もみあいも調整売りが出やすい地合いは継続
〇先週のユーロ、1.21を挟んでバランスが取れている一週間
〇これまでの高値1.2178レベルを超えた1.22という水準には警戒したいところ
〇ユーロ上下どちらに動くかはポンドの動きに追随、通商協議の結果待ち
〇今週は先週同様に1.2040レベルをサポートに1.2170レベルをレジスタンスとする
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロは、1.21を挟んで1.20台半ばの買いと1.21台半ばの売りとでバランスが取れている一週間となりました。ただドル円のように材料が無いわけでは無く、ECB理事会、EUと英国の通商協議、英国でのワクチン接種開始など、材料には事欠きませんでした。しかし、ECB理事会は追加緩和の決定はあったもののユーロ高の牽制はありませんでしたし、EUと英国の通商協議もこれまで同様に引っ張ってはいるものの本当に合意できるのかとなると相当に難しいであろうということでどちらにも動きにくくなっています。
ECBの追加緩和は織り込み済みではあったものの、ユーロの水準には注視しているといった程度の言及に留まったことからユーロドルは高止まりとなってはいますが、金曜にはフランス中銀総裁が改めて注視しているといった発言をしていることから、現行水準から一段高という動きには警戒すべきといったところだと考えてよさそうです。これまでの高値が1.2178レベルですから、同水準を超えて1.22という水準には警戒したいところです、
またEUと英国との通商協議は当初の11月中旬までにという期限から既に1か月が経過し、週末には協議を継続することで合意と、12月31日までに何らかの結論は出てくるであろうものの、事務手続き上の期限は全く無視されている状況となってきました。そして、12月31日までに合意に至るのかとなると現状では双方の溝が深く非常に困難な状況で、市場参加者も五分五分よりは悲観的な見方の方が多くなっているように思えます。
それでも週明け早朝のポンドの動きを見ているとまだ期待が残っていること、そしてEU英国双方にとって何らかの合意が望ましいに決まっているという外野の冷静な見方が強いという印象です。果たして英国側が言うように2021年に入っての協議が無いのかは、正直まだわからないところですが、ありそうな流れとしては形式だけ合意という形にして具体的な内容は年明けに詰める、内容が詰まるまでは移行期間が延長されるというあたり。12月31日までにこんな訳のわからない発表があるのではという気がしてなりません。
市場参加者は多くの人がどっちでもいいから早く決めてくれと思っているのでしょうが、少なくとも12月31日まではどちらかはっきりしない悩ましい展開が続きそうで、ユーロも上下どちらかに動くのはポンドの動きに追随して、つまり通商協議の結果待ちというところでしょうか。今週もFOMCだけでなく英中銀MPCや欧州主要国の12月製造業・サービス業PMI速報値など材料はあるものの、通商協議の動きが見えてくるまでは動きにくいという流れでしょう。
テクニカルに見てみましょう。
11月後半からのユーロ上昇後のペナント(小さな三角もちあい)をピンクのラインで示してありますが、教科書的にはトレンド継続中の踊り場で以前のトレンド(ユーロ高)に戻りやすいという流れです。ただ、先週示したように長期テクニカルでも1.21台半ばは達成感があり、調整に入りやすくなっていることも動きを鈍くしている要因です。
結局テクニカルにもどちらかに抜けるまでは動きが出にくく、これまでのもみあいを継続しやすいこと、教科書的には上に抜けやすいもののどちらか抜けた方向に追随しやすいことしか言えません。ただ個人的な感触としては11月の安値からここまで調整らしい調整が入っていないため、材料を無視できるならばユーロ売りのポジション調整が出やすいというイメージでいます。
今週はこちらにも動きうるもののやや上値が重たい流れを考え、先週同様に1.2040レベルをサポートに1.2170レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週もポンドドルの日足チャートを見てみましょう。
先週は、最終的に合意となれば改めて買われる可能性はあるものの、短期的には続落に注意したい旨を書きましたが、思った以上に下げ11月安値と12月高値の半値押しと61.8%押しの間にまで金曜には下げていました。しかし週末のEUと英国との通商協議継続により週明けのポンドは大きくギャップアップして始まりました。
しかし、テクニカルにはこれまでの上昇チャンネル(ピンクの平行線)から下降チャンネル(青の平行線)へと変化し、上がったところは売りというのがテクニカルな見通しと言えます。現状はまだ通商協議の行方が見えないため、上がったら売りいっぽうで61.8%押しとなる1.31水準では買いという流れになりそうです。
今週の予定
12月16日(水)
16:00 英国11月CPI・PPI
17:15 フランス12月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ12月製造業・サービス業PMI速報値
18:00 ユーロ圏12月製造業・サービス業PMI速報値
18:30 英国12月製造業・サービス業PMI速報値
19:00 ユーロ圏10月貿易収支
28:00 FOMC結果公表
**:** ユーロ圏財務相会合
**:** 英中銀MPC(〜17日)
12月17日(木)
16:45 フランス12月企業景況感
17:30 スイス中銀政策金利発表
19:00 ユーロ圏11月CPI
21:00 英中銀MPC結果発表
**:** EU財務相会合
12月18日(金)
09:01 英国12月GFK消費者信頼感
16:00 英国11月小売売上高
16:00 ドイツ11月PPI
18:00 ドイツ12月ifo企業景況感
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
12月7日(月)
ユーロドルは東京市場では全く動かず、欧州市場に入りポンドとともに下げる動きとなりましたが、EUと英国との通商協議の土壇場合意を期待する向きも多く買い戻しが入り、全般的なドル売りの動きの中で1.2166レベルの高値をつけました。しかし先週高値をトライしきれず、引けにかけてはジリ安となり安値圏に近づいての引けとなりました。
12月8日(火)
ユーロドルはECB理事会を前に難航するEUと英国との協議も重なり動きにくい流れとなっていましたが、ECB理事会の追加緩和は織り込み済みで、ブレグジット問題も合意なき離脱の可能性が高まっているものの、合意の可能性もあり方向感を定めにくい地合いが続きました。
12月9日(水)
ユーロドルは欧州市場序盤までは方向感がはっきりしない展開となっていましたが、欧州市場では難航するEUと英国との通商協議とECB理事会を前にしたポジション調整からユーロは1.20台半ばと2日の水準に下押しし若干戻しての引けとなりました。
12月10日(木)
ユーロドルはECB理事会を前に動きは鈍かったものの、前日の下げに対してやや買い戻されての理事会待ちとなりました。結果はコンセンサス通りに追加緩和が行われ購入額が5000億ユーロ増額、期間も2022年3月まで延長されました。しかしユーロの水準には注視しているとの発言にとどまり、1.2159レベルまで上昇後一時的にユーロ売りとなったものの、イベント通過の買い戻しも目立ち1.21台前半で底堅く引けました。
12月11日(金)
ユーロドルは、東京市場では底堅い動きとなっていたものの、欧州市場に入り難航しているEUと英国の通商協議とフランス中銀総裁のユーロ高牽制発言が重なって1.21台半ばから前半へと下落。その後はもみあいとなっていたものの週末を前にして上値が重たい地合いのままで引けました。
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