ドル円、レンジ取引から脱却の有無注視(週報12月第1週)

先週のドル/円相場は、週間を通して1円強のレンジ取引。

ドル円、レンジ取引から脱却の有無注視(週報12月第1週)

レンジ取引から脱却の有無注視

〇先週のドル円、週間高値104.75後に103.68まで反落で1円強のレンジ取引
〇英EU通商交渉、ブルームバーグが「土壇場で合意遠のく」と報じる
〇バイデン氏、新財務長官人事について「イエレン前FRB議長を指名した」と発表
〇今週の話題は「米国の新型コロナウイルス経済対策法案」協議と「米中関係の悪化」
〇今週は11月消費者物価指数や12月ミシガン大学消費者信頼感指数などが発表
〇今週のドル/円予想レンジ103.00-105.20

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、週間を通して1円強のレンジ取引。前週に「NYダウが初の3万ドル台突破」したことに続き、先週は「ナスダックが史上最高値を更新」する局面なども観測されていたが、為替市場の反応はいまひとつだった。

前週末には、コロナワクチンの接種について、「早ければ12月7日にも英国内で接種できるようになる可能性」などといった一部報道が観測されたほか、OPECプラスが共同閣僚監視委員会会合を開催するも来年1月の増産延期で合意できなかった旨の発表がなされている。

そうした状況を踏まえ、週明けのドル/円は104.00-05円で寄り付いたのち、週の半ばにかけて週間高値である104.75円まで上昇。11月24日高値に面合わせするも越えられず、そののち103.68円まで1円以上もの反落をたどっていた。週末NYは104円台を辛うじて回復した104.20円前後で越週している。
なお、前述したように週間を通して1円強のレンジ取引にとどまったドル/円だが、ドルは対ユーロや豪ドル、NZドルのほか対韓国ウォンなどアジア通貨でも総じて弱い。ユーロ/ドルのように、年初来のドル安値を更新した通貨ペアも少なくなかった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「英EU通商交渉」と「米大統領選とバイデン氏の組閣人事」について。
前者は、週明けに英紙テレグラフが「英国の水域をめぐる同国の主権をEUが正式に認める方向」、ブルームバーグは「双方が誠意ある取り組みを続ければ、数日以内に合意する可能性がある」と報じるなど、当初は楽観的な見通しが優勢。協議の進展が期待され、ポンドの買い材料にもなっていたが、そののち徐々に陰りが見え始めている。実際、欧州委員長から「英国との通商は極めて難しい。合意を望んでいるが、高い代償を払うつもりはない」との発言のほか、前述したブルームバーグでは前言を撤回する格好で、「土壇場で合意遠のく」と報じるなど、悲観的見解を示していた。

対して後者は、依然として敗北を認めないトランプ氏だが、FOXニュースはインタビューに応じたなかで「連邦最高裁に持ち込むのは極めて難しい」とコメントした旨を報じ、一部で話題に。そうしたなか、次期米大統領に事実上内定しているバイデン氏は金融市場でもっとも関心を集めている新財務長官人事について、「イエレン前FRB議長を指名した」と発表。市場で大いに好感されると、NYダウやナスダックの一段高に寄与していた面もありそうだ。

<< 今週の見通し >>

新型コロナの感染拡大は続いており、それも11月26日の感謝祭前後から米国で再び増加しているなどとする報道も観測されている。ただ、ワクチン開発の動きが市場ではより好感されている感を否めず、実際、それはNYダウの3万ドル到達や、ナスダックが史上最高値を更新するといった米株高の傾向に示されているのだろう。コロナvsワクチンの構図はまだしばらく続く見込みだが、株価については上昇傾向が続くとの見方が有力だ。

一方、今週の市場で話題になりそうなのは、米国ファクターとして大きく2つ。ひとつは、「米国における新型コロナウイルス経済対策法案」協議の行方。ペロシ下院議長らの発言を聞く限りでは、風雲急でまとまる公算が高まっているのかもしれない。そして、もうひとつは矢継ぎ早に繰り出される米国の政策により、「米中関係の悪化」が再び取り沙汰はじめていることも気掛かり。そうした状況下、クリスマスモードに入りつつあり、商いが薄くなるなかだけに、予想外の価格変動にも一応注意を払いたい。

テクニカルに見た場合、ドル/円は気が付くと3週間近くも103.66-104.76円という1.1円レンジのなかにとどまっている。先週も2日にドルの上値、翌3日には同安値を試すもともに割り込めず、レンジブレークは失敗に終わった格好だ。よって、今週もまずは前述した1.1円レンジの脱却をめぐる攻防に注視したい。レンジを割り込めば、11月の月間安値である103.18円をトライする展開が予想される反面、上抜くことができれば105円台回復。11月高値105.68円が視界内に。

材料的に見た場合、中長期的には再び激化の兆しのうかがえる「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス再拡大とワクチン開発」、「就任確実のバイデン新大統領による米政権人事と政権運営」、「トルコ情勢」−−などが注視されている。
そうしたなか今週の材料としては、11月の消費者物価指数や12月のミシガン大学消費者信頼感指数などの米経済指標の発表が相次ぐ。先週発表された米経済指標はマチマチながら、雇用指標は全般的に冴えなかったことから、今週発表の指標についても警戒感を抱く参加者は少なくないようだ。またECBによる政策金利の発表など欧州ファクターにも要注意。

そんな今週のドル/円予想レンジは、103.00-105.20円。ドル高・円安については、先週高値でもあるレンジ上限の104.76円が最初の抵抗。抜けると105円台回復から、移動平均の90日線が週間を通して位置するとみられる105.30円前後がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、同様にレンジ下限にあたる103.66円をめぐる攻防にまずは注目。割り込むようだと前回安値103.18円を目指し、それも下回ると102円台後半が視界内に捉えられそうだ。

レンジ取引から脱却の有無注視

ドル円日足

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