ドル円 もみあい継続も上値は重い(週報12月第2週)

先週のドル円は円としての材料にも欠け週を通しての値幅も75銭に留まりと、動かない時のドル円相場になって来ています。

ドル円 もみあい継続も上値は重い(週報12月第2週)

もみあい継続も上値は重い

〇先週のドル円、円としての材料に欠け週を通しての値幅は75銭
〇長い目で見ると緩やかな円高は依然として継続
〇今週はFOMC、英中銀MPC、日銀会合と週後半に主要中銀の金融政策決定会合控える
〇欧州関連の経済指標、欧州通貨にとって悪材料に反応しドル買い方向に作用しやすい
〇今週もドル円の動きは期待出来ず、レンジを上下どちらかに抜けださないと方向感出ない状態
〇今週は103.40レベルをサポートに104.40レベルをレジスタンスとする週

今週の週間見通し

先週のドル円は円としての材料にも欠け週を通しての値幅も75銭に留まりと、動かない時のドル円相場になって来ています。直近では103円台後半のドル買いと104円台半ばのドル売りが拮抗している印象ですが、より長い目で見ると緩やかな円高は依然として継続していると見てよいでしょう。

今週はFOMC、英中銀MPC、日銀会合と週後半に主要中銀の金融政策決定会合が控えていますが、もっとも注目されるのはFOMCですが、以前は追加緩和が行われるとの見方がコンセンサスであったものの、最近では経済指標に改善も見られますし、ムニューシン財務長官は支援プログラムの縮小を示しました。

追加緩和があるかないかの市場の見方は分かれていて現状では五分五分といったところではないかと考えられますが、何も無いと失望による株式市場への悪影響が考えられますので、期限の延長について言及するとか、慎重に様子を見ながら次回1月27日の会合での緩和を判断するとか、何か含みを持たせるような発言は出てくるものと考えられます。そしてその場合の動きとしては株価が上昇ということは考えられるものの、為替市場への影響はあまり無いのではないかというように考えられます。

他にも今週は経済指標の発表が多い週ですが、どちらかと言えば欧州関連が目立ち、EUと英国との通商協議延長とも重なってユーロドルの動きがドルとしてドル円にも影響を与えるということは考えられますが、週末に延長のニュースで欧州通貨買い(ドル売り)に動いたため、欧州通貨にとって悪材料に反応しやすく、ドル買い方向に作用しやすいと考えています。

なお、本日は米国大統領選の選挙人投票日になりましたが、トランプ陣営の訴訟も空しく終わり、ほぼバイデン新大統領誕生で確定でしょう。確定は1月6日となりますが、さすがに結果を引っくり返すほどの裏切り投票(毎回ごく少数ではあるものの起きている)は無いと考えられます。

こうなると今週もドル円の動きは期待出来そうもなく、これまでのレンジを上下どちらかに抜けださないと方向感は出ないという状態が続きそうです。テクニカルに見てみましょう。日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

短期のサポート・レジスタンスライン(青)は引き直しましたが、あまり大勢に影響は無く、ピンクの太線で示した7月高値からのレジスタンスラインを抜けない限りは長期的なトレンドはドル安・円高で見ていてよいと思います。同ラインは今週105円台前半から104円台後半へと105円を割り込んできますので、仮に経済指標や金融政策でドルが買われる動きがあったとしても、同ラインを明確に上抜けない限りトレンドは変わりません。

ただ11月17日以降ほぼ1か月間103円台後半の買いと104円台半ばの売りを繰り返してきていますので、そろそろどちらかに抜けてもおかしくはありませんので、長期的なトレンドから今週も引き続き抜けるとしたら下(ドル安・円高)というスタンスで行きたいところです。

もみあいを前提にしつつも下方向に若干余裕のあるレンジを考え、今週も103.40レベルをサポートに、104.40レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

