新規材料難のなか、基本はレンジ取引か
〇ドル円、一時104円台を割り込むも買い戻され「行って来い」
〇先週末「一時中断」発表の英EU通商交渉、両首脳が7日夜に再び会談する予定
〇ポンペオ米国務長官「宣伝に利用している」として5つの対中交流事業を終了すると発表
〇コロナワクチン、ポジティブな報道が続くならリスク志向の動きが再び強まる可能性
〇本日は目立った経済指標発表なく、新規材料不足でやや動きにくそうな雰囲気
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ103.70-104.60
<< 東京市場の動き >>
週明け7日の東京市場は、「行って来い」。一時ドル安が進展するも続かず、その後は買い戻されている。
先週末には、英政府が米ファイザーのコロナワクチンについて、「8日から接種を開始する」と発表し話題に。また、ポンペオ米国務長官が「宣伝に利用している」ことを理由として、5つの対中交流事業を終了すると発表したことも思惑を呼ぶ。
そうした状況を受けたドル/円は104.10円レベルでオープン。そののち日中高値104.20-25円へと小幅に上昇したのち、利益確定売りなどに押され、一時104円台を割り込んでいる。下値リスクが再燃したとの指摘も聞かれたが、結果としてドル安は続かず。買い戻されると再び日中高値をうかがう様相となり、16時現在では104.10-15円で推移、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「英国情勢」と「米中関係悪化」について。
前者は、大きく2つの要因に分けられ、うちひとつは前述した「8日からコロナワクチンの接種を開始する」との発表。引き続き世界的な感染拡大が止まらないなか、ひとつのメルクマールとして英のワクチン接種、英国情勢を注視している向きは決して少なくない。そしてもうひとつは、先週末に「一時中断」を発表した英EU通商交渉について。5日に英国とEU首脳が会談を実施し「通商合意に向けた交渉継続を確認した」と発表されたが、先行き不透明との見方も依然として根強いようだ。なお、両首脳は7日夜に再び会談する予定だと別途伝えられている。
対して後者は、先週半ばぐらいから米国が矢継ぎ早な対中政策を発表し、再び両国関係悪化が金融市場で大いに警戒されている。そうしたなか、週末にも中国司法省が「中国の憲法は当然、香港に適用される」と改めて表明。米国などで強い反発を招いていた。それに対して米国は先でも取り上げたように、ポンペオ米国務長官が「宣伝に利用している」ことを理由として、5つの対中交流事業を終了すると発表し思惑を呼ぶ。また、米政府は今月4日が期限とされたTikTokの米事業売却期限を延長しない方針、とも報じられている。
<< 欧米市場の見通し >>
新型コロナの感染拡大が続くだけでなく、この先のクリスマスなどをにらみ、さらに広がる可能性も取り沙汰され、警戒感は依然として根強いまま。しかし、コロナワクチンについて開発の動きもさることながら、ここにきては接種ならびに、それを踏まえたうえでの目に見える格好での効果、効能についての期待感も日増しに高まっている感を否めない。後者について、ポジティブな報道が続くようなら、リスク志向の動きが再び強まる可能性もある。
そうしたなか、材料的に注視されているもののひとつは「米中関係悪化」について。一部報道によると、7日にも米政府は「香港情勢をめぐり対中制裁を科す可能性がある」とされており、真偽ならびに中国による反発あるいは報復の動きにも要注意だ。また、米国ファクター以外では、5日に続き実施される英EU首脳による通商交渉に関する会談にも注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、103.66-104.76円という1.1円レンジが、ついに3週間を経過した。先週、上限と下限のいずれを試すも、ともに抜けられず失敗に終わっただけに、いましばらくはレンジ取引が続くとの見方は少なくないようだ。ただ、上抜けた場合には105円台回復が見込まれる反面、底割れすれば103.18円の11月安値が視界内に。
材料的に見た場合、中長期的には「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発」、「就任確実のバイデン新大統領による米政権人事と政権運営」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
一方、本日の材料としては、目立った米経済指標の発表なども予定されていないうえ、要人による講演などの発言機会も少ない。新規材料不足でやや動きにくそうな雰囲気だ。ただ、先で取り上げた「米による対中制裁」や「2度目の英EU首脳会談」などには要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは103.70-104.60円。本日東京高値にあたる104.20-25円の攻防にまずは注視。上抜けると、移動平均の21日線(104.40-45円)、レンジ上限の104.76円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、東京安値にあたる103.95円レベルが弱いサポートにあたり、割り込めばレンジ下限である103.66円を目指す展開か。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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