トルコリラ円見通し 米国がトルコ制裁を決定するも制裁は緩いとしてリラは上昇(20/12/15)

14日夕刻には13.08円まで再び下げたものの、米国が決定した制裁内容は軽微として15日早朝には13.27円まで持ち直している。

トルコリラ円見通し 米国がトルコ制裁を決定するも制裁は緩いとしてリラは上昇(20/12/15)

トルコリラ円見通し 米国がトルコ制裁を決定するも制裁は緩いとしてリラは上昇

〇トルコリラ円、12/14夕刻13.08まで下げたが、12/15早朝に13.27まで持ち直す
〇対ドル、12/11夕刻8リラ台まで下落したが、12/14朝7.80リラまで戻す
〇米国、トルコに対する制裁を決定、市場は緩い制裁と評価し制裁内容を見た後リラ上昇
〇11月小売売上高・鉱工業生産ともに良好な結果、観光収入は回復できない状況続くか
〇新型コロナ感染者連日3万人前後の増加ペース、年末にかけて規制が強化ならば景気回復への影響も懸念
〇13.08以上での推移中は上昇余地あり、13.28超えから13.35前後への上昇を想定
〇13.08割れからは下げ再開とみて12.96試しへ向かうとみる、13円以下は反騰注意

【概況】

トルコリラ円は欧米によるトルコへの制裁の動きを警戒して12月11日夕刻には12.96円まで急落して11月24日安値12.92円以来の13円割れとなったが、EUによるギリシャ・キプロス問題でのトルコ制裁が継続協議に終わったことと、米国によるロシア製ミサイル導入に関する制裁も限定的な内容に留まるのではないかとの見方から12日未明にかけてV字反発となり13.28円まで戻し、13.21円で先週を終えた。
14日夕刻には13.08円まで再び下げたものの、米国が決定した制裁内容は軽微として15日早朝には13.27円まで持ち直している。
対ドルでのトルコリラも制裁懸念で12月11日夕刻に8.02リラをつけて11月25日以来の8リラ台まで下落したが、14日朝には7.80リラまで戻し、14日夕刻に7.93リラまで再び下落したもの15日早朝にかけては7.80リラ台で落ち着いている。

【米国のトルコ制裁発動】

トランプ米政権は12月14日にロシア製地対空ミサイルシステムS400の導入を進めるトルコに対し制裁を決定した。制裁内容はトルコ大統領府傘下の国防産業庁(SSB)及びその責任者のイスマイル・デミルら幹部の3人に対して資産凍結やビザ制限の対象とする。
米国としては敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」に基づく措置でありNATO加盟国に適用されるのは初めてとなる。国防産業庁(SSB)に対して米金融機関が総額1000万ドル超の融資や信用供与を行うことも制限される。米国の同盟国等がSSBとの関係でどのような制限を受けるのか、またSSBへの制裁内容が今後エスカレートするのかどうかは不明。
制裁内容に対する市場の評価は緩い制裁として制裁内容を見た後はリラが上昇している。トランプ政権末期におけるトルコへの外交的退所をアリバイ的に行い、バイデン政権発足後にトランプ政権時代の対トルコ政策の批判をかわすという側面もあるかもしれない。
EUもギリシャ問題での制裁を継続協議としたが、トルコは制裁を科して追い込む対象としてはNATO加盟の同盟国でもあり中東の大国でもあるため、欧米としての対応も難しいといえる。

【トルコの経済統計は良好だが感染拡大は進む】

12月14日に発表されたトルコの11月小売売上高は前月比4.2%増となり10月の3.1%増を超えた。前年同月比では12.0%増で11月の8.4%増から伸びて市場予想の8.5%増も上回った。
11月の鉱工業生産は前月比で1.1%増となり10月の1.7%増から鈍化したが、前年同月比は10.2%増となり10月の8.3%増を超えて市場予想8.7%増も上回った。
観光以外は景気回復を着実に進めている印象だが、問題は観光収入であり、12月25日発表予定の11月観光客数も前年比で52%減と予想されており10月の59.4%減から回復できない状況が続く見込みとなっている

トルコリラ円見通し 米国がトルコ制裁を決定するも制裁は緩いとしてリラは上昇

トルコの新型コロナウイルス感染者数累計は12月14日時点で186万6345人となり世界全体では英国に次ぎ7位に浮上した。陽性でも無症状な場合は感染者にカウントしないという姿勢を批判されて陽性者の公表に踏み切ってからは連日のように3万人前後の増加ペースが続いており、14日も2万9617人増となっている。また死者も連日200人を超える規模であり14日も229人増となっている。夜間外出禁止令等による部分的ロックダウン状態に入っているが、年末にかけて規制が強化されれば景気回復の鈍化も心配されるところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月9日深夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしていたが、11日夕安値からの反騰により強気サイクル入りしたと思われる。高値形成期は12日未明から16日未明にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるが、14日夕安値から持ち直しているのでまだ上昇余地が残る。14日夕安値を割り込むところからは新たな弱気サイクル入りとして16日夕から18日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では15日早朝への上昇で先行スパンから上抜けてきているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから再び転落するところからは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は11日夕刻に10ポイント台まで急落したがその後の反騰で持ち直している。14日夕刻の反落により30ポイント台まで低下したところからも切り返しているのでまだ上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台へ向けた下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月14日夕安値13.08円を下値支持線、12日未明高値13.28円を上値抵抗線とする。
(2)13.08円以上での推移中は上昇余地ありとし、13.28円超えからは13.35円前後への上昇を想定する。13.35円以上は反落警戒とするが13.20円以上を維持しての推移なら16日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.08円割れからは下げ再開とみて11日夕安値12.96円試しへ向かうとみる。13円以下は反騰注意とするが13.10円以下での推移なら16日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

12月17日
 20:30 週次外貨準備高 12/11時点 (12/4時点 463.9億ドル)
12月21日
 16:00 12月消費者信頼感指数 (11月 78.0、予想 80.1)
12月24日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 15.0%、予想 16.5%)
12月25日
 16:00 12月製造業景況感 (11月 103.9)
 16:00 12月設備稼働率 (11月 75.8%)
 17:00 11月観光客数 前年比 (10月 -59.4%)


注:ポイント要約は編集部

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