバル新総裁は11月19日に就任後最初の金融政策決定会合で政策金利を従来の10.25%から15.0%へ大幅に引き上げた。12月16日には、来年も金融政策の引き締め姿勢を維持するとし、持続的な方法でインフレ率を低下させるために必要なら追加利上げを実施する用意があると述べた。
12月24日に次回の金融政策決定会合が迫っているが、市場は16.5%への連続利上げを予想している。ドル安基調が続く中で市場の期待に応えればドル安リラ高が進行し、それを邪魔しない程度の円高ならトルコリラ円も戻り高値を試しに向かいやすくなる。市場予想を超える大幅利上げに踏み切ればサプライズ的な急上昇の可能性も多少あるところだが、逆に市場の期待を裏切って現状維持とすると利上げ催促的なリラ売りが巻き起こる可能性もあるだろう。

【当面のポイント、日足は先行スパンから抜け出す】

【当面のポイント、日足は先行スパンから抜け出す】

12月18日へ日足は3日連続陽線で上昇したが、一目均衡表の先行スパンから上抜け出している。年初の反騰時や5月7日底からの反騰時でも先行スパンが上値抵抗帯となって突破できずにその後の一段安へと向かってきたが、今回は横ばいからやや上昇程度ではあるものの下げ渋りを凡そ1か月続けたことで先行スパンから抜け出している。日足の遅行スパンはまだ11月13日と11月19日のダブルトップラインを超えていないので悪化(実線を下回る)状態だが、ダブルトップラインを超える上昇にまで発展すると、11月6日まで続いてきた長期的なリラ安基調もいったん落ち着き、戻りを試して行くプロセスに入る可能性も出てくるところだ。ただしそのためには12月24日のトルコ中銀金融政策決定会合を強気で通過する必要があると思う。

(1)当面、13.30円前後を下値支持線、12月18日深夜高値13.55円を上値抵抗線とする。
(2)13.40円を割り込んでも回復するうちは12月18日深夜高値超えから13.60円台を目指す可能性があるとみる。12月24日の中銀利上げ次第では13.70円台、11月13日高値13.82円に迫る可能性もあるとみるが、その際は買い材料一巡後の反動安に注意したい。
(3)13.40円割れから続落の場合は13.30円前後試しとみる。13.30円前後は12月17日までの持ち合い相場における上値抵抗線だったために今度は下値支持線になりやすいとみる。ただし、中銀が市場の期待に応えない場合や為替市場がリスク回避的なドル高へ転じる場合で13.30円を割り込んでゆくなら、戻り一巡から本格的な下げ再開へ向かう可能性を考える。

【当面の主な経済指標等の予定】

12月21日
 17:00 12月消費者信頼感指数 (11月 78.0、予想 82.0)
12月24日
 23:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 15.0%、予想 16.5%)
 23:30 週次外貨準備高 12/18時点 (12/11時点 474.1億ドル)
12月25日
 17:00 12月製造業景況感 (11月 103.9、予想 101.5)
 17:00 12月設備稼働率 (11月 75.8%、予想 76.0%)
 17:00 11月観光客数 前年比 (10月 -59.4%、予想 -52.0%)
12月29日
 17:00 12月経済信頼感指数 (11月 89.5、予想 86.2)

12月31日
 17:00 11月貿易収支 (10月 -23.7億ドル)
 23:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨公開
 23:30 週次外貨準備高
1月4日
 17:00 12月消費者物価 前年同月比 (11月 14.0%)
 17:00 12月消費者物価 前月比 (11月 2.3%)
 17:00 12月生産者物価 前年同月比 (11月 23.11%)
 17:00 12月消費者物価 前月比 (11月 4.08%)

注:ポイント要約は編集部

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る