『追加利上げ観測を背景に急伸。一目均衡表雲上限を1年ぶりに突破』
〇トルコリラ円週末にかけ約一か月ぶり高値13.57まで上昇
〇トルコ指標の好調、予想より緩やかな米制裁、トルコ中銀のタカ派スタンスがサポート
〇テクニカルには下落から上昇へのトレンド転換意識させるチャート形状へ変化
〇心理的節目14円も視野に
〇利上げが予想されている12/24トルコ中銀政策決定会合等要注視
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):13.30ー13.80
今週のレビュー(12/14−12/18)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初13.23円で寄り付いた後、早々に週間安値13.08円まで下落しました。しかし、一目均衡表転換線に続落を阻まれると、@トルコ10月鉱工業生産指数(結果1.1%、予想▲0.8%)の力強い結果や、A事前予想より抑制的(緩やか)な米国による対トルコ制裁、Bトルコ中銀アーバル総裁による「必要なら更なる金融引き締めを行う」「2021年はインフレ率が持続的に低下するまで金融引き締めスタンスを維持する」「外貨準備の積み立てを段階的に強化する」といったタカ派的な発言(12/24に開催されるトルコ中銀金融政策決定会合での追加利上げ観測)、C直近高値を上抜けたことに伴う短期筋のロスカットが支援材料となり、週末にかけて、11/23以来、約1ヶ月ぶり高値となる13.57円まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間12/19午前5時30分現在)では、13.53円前後で推移しております。
来週の見通し(12/21−12/25)
トルコリラの対円相場は、週末にかけて上値を伸ばし、約1ヵ月ぶり(11/23以来)高値となる13.53円まで急伸しました。この間、日足ベースで一目均衡表転換線や基準線を上抜けした他、約1年ぶりに一目均衡表雲上限を突破するなど、テクニカル的にみて、トレンド転換(下落→上昇)を意識させるチャート形状となりつつあります(但し、週足ベースでは引き続き下落トレンド継続中。目先は11/19に記録した13.87円を越えられるか否かに注目。同水準を突破できた場合、心理的節目14.00円台の回復も視野に)。
また、このところトルコリラ売り材料として懸念されていた、@対トルコ制裁リスクが幾分和らいだこと(欧州では、先週末のEU首脳会議でより厳しい制裁について来年3月まで決定を先送り。米国はトルコ経済に配慮した緩やかな制裁内容を決定)や、A12/24に予定されているトルコ中銀金融政策決定会合にて追加利上げが見込まれていること(政策金利を現行の15.00%から150bp引き上げ、16.50%へ)もトルコリラ円相場を下支えする要因として市場参加者に意識されております。
トルコ経済の先行き不透明感(新型コロナウイルスの世界的な感染拡大→トルコ経済の柱である観光産業への下押し圧力)や、トルコに批判的なバイデン新政権誕生リスクなど、トルコリラ売りを想起させる懸念材料も幾つか残ってはいるものの、来週は、テクニカル的な強さや、追加利上げ観測を背景に、トルコリラ円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(12/21のトルコ12月消費者信頼感指数、12/24のトルコ中銀政策金利発表、12/25のトルコ12月設備稼働率などに注目)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):13.30ー13.80
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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