トルコリラ円見通し 円高が上値を抑えるが対ドルでのリラ高基調を背景に13.20円台でしっかり(20/12/17)

トルコリラ円は13円割れとなったところから11日夜に13.30円に迫るところまで反騰し、その後は13.20円台を中心とした持ち合いとなっている。

トルコリラ円見通し 円高が上値を抑えるが対ドルでのリラ高基調を背景に13.20円台でしっかり(20/12/17)

円高が上値を抑えるが対ドルでのリラ高基調を背景に13.20円台でしっかり

〇トルコリラ円、12/11夕に12.96まで急落後は13.20台を中心とした持合いに
〇対ドルでのトルコリラは11日の急落で8.02リラまで下げた後、16日夕に7.75リラまで戻す
〇トルコ中銀、24日の金融政策会合で政策金利が15.0%から16.5%へ引き上げとなるか
〇13.17以上での推移中は上昇余地あり、13.31超えからは13.35前後への上昇を想定
〇13.17割れから下げ再開、13.10前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円は12月11日夕刻に12.96円まで急落して11月24日安値12.92円以来の13円割れとなったところから11日夜に13.30円に迫るところまで反騰し、その後は13.20円台を中心とした持ち合いとなっている。この間の安値は14日夕の13.08円から16日午前の13.17円へ底上げしており、戻り高値は12日未明の13.28円、15日夜の13.28円、16日夕の13.31円と若干切り上がっている。
ドル円が16日夕刻に103.26円まで下げて14日深夜安値を割り込む一段安となり、11月6日安値103.17円割れへの余裕が乏しくなる円高基調で推移している一方、対ドルでのトルコリラは11日の急落で8.02リラまで下げた後の持ち直しが続いており、16日夕刻には7.75リラまで戻し、その後も高値圏を維持している。

トルコリラ円も対ドルでのトルコリラも11月19日の中銀による大幅利上げからいったんリラ高へ進み、早々に利上げ前水準を割り込む下落となった後は横ばい程度の推移だが、ドル指数が9月1日安値を割り込んで一段安するなど為替市場全般でのドル安基調が継続する中でトルコリラも11月6日までの暴落商状を一服させ、中銀利上げ後の反動安も落ち着き、次の展開を探りながらの持ち合いとなり、対ドルではややリラ高気味での推移が見られるところと思われる。

【中銀新総裁はインフレと戦う姿勢を示す、24日に次回金融政策決定会合】

トルコ中銀のアーバル新総裁は12月16日に、来年の金融政策については引き締め姿勢を維持するとし、持続的な方法でインフレ率を低下させるために必要なら追加利上げを実施する用意があると述べた。トルコ中銀は11月7日に前総裁が更迭されてアーバル氏が新総裁に就任し、11月19日には市場の期待に応えて主要政策金利である週間レポレートを10.25%から15.0%へ大幅に引き上げた。しかし11月のトルコ消費者物価上昇率は前年同月比14.03%となり、実質マイナス金利状態からは脱却したもののインフレ進行が続くと再び実質マイナス金利状態に陥りかねないところにある。また11月6日へのリラ暴落期での史上介入により正味の外貨準備も枯渇してきており、今後の中銀政策によっては再びリラ暴落に陥りかねない状況にある。

アーバル総裁は「リラが今年25%下落したことによりインフレ率は中銀目標の5%を大きく上回る水準で高止まりしている」とし「我々はディスインフレ達成に向け決意を固めている」「この目標を達成するために必要に応じて金融政策を引き締める」「2021年はインフレ率が持続的に低下するまで金融政策の引き締め姿勢を維持する」等と述べた。またインフレ見通しについては2021年末で9.4%、2023年には5%の目標達成を目指すとした。外貨準備についても「段階的な強化を目標に掲げる」とした。
12月24日の次回金融政策会合では政策金利が現行の15.0%から16.5%へ引き上げられるのではないかと市場は予想している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月11日夕刻への急落とその後の反騰により、11日夕安値を直近のサイクルボトムとして戻しに入った。高値形成期は12日未明から16日未明にかけての間と想定されたが16日夕刻に11日以降の高値を更新しているため、16日朝安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクルに入っている可能性がある。このため16日朝安値割れ回避のうちは18日夜から22日夜にかけての間へ上昇しやすいとみるが、13.30円前後を上値抵抗とした持ち合い相場の範囲で推移しているので、16日朝安値割れからは新たな弱気サイクル入りと仮定して21日朝から23日朝にかけての間へ下落しやすくなるとみる。

60分足の一目均衡表では持ち合い中のために遅行スパンは実線と交錯を繰り返しているが、先行スパンからの転落を回避しての推移が続いているので、先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とし、先行スパンから転落するところからは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は持ち合いでの推移のため50ポイントを挟んだ小動きで60ポイント台序盤では戻り売りにつかまっている。50ポイントを割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとし、65ポイント超えからは勢い付くとみるが、40ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月16日朝安値13.17円を下値支持線、16日夕高値13.31円を上値抵抗線とする。
(2)13.17円以上での推移中は上昇余地ありとし、13.31円超えからは13.35円前後への上昇を想定する。13.35円以上は反落警戒とするが13.25円以上を維持しての推移なら18日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.17円割れからは下げ再開とみて13.10円前後への下落を想定する。13.10円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、13.10円割れから続落の場合は13.05円前後へ下値目途を引き下げる。また13.20円以下での推移が続く場合は18日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

12月17日
 20:30 週次外貨準備高 12/11時点 (12/4時点 463.9億ドル)
12月21日
 16:00 12月消費者信頼感指数 (11月 78.0、予想 80.1)
12月24日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 15.0%、予想 16.5%)
12月25日
 16:00 12月製造業景況感 (11月 103.9)
 16:00 12月設備稼働率 (11月 75.8%)


注:ポイント要約は編集部

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