ドル円見通し 11月6日安値を割り込んで一段安に入る(20/12/18)

ドル円は12月17日夜に102.86円まで下落、11月6日安値103.17円を割り込んだ。

ドル円見通し 11月6日安値を割り込んで一段安に入る(20/12/18)

ドル円見通し 11月6日安値を割り込んで一段安に入る

〇ドル円、12/17夜102.86まで下落、11/6安値103.17を割り込む
〇NYダウは終値ベースの史上最高値を更新、ナスダック総合指数は最高値を更新
〇米国株高を先導役とし、為替市場はリスク選好強めてドル全面安
〇今回のドル安、3月以降の戻り高値切り下げから安値更新の流れ踏襲か
〇103.50以下での推移中は一段安余地ありとし、102.86割れからは102円台前半への下落を想定
〇103.50超えからは103.91試しとするが、103.70以上は反落警戒

【概況】

ドル円は12月17日夜に102.86円まで下落、11月6日安値103.17円を割り込んだ。103円割れは3月9日のコロナショック第一波時の暴落でつけた3月9日安値101.17円の翌日以来となる。
12月17日未明の米連銀FOMCは金融政策を現状維持としたが市場の予想通りでサプライズ無く、声明発表後に一時的なドル買い戻しの動きでドル円は104円に迫るところまでいったん戻したものの長続きせずに早々に失速した。17日午後には16日夜安値を割り込んで一段安に入り、深夜には103円をいったん割り込んだ。18日早朝は103円台を回復したものの103円台序盤にとどまっている。

【米国株高先導役としたリスク選好でドル全面安】

12月17日のNYダウは前日比148.83ドル高と上昇、9営業日ぶりに終値ベースの史上最高値を更新、ナスダック総合指数は106.56ポイント高で最高値を更新している。欧米での感染拡大は依然として深刻な状況にあるが、ワクチン普及への期待と金融緩和による資産インフレ進行期待、バイデン政権発足への期待感が優勢であり、金融緩和による過剰流動性供給が株式市場へ流れ込んで米国株高となり、米国株高を先導役として為替市場もリスク選好を強めて投機通貨、資源通貨、新興国通貨買いの流れが強まっている。
FOMCを通過してユーロは3月のコロナショック以降の最高値を更新、ポンドも英国とEUのFTA交渉が難航しているもののユーロ高と同調して3月以降の高値を更新している。豪ドルやNZドルは感染抑制国として上昇、新興国通貨も投機マネーの流入で先高期待が強まっており南アランドやメキシコペソ等が対ドルで上昇してドルは全面安の様相だ。

12月17日の米経済指標は住宅統計が強かったほかは弱い数字だったが、数字が弱ければ景気対策期待となりドル安基調は継続している。
米フィラデルフィア連銀が発表した12月製造業景況指数は11.1で11月の26.3から大幅に低下して市場予想の20.0を下回った。
米商務省が発表した11月の住宅着工許可件数は前月比6.2%増の163万9000戸となり市場予想の155万戸を上回った。また住宅着工件数は前月比1.2%増の154万7000戸で市場予想の153万戸を上回った。
米労働省が発表した週間新規失業保険申請件数は88万5000件で前週の85万3000人から増加して市場予想の80万件を上回った。週間の失業保険受給者総数は550万8000人で前週の575.7万人から減少して市場予想の559万8000人を下回った。感染拡大が収まらないことで景気回復が鈍化し失業申請が増え始めているところだが、金融市場はそれよりも先行きの復興期待を優先している。

【3月以降の戻り高値切り下がりからの一段安コース】

ドル円は11月6日安値103.17円から11月11日高値105.67円まで反騰したが、3月以降の戻り高値切り下がりの範囲にとどまって11月18日安値103.65円まで失速した。その後は103.65円を下値支持線として104.75円を上値抵抗線としたボックス型持ち合いにとどまってきたが、12月14日に11月18日安値を割り込んで持ち合いから下放れ始め、12月17日には103円割れとなり11月6日安値を割り込んだ。
11月11日への戻り幅は2.50円だったが、3月24日の戻り天井からの下降トレンド内においては、6月5日への3.86円を除けば4月6日への2.46円、7月1日への2.10円、8月13日への2.88円、10月7日への2.16円と3円に届かない程度の戻りで一巡となっており今回もその範疇と思われる。

戻り高値切り下げから崩れ始めた後に安値を更新してきた流れを今回も踏襲している。安値ラインは7月31日と9月21日及び11月6日がほぼ1直線であり現在102.50円近辺に来ている。また5月6日と7月31日安値を結ぶラインは101円前後に来ている。9月21日や11月6日への下落規模なら102円台中盤が下値目途となるが、7月31日への下落時並みの角度となると102円割れから101円前後を目指す可能性についても警戒しておくべきと考える。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月14日夜安値で底を付けていったん戻しに入ったが、15日夜の反落により16日朝時点では15日午後高値でピークを付けて下落期に入ったとし、底割れの場合は17日夜から21日夜にかけての間への下落を想定するとし、強気転換には104円台回復まで反騰する必要があるとした。
17日未明の一時的な反騰では104円に届かずに失速して16日夜安値を割り込んでいるため、まだ12月15日午後高値を起点とした下落基調の継続とみる。103円割れに対する突っ込み警戒感からの買い戻しに入る可能性もあるので103.50円超えからは強気転換注意として17日未明高値試しとするが戻ったところは売られやすいとみる。

60分足の一目均衡表では17日未明の一時的な反騰では先行スパンを突破しきれずに失速し、その後の一段安により遅行スパンの悪化も継続している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からは戻りを試しに入るとみるがその際は先行スパンが上値抵抗帯となってくると思われる。
60分足の相対力指数は17日深夜に20ポイント台序盤へ低下した後はやや戻している。16日夜安値時と指数のボトムはほぼフラットのため強気逆行となる可能性があるので50ポイント超えからはいったん戻しに入るとみるが、その場合は60ポイント台が上値抵抗となると思われる。50ポイント以下での推移中はまだ一段安余地が残るとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月17日深夜安値102.86円を下値支持線、103.50円を上値抵抗線とする。
(2)103.50円以下での推移中は一段安余地ありとし、17日深夜安値割れからは102円台前半への下落を想定する。102.50円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、103.20円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)103.50円超えからは12月17日未明高値103.91円試しとするが、103.70円以上は反落警戒とし、その後に103.30円を割り込むところからは下げ再開とみる。

【当面の主な予定】

12/18(金)
日銀金融政策決定会合、政策金利発表 (現行 -0.10%)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
16:00 (独) 11月 生産者物価指数 前月比 (10月 0.1%、予想 0.1%)
16:00 (英) 11月 小売売上高・除自動車 前月比 (10月 1.3%、予想 -3.3%)
16:00 (英) 11月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (10月 7.8%、予想 4.1%)
16:00 (英) 11月 小売売上高 前月比 (10月 1.2%、予想 -4.2%)
16:00 (英) 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 5.8%、予想 2.8%)


18:00 (欧) 10月 経常収支・季調済 (9月 252億ユーロ)
18:00 (欧) 10月 経常収支・季調前 (9月 335億ユーロ)
18:00 (独) 12月 IFO企業景況感指数 (11月 90.7、予想 90.0)
22:30 (米) 7-9月期 経常収支 (4-6月 -1705億ドル、予想 -1890億ドル)
24:00 (米) 11月 景気先行指数 前月比 (10月 0.7%、予想 0.5%)


注:ポイント要約は編集部

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