ドル円 上値は重く先週安値を再トライか(週報12月第1週)

週を通してみると下げる動きの方が速く、おそらくは短期筋の投資家が円売りを先行させているものの上がりきらずポジションを投げたといった動きであったと考えられます。

ドル円 上値は重く先週安値を再トライか(週報12月第1週)

上値は重く先週安値を再トライか

〇先週のドル円、104.74まで上昇するも103.68まで反落、週末には買戻しも見られた
〇ドル安・円高の変化が見られない為今週以降も上値が重たい地合いが継続しやすいか
〇EUと英国の通商協議が金融市場全般に影響を与える可能性
〇経済指標では動きにくいが、今週の米国材料はCPIに注目
〇今週は103.40レベルをサポートに104.40レベルをレジスタンスとする週と見る

今週の週間見通し

先週のドル円は週半ばまではユーロ買いの動きがユーロ円でも強まったことによる円売りと週初の水準から上昇した株式市場の動きを見て104.75レベルまで上昇する動きとなりましたが、木曜にはユーロドルの動きがドル全般の動きとなったことで反落し103.68レベルと前日高値から1円以上の下げを演じました。週末には買い戻しも見られましたが、週を通してみると下げる動きの方が速く、おそらくは短期筋の投資家が円売りを先行させているものの上がりきらずポジションを投げたといった動きであったと考えられます。

ドル円は一週間を振り返ると上をトライして失敗、下もトライして失敗、結局は週初の首位旬に戻しているという流れですが、長い目で見るとドル安・円高の流れには大きな変化が無く今週以降も明らかに底を打って反転したという動きになるまでは上値が重たい地合いが継続しやすいものと見ています。

今週はEUと英国との通商協議が合意に至るのか、結局合意無き離脱となってしまうのか、時間切れが近づく中での思惑がポンドやユーロだけでなく金融市場全般に影響を与えることとなりそうです。ECB理事会もありますので、その前に合意に向けての動きが見られるかどうかが特に重要です。

また、世の中は既にバイデン次期大統領で動いていますが、ジョージア州における年明けの決選投票に向けての共和党集会で、トランプ大統領が選挙人を自分に都合の良い選挙人にすることで自身の再選につなげるように主張しました。この選挙人を決める期限が明日12月8日で、順当に行けば14日に選挙人による投票という流れになるのですが、トランプ大統領の攪乱作戦で複数の州で選挙人が確定できない事態になった場合、その州が独自に選挙人を決めることが可能で、揉めてきた州の多数派が共和党であることを考えると選挙の結果がひっくり返る可能性はゼロではありません。

さすがに前代未聞の事態になるとは考えにくいですし、そんなことにでもなれば仮に再選しても議会で何も進まないといったことになるのは目に見えています。この選挙人問題については、明日の選挙人確定期限までに従来通りの選挙人が決まるという流れで考えていてほぼ間違いないと思われますが、念のために結果確認だけはしておきましょう。もしものこと(選挙人決まらず)が起きた場合には、米国政治が流動的になり更には全米規模の抗議行動等が起き、リスクオフの動きが強まることとなりそうです。

経済指標ではなかなか動きにくくなってきていますし、今週の米国材料はCPI程度しか目立ったものが無いためテクニカルな観点から見ていきます。日足チャートをご覧ください。

先週から大きな変化は無いものの、11月の高値から引いたレジスタンスラインと安値から引いたサポートライン(どちらも青のライン)でトライアングル(三角もちあい)状のパターンが形成され、それを先週木曜の下げでいったん下抜いていることがわかります。その後買い戻しが出てはいるものの、このサポートラインからレジスタンスラインにかけての水準が今はレジスタンスラインとなりやすいと言えます。

いっぽうで、11月安値と高値との78.6%(61.8%の平方根)押しが根強いサポートとなっていて、こちらは強調表示した103.71です。ここを明確に抜けて来ないとレンジ相場になってしまいそうですが、逆にこれまで抜けられなかっただけに次に先週安値を試す時には下げが強まる可能性が高く、個人的にはこちらの展開を考えています。

