トルコリラ円 ドル円急落だがドル全面安でリラ高、対円も11日以降の高値切り上げ
〇トルコリラ円、12/18未明13.37まで上昇、12/11夕12.96以降の戻り高値切り上げる
〇トルコリラ対ドル、ドル全面安により上昇、12/18早朝には7.67リラまで反騰
〇ドル安基調は継続で新興国通貨高、ドル指数は2018年4月以来の安値水準
〇12/24トルコ中銀金融政策決定会合、連続利上げに踏み切れば持ち合いから抜け出すことになるか
〇13.30以上での推移中は上昇余地あり、13.40到達では戻り売りも出やすいとみる
〇13.30割れからは下げ再開注意、13.24割れからは調整安に入るとみて13.10前後への下落を想定
【概況】
トルコリラ円は12月18日未明高値で13.37円まで上昇、12月11日夕安値12.96円以降の戻り高値を切り上げている。
12月11日夕刻に12.96円まで急落して11月24日安値12.92円以来の13円割れしたところから12月11日夜に13.30円に迫るところまで戻し、その後は13.20円台を中心とした持ち合いとなっていたが、この持ち合いから上抜けてきている。
12月17日未明の米連銀FOMC(金融政策は現状維持)を通過してからもドル全面安の流れが続き、ドル円はFOMC声明発表直後にいったん104円手前まで戻したものの早々に失速して17日夜には103円を割り込む一段安となった。しかしその一方でドル全面安により対ドルでのトルコリラは上昇、18日早朝には7.67リラまで反騰したことで、トルコリラ円は円高を超えるリラ高により上昇するという展開となった。
【ドル全面安】
対ドルでのトルコリラは11月6日に8.57リラの史上最安値まで暴落してきたが、11月7日のトルコ中銀総裁更迭等をきっかけとして反騰に転じ、11月19日にトルコ中銀が大幅利上げに踏み切ったところで7.48リラまで上昇した。その後は材料一巡で11月24日安値8.02リラまで下げたが、それ以降は手掛かり難で7.85リラを中心とした持ち合いでの推移が続いていた。
トルコリラが膠着状態で横ばい推移する中でもドル安基調は継続しており、ユーロ、ポンド、豪ドル等が3月のコロナショック暴落による下げ幅を解消した後も高値を更新し、12月に入ってからは新興国通貨高も目立ってきた。南アランドは18日早朝には対ドルで14.61ランドまで上昇して4月6日以降の高値を更新して年初来高値に迫る勢い。メキシコペソも12月9日から12月15日まで反落していたものの切り返しに入って12月9日高値に迫り4月以降の高値更新を伺う展開となっている。
メジャー通貨の加重平均であるドル指数は11月30日に9月1日安値を割り込んで一段安に入ったが、その後も続落基調で推移しており12月17日には90ポイントを割り込んで3月20日天井以降の安値を更新、2018年4月以来の安値水準まで下落している。
世界的な感染拡大は依然として深刻だが、ワクチン普及への期待、世界的な金融緩和による過剰流動性供給が投機マネーのリスク選好感を強めて新興国通貨へも投機マネーが流入し始めてドル全面安が進行してきている状況だ。このため手詰まり感で膠着状態にあるトルコリラもドル安効果で上昇気味という展開となっている印象だ。
【戻り一巡から反落しての横ばい】
トルコリラ円は11月6日安値から11月13日と11月19日のダブルトップまで戻した後に11月24日安値まで反落したが、12月11日の下落時も12.96円にとどまって底割れを回避して持ち直しに入っている。しかし11月30日高値で13.42円を付けた後は13.40円に届かない状況にとどまっているため、日足で見ればほぼ横ばいの持ち合い推移といえる。
概ね4か月周期の底打ちサイクルでいったん戻したところから反落して狭いレンジの横ばい推移となるパターンが今年は以前にも2度繰り返されている。前回は5月7日安値から6月2日高値までの反騰一巡で6月12日へ下げた後の7月後半までの横ばい持ち合い。その前は1月6日底から1月17日高値までの反騰一巡で2月3日まで下げた後の2月24日までの横ばい持ち合いであり、前2例はいずれも長期的な下落基調の中での4か月サイクルレベルの戻り一巡による下げ再開序盤での小康状態を意味していた。
今回も今のところは前2例と同様、トルコ中銀の総裁更迭や財務相交代による金融政策の変化への警戒から買い戻されて反騰したものの、11月19日の新総裁による大幅利上げ断行で買い戻し材料も一巡して失速し、さらに一段安へ進むには時期尚早として横ばい状態で凪になっているところと思われる。12月に入ってからのドル全面安が下支えとなっているものの、一方では円高も厳しくなりつつあるので、12月24日の中銀金融政策決定会合で市場予想に応えて連続利上げに踏み切るかどうかにより、持ち合いから抜け出せるか試すことになるのではないかと思われる。
トルコ中銀が利上げしてもわずかな利上げにとどまって市場が一時的に反応を示してから元の水準に押し返されるならかえって失望を招くし、現状維持で様子見とすればインフレファイターとしての消極姿勢として失望売りにより持ち合い下放れのきっかけとなりかねない。
ここで予想以上の大幅利上げに踏み切って市場の強気を刺激すれば横ばい相場の前2例と異なって上昇再開から一段高へ進む可能性も開けると思うが、果たしてエルドアン大統領の了解を得られるのかどうかは定かではない。現時点では現行の15.0%から16.5%への利上げされるのではないかという市場予想になっている。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月11日夕安値から戻してきたが、17日午前時点では16日朝安値で直近のサイクルボトムを付けて新たな強気サイクルに入っているとし、16日朝安値割れ回避のうちは18日夜から22日夜にかけての間へ上昇しやすいとした。18日未明へ高値を切り上げているので16日朝安値を起点とした上昇期がまだ継続中とみるが、13.30円割れからは弱気転換注意とし、13.24円割れからは弱気サイクル入りとみて19日朝から23日朝にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では17日の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを上回る状況も維持している。このため先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパン転落からは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は18日未明に70ポイント台後半まで上昇した。買われ過ぎ警戒圏にあり、18日未明高値を上抜く場合に指数のピークが切り下がるようだと弱気逆行型となって50ポイント割れから下げ再開に入る可能性があると注意する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.30円を下値支持線、13.40円を上値抵抗線とする。
(2)13.30円以上での推移中は上昇余地ありとみる。13.40円到達では戻り売りも出やすいとみるが、13.40円を超えて続伸の場合は13.42円台へ上値目途を引き上げる。また13.30円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.30円割れからは下げ再開注意とし、13.24円割れからはいったん調整安に入るとみて13.10円前後への下落を想定する。13.10円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、13.24円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な経済指標等の予定】
12月17日
20:30 週次外貨準備高 12/11時点 (12/4時点 463.9億ドル)
12月21日
16:00 12月消費者信頼感指数 (11月 78.0、予想 80.1)
12月24日
20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 15.0%、予想 16.5%)
12月25日
16:00 12月製造業景況感 (11月 103.9)
16:00 12月設備稼働率 (11月 75.8%)
注:ポイント要約は編集部
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