ドル円 米FOMC注視、レンジ放れへわずかな期待も(週報12月第2週)

先週のドル/円相場は、レンジ取引。週間を通した値動きはわずか75ポイントと、今年の週間最小変動幅に匹敵する小動きだった。

ドル円 米FOMC注視、レンジ放れへわずかな期待も(週報12月第2週)

米FOMC注視、レンジ放れへわずかな期待も

〇ドル円、週間高値104.58まで上昇するもドル高は続かず一時104円割れに
〇英国での新型コロナワクチン接種で重篤なアレルギー反応など失望を呼ぶなら米株安とドル安を招く恐れ
〇米FOMCの資産購入に関するガイダンス強化への期待感が強く、16日発表の結果に注意
〇今週発表の12月NY連銀製造業景況指数や日銀短観、中国の11月小売売上高などに注視
〇今週のドル/円予想レンジ103.00-105.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、レンジ取引。週間を通した値動きはわずか75ポイントと、今年の週間最小変動幅に匹敵する小動きだった。

前週末には、英政府が米ファイザーのコロナワクチンについて、「8日から接種を開始する」と発表し話題に。また、ポンペオ米国務長官が「宣伝に利用している」ことを理由として、5つの対中交流事業を終了すると発表したことも「米中対立」の再燃観測などを呼んでいた。
そうした状況を受けたドル/円は104.05円レベルでオープン。そののち、週間高値104.58円まで上昇するもドル高は続かず。週末にかけて再び下値を試す展開になるなど「行って来い」に。一時104円を割り込む局面も観測されたが、週末のNYでは辛うじて104円台を回復し越週している。
なお、「英EU通商交渉」をめぐるゴタゴタの続くポンドが週間を通した荒っぽい変動をたどっていたほか、豪ドルが対円やドルで年初来高値を更新するなど、緩やかな右肩上がりとなったことがとくに目を引いていた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米EU通商交渉」と「米中関係の悪化」について。
前者は、4日に「交渉の一時中断」が正式に発表されたものの、翌5日に英国とEU首脳が会談を実施した結果として「通商合意に向けた交渉継続を確認した」とスグに方針を転換。当初は好感した動きがやや先行していたものの、その後は楽観と悲観が入り乱れるなど情報が錯綜し、ポンド相場もそれに連れての乱高下をたどっている。ただ、紆余曲折を経た末、週末にはジョンソン英首相から「交渉は失敗に終わる公算が大きい」とサジを投げたような発言が聞かれ、市場の失望を誘う。ポンド/円は一時136円台と、約1ヵ月ぶりの安値を示現し、そのまま安値圏で越週となった。

対して後者は、週間を通し米国サイドが矢継ぎ早な対中政策をいくつか繰り出し、それが思惑を呼ぶ。たとえば、ポンペオ米国務長官が「宣伝に利用している」ことを理由に5つの対中交流事業の終了を公表。また香港をめぐる対中制裁として、「全人代の常務委員会メンバー14人とその家族に関し、米国入国を禁止する」−−などと発表していた。それに対し、中国は外務省などが非難コメントを繰り返すと同時に、報復を示唆しており、さらなる関係悪化を懸念する向きが市場で再び増加しつつある感を否めない。

<< 今週の見通し >>

新型コロナについては、感染拡大がいまだ止まらない反面、ワクチン開発あるいは接種についての期待感も強く、取り敢えず影響は相殺もしくは期待感がやや優勢となっている。一足早く8日からワクチン接種が開始された英国に続き、米国でも食品医薬品局(FDA)が「ファイザー製コロナワクチンの緊急使用を許可」を出したことで、近く接種が始まる見込みだ。期待感がさらに強まる可能性もある。ただ、前述した英国でのワクチン接種で、「重篤なアレルギー反応が2例報告された」との発表がなされたことは若干気掛かり。飽くまで例外とみられるものの、今後失望を呼ぶようだと米株安・ドル安を招く恐れもあるかもしれない。

一方、今週の市場で話題になりそうなのは、年内最後の米FOMC。ちなみに、現行の金融緩和政策は維持される公算が大きいなか、市場の関心を集めているのは「資産購入に関するガイダンス強化」について。先日発表されたFOMC議事要旨では、「ガイダンスの強化を望む可能性があると多くの参加者が判断した」と記載されており、その期待感は強い。果たして、市場の期待に沿った結果となるのか否か、16日の結果発表には要注意だ。

テクニカルに見た場合、ドル/円は前述したように、先週の週間変動はわずか75ポイント(103.83-104.58円)。これは今年の週間最小変動に匹敵する小動であり、もう少し期間を長くみても103.66-104.76円という1.1円レンジのなかに依然としてとどまっている状況だ。米FOMCという重要材料が控えるなか、上下いずれかにレンジを放れることができるのか否かにまずは注目で、「今週動かなければ今年の相場は終了」−−などといった諦めの声も聞かれている。

材料的に見た場合、中長期的には再び激化の兆しのうかがえる「米中の対立」やそれだけにとどまらない「様々な中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発」、「就任確実のバイデン新大統領による米政権人事と政権運営」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
そうしたなか今週の材料としては、12月のNY連銀製造業景況指数など注目の米経済指標が発表されるほか、同じ経済指標でいえば日本の日銀短観や中国の11月小売売上高などにも注意を払いたい。また、いまだ不透明感の漂う米大統領選について最終決着がつけられるのか、14日の「米大統領選の選挙人投票」の行方なども波乱要因として一応要注意。

そんな今週のドル/円予想レンジは、103.00-105.00円。ドル高・円安については、先週高値の104.58円が最初の抵抗。抜けてもレンジ上限の104.76円などが上値を抑制するとみられ、その上値は重そうだ。
対するドル安・円高方向は、同様に先週安値の103.83円や、その少し下に位置するレンジ下限にあたる103.66円をめぐる攻防にまずは注目。それらを割り込むようだと、前回安値103.18円がターゲットに。

米FOMC注視、レンジ放れへわずかな期待も

ドル円日足

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