12月14日(月)
08:50 日銀短観(12月調査分)
16:00 トルコ10月鉱工業生産
17:00 南ア10〜12月期消費者信頼感
19:00 ユーロ圏10月鉱工業生産
**:** 米国大統領選選挙人投票日

12月15日(火)
09:30 豪中銀理事会議事要旨公表
11:00 中国11月鉱工業生産、小売売上高
16:00 英国11月失業率
16:45 フランス11月CPI
18:00 フィンランド中銀総裁会見
18:30 南ア11月PPI
22:30 米国12月NY連銀製造業景況指数
22:30 米国11月輸入物価
23:15 米国11月鉱工業生産、設備稼働率
**:** FOMC(〜16日)

12月16日(水)
**:** 南ア市場休場
08:50 本邦11月貿易収支(通関)
16:00 英国11月CPI・PPI
17:15 フランス12月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 ドイツ12月製造業・サービス業PMI速報値
18:00 ユーロ圏12月製造業・サービス業PMI速報値
18:30 英国12月製造業・サービス業PMI速報値
19:00 ユーロ圏10月貿易収支
22:30 米国11月小売売上高

23:45 米国12月製造業・サービス業PMI速報値
24:00 米国12月NAHB住宅市場指数
24:00 米国10月企業在庫
24:30 週間原油在庫統計
28:00 FOMC結果公表
28:30 パウエルFRB議長会見
30:45 NZ7〜9月期GDP
**:** ユーロ圏財務相会合
**:** 英中銀MPC(〜17日)

12月17日(木)
**:** 日銀会合(〜18日)
09:30 豪州11月失業率
16:45 フランス12月企業景況感
17:30 スイス中銀政策金利発表
19:00 ユーロ圏11月CPI
21:00 英中銀MPC結果発表
22:30 米国新規失業保険申請数
22:30 米国12月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
22:30 米国11月住宅着工・建築許可件数
30:45 NZ11月貿易収支
**:** EU財務相会合

12月18日(金)
09:00 NZ12月企業信頼感
09:01 英国12月GFK消費者信頼感
**:** 日銀会合結果公表
15:30 黒田日銀総裁会見
16:00 英国11月小売売上高
16:00 ドイツ11月PPI
18:00 ドイツ12月ifo企業景況感
24:00 米国11月景気先行指数

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

12月7日(月)
東京前場のドル円は日経平均株価の下げとともに円高が先行したものの、104円割れではドル買いも見られ欧州市場序盤には早朝の水準に戻しました。欧州市場ではEUと英国との通商協議難航からポンド売りをきっかけとしたドル買いの動きとなりましたが、こちらも長続きせず、NY市場では再び安値圏に押してと上下ともに動きは限定的なものとなっていました。

12月8日(火)
ドル円は前日海外市場での下げに対する調整から終日じり高の展開とはなったものの、1日の値幅は26銭と限定的でこれといった材料も無い中で静かな値動きとなっていました。

12月9日(水)
ドル円は東京市場では動かず、欧州市場序盤にユーロが対ドル対円で上下する動きにドル円も上下したものの方向感は出ず。その後はユーロドルが下げる動きに沿ってドル買いの動きとなり104.41レベルの高値をつけた後、売りにぶつかりやや押しての引けとなりました。

12月10日(木)
ドル円は東京市場では海外市場で下げていた日経先物に買い戻しが入る動きとともに円安の動きが先行しました。欧州市場序盤には104.58レベルの高値をつけましたが104円台半ばでのドル売りも根強く高値圏でのもみあいの後に反落、海外市場ではユーロドルの上昇の動きがドル売りの動きとなってドル円は104円台前半へと押して引けました。

12月11日(金)
ドル円は株式市場で売りが先行した動きとともに円高に動いたものの下がり切らず、NY市場までは104円を挟んでのもみあいが続きました。しかし東京朝方に下げる前の水準では売りも見え、NY昼前に再度下げて103.82レベルの安値をつけたものの引けにかけては104円に近づき方向感が無いままに引けました。

ディスクレーマー

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