今週は11月安値をトライするところまでは行かないでしょうが、先週安値を試す流れを考え103.40レベルをサポートに、上記レジスタンスゾーンと重なる104.40レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2020年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

(時刻表示のあるものは日本時間)

12月7日(月)
07:05 豪中銀総裁講演
**:** 中国11月貿易収支
16:00 ドイツ10月鉱工業生産

12月8日(火)
08:50 本邦7〜9月期GDP改定値
08:50 本邦10月貿易収支(国際収支)
09:01 英国11月小売売上高
09:30 豪州11月企業景況感
16:45 フランス10月貿易収支
18:30 南ア7〜9月期GDP
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP確報値
19:00 ドイツ12月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏12月ZEW景況感
22:30 米国7〜9月期非農業部門労働生産性
30:45 NZ7〜9月期製造業売上高
**:** 米国大統領選選挙人確定期限

12月9日(水)
08:30 豪州12月消費者信頼感
10:30 中国11月CPI・PPI
16:00 ドイツ10月貿易収支
17:00 南ア11月CPI
20:00 南ア10月小売売上高
24:00 カナダ中銀政策金利発表
24:00 米国10月卸売売上高・在庫
24:30 週間原油在庫統計

12月10日(木)
09:01 英国11月住宅価格
16:00 英国10月貿易収支、鉱工業生産
16:00 トルコ9月失業率
16:45 フランス10月鉱工業生産
18:00 南ア7〜9月期経常収支
21:45 ECB理事会
22:30 ラガルドECB総裁会見
22:30 米国11月CPI
22:30 米国新規失業保険申請数
**:** EUサミット

12月11日(金)
16:00 トルコ10月経常収支
22:30 米国11月PPI
24:00 米国12月ミシガン大消費者信頼感速報値

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

11月30日(月)
 週明けのドル円は朝方の日経平均の下げとともに円高が先行、東京市場では103.83レベルを何度か試したものの下げきれず、103.80には大きめのドル買いオーダーが入っている様子でした。欧州市場序盤には日経先物に買い戻しが入りドル円にも買い戻しが見られましたが、日中ショートのストップオーダーと見られ一巡後は再び下押し。NY市場ではユーロが下げる動きとともにドル買いの動きとなり104.41レベルまで買われて高値圏での引けとなりました。

12月1日(火)
 ドル円は前日NY後場からの底堅い地合いが先行しましたが、104円台半ばではドル売りオーダーも見られ反落、ユーロドルの買い戻しとともに104.18レベルの安値をつけました。欧州市場では買い戻しが進み、NY市場ではユーロが対円でも大幅上昇する動きとともに104.58の高値をつけましたが、104円台半ばでの売りに押され東京朝方の水準に押して引けました。

12月2日(水)
ドル円は前日に上下ともにオーダーが入っている状況を確認した流れでしたが、東京市場では買いが先行した日経平均株価の動きとともにドル円、ユーロ円での円売りが先行しました。欧州市場序盤にユードロドルの下げとともにドル円は前日高値を上抜け、NY市場前に104.75レベルの高値をつけましたが、ユーロドルが日中高値を上抜けるとドル売りへと転じ東京市場の水準へと押して引けました。

12月3日(木)
 ドル円は東京市場ではもみあいとなっていたものの、欧州市場序盤にドル売りが先行し、この動きがその後の流れを決めることとなりました。全般的なドル売りの動きの中でNY市場に入ると直近のサポートを次々と下抜け、NY前場には103.67レベルと週間安値を更新後、やや戻しての引けとなりました。

12月4日(金)
 前日に大きく円高が進んだ動きに対して週末前のポジション調整から買い戻しが目立ちました。ただ、注目度は低いものの米国雇用統計を控えていることもあって動き自体は鈍いままでNY市場入り。雇用統計はNFPが予想よりも弱く一時的に下押しが見られたもののすぐに回復し、104.25レベルまで上昇後は高値圏でもみあいのまま引けました。

ディスクレーマー

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