トルコリラ円見通し 欧米の制裁報道での下落一巡で反発後は持ち合い(20/12/16)

トルコリラ円は、12日早朝高値13.28円の後は15日夜にも13.28円をつけたが13.30円台には届かずにいる。

トルコリラ円見通し 欧米の制裁報道での下落一巡で反発後は持ち合い(20/12/16)

欧米の制裁報道での下落一巡で反発後は持ち合い

〇トルコリラ円、15日夜に13.28をつけたが13.30台には届かず
〇EUの制裁は協議継続で先送り、米国の制裁も限定的なものでトルコリラ急落から持ち直し
〇米国の制裁は限定的だが、先行きの制裁拡大への不安感は増した印象
〇トルコとウクライナ、攻撃ドローンの生産と技術共有に関し協定を結んだと報じられる
〇15日夜高値13.28超えからは13.35前後への上昇を想定
〇14日夕安値13.08割れからは11日夕安値12.96試しへ向かうとみる

【概況】

トルコリラ円は12月11日夕刻に12.96円まで急落して11月24日安値12.92円以来の13円割れとなったが、11日夜には反騰に転じ、14日夕刻に13.08円まで反落したところも買い戻されて13.20円台を中心とした持ち合いとなっている。12日早朝高値13.28円の後は15日夜にも13.28円をつけたが13.30円台には届かずにいる。
12月11日夕刻への急落は欧米によるトルコ制裁への警戒感からのものだった。EU首脳会議におけるギリシャ・キプロス問題でのトルコ制裁の議論、米国がトルコのロシア製ミサイル導入に関する制裁を決定したとの報道が下落のきっかけだったが、EUの制裁議論は協議継続で先送りされ、米国の制裁も限定的なものにとどまりトルコ経済へ打撃をもたらすものにはならなかったことでトルコリラは急落から持ち直した。ただし、米国による制裁が今後さらに拡大する可能性も否定できないために上値も重くなっている。

【米国のトルコ制裁は限定的】

トルコによるロシア製地対空ミサイルシステムS400の導入に対してトランプ米政権は12月14日に「敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」によりトルコへの制裁を決定した。トルコ大統領府傘下の国防産業庁(SSB)と責任者のイスマイル・デミルら幹部の3人に対して資産凍結やビザ制限を行った。対象が限定的なものにとどまったことで市場もいったん落ち着いたが、先行きの制裁拡大への不安感は増した印象だ。
米大統領選挙では選挙人投票によりバイデン氏勝利が確定したが、バイデン政権発足後に米国の対トルコ政策がどのような展開になるのか不安もある。バイデン氏がかつてエルドアン大統領を独裁者呼ばわりしたことも気がかりだ。
トルコ政府は米国の制裁を批判したが、冷静な対応を見せている。トルコは米国が地対空パトリオットミサイルのトルコへの売却を拒否したためにロシアのシステムを購入したと主張している。ギリシャのミサイルシステムへの対抗でもある。

ギリシャとの東地中海におけるガス田探査強行問題での対立はやや落ち着いているが、チャウショール外相は15日に「東地中海における権利と利益を我々があきらめることは論外である」と演説し、シリア、リビア、東地中海、コーカサス、アフガニスタン、イラク等の諸問題へのトルコのコミットが外交政策の成果をもたらしていると述べた。これら各地でのトルコ介入姿勢は変わらず、欧米との対立の火種もくすぶり続ける。
トルコとウクライナは武装無人航空機(攻撃ドローン)の生産と技術の共有に関して協定を結んだと報じられた。ロシアとトルコは協力も対立も混在した複雑な関係だが、トルコのウクライナ接近はロシアを刺激する問題となりかねない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月11日夕刻への急落とその後の反騰により、11日夕安値を直近のサイクルボトムとして戻しに入った。高値形成期は12日未明から16日未明にかけての間と想定されるので既に反落警戒期にあるが、14日からは持ち合い状態のため、13.30円を超えて続伸に入る場合は新たな強気サイクル入りとなる可能性もあるので、14日夕刻の反落時安値13.08円を割り込まないうちは一段高余地ありとし、14日夕刻安値を割り込むところからは弱気サイクル入りとして16日夕から18日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では15日早朝への上昇で先行スパンを上抜いたが、その後は持ち合い推移のために遅行スパンが実線と交錯している。先行スパン転落を回避するうちは上昇余地ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから再び転落するところからは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は14日からの持ち合い推移により50ポイントを挟んだ小動きとなっている。60ポイント超えからは一段高へ進みやすくなるとみるが、40ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月14日夕安値13.08円を下値支持線、12日未明及び15日夜高値13.28円を上値抵抗線とする。
(2)13.08円以上での推移中は上昇余地ありとし、13.28円超えからは13.35円前後への上昇を想定する。13.35円以上は反落警戒とするが13.20円以上を維持しての推移なら16日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.08円割れからは下げ再開とみて11日夕安値12.96円試しへ向かうとみる。13円以下は反騰注意とするが13.10円以下での推移なら16日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

12月17日
 20:30 週次外貨準備高 12/11時点 (12/4時点 463.9億ドル)
12月21日
 16:00 12月消費者信頼感指数 (11月 80.1、予想 78.0)
12月24日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 15.0%、予想 16.5%)
12月25日
 16:00 12月製造業景況感 (11月 103.9)
 16:00 12月設備稼働率 (11月 75.8%)

注:ポイント要約は編集部

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