ドル円見通し 104円を挟んだ持ち合いだが上値重く、中勢は右肩下がりの下落基調(週報12月第1週)

12月4日に発表された11月の米雇用統計では、非農業部門就業者数は前月比24.5万人増で市場予想の46.9万人増を大幅に下回ったがNYダウは史上最高値を更新した。

ドル円見通し 104円を挟んだ持ち合いだが上値重く、中勢は右肩下がりの下落基調(週報12月第1週)

ドル円見通し 104円を挟んだ持ち合いだが上値重く、中勢は右肩下がりの下落基調

〇ドル円先週は104.75高値→103.67安値の後104円台前半で越週、ドル指数下落のドル安感が中勢を支配
〇雇用統計NFPは市場予想大幅に下回るも、景気対策、追加緩和への期待が増し、NYダウ史上最高値更新
〇11/18以降103.60-104.75のボックス型持ち合い継続
〇104.25を超えて続伸の場合104.50-75ゾーン試すも戻り売りにつかまりやすい
〇104円以下での推移に入る場合は103.67試し103.00-25試し、103.17割れからは下値目途引き下げ

【概況】

ドル円は12月2日夜高値で104.75円を付けたものの11月24日高値と同値にとどまり、12月3日深夜には103.67円まで下げて11月18日深夜安値103.65円に迫ったものの底割れは回避し、12月4日の米雇用統計を通過しながら104円台序盤へ戻して週を終えている。
11月9日の米ファイザー社ワクチン報道から急伸して11月11日には105.67円まで戻したもののその後は続かずに11月18日まで6日間連続の日足陰線で下げ、以降は104円を挟んだ持ち合い観測。方向感に欠けるものの11月18日にかけての陰線連続と、104.50円を超えたところで二度売られていることで上値が重く、今年3月以降の戻り高値を切り下げつつ安値を更新する右肩下がりの展開の範囲での推移という印象だ。
株高基調が続いていることで米長期債利回りが上昇していることは現状でドル円を下支えているが、それよりもドル指数の下落にみられるドル安感がドル円の上値を抑え、かつ中勢としてのドル円下落基調を継続させている印象だ。

【株高ドル安は継続】

12月4日に発表された11月の米雇用統計では、非農業部門就業者数は前月比24.5万人増で市場予想の46.9万人増を大幅に下回ったがNYダウは史上最高値を更新した。雇用の緩やかな回復は続いている中で感染再拡大で回復基調が減速したことにより、バイデン政権発足後の景気対策への期待、政権発足までの間に米連銀が追加緩和に動く可能性もあるとの思惑で大勢としては3月コロナショックからの出直り相場の継続、バイデン政権とワクチン普及期待によるバイデン&ワクチン・ラリーは続くと市場は楽観的だ。
NYダウは12月4日に前日比248.74ドル高となり11月24日の取引時間中の最高値を更新し、終値ベースでも3万ドル台を回復して11月24日の史上最高値を更新した。ナスダック総合指数も87.05ポイント高となり2日連続で史上最高値を更新した。株買い債券売りにより米長期国債は売られ、10年債利回りは前日比0.06%上昇の0.97%、米30年債利回りも0.08%上昇の1.74%で週を終えた。為替市場は株高によるリスク選好感で下支えられつつも、12月4日は米長期債利回り上昇にやや押されてユーロ等が下落、ドル指数も反発したが、中勢としてのドル安基調は継続している印象だ。

【ドル指数の下落基調と同調したドル円の下落】

メジャー通貨の加重平均であるドル指数は12月3日に90.50まで下げて9月1日安値91.74を割り込む一段安となった。12月4日は戻したものの下げ渋り程度と思われる。
ドル指数はコロナショック第一波において3月20日へ急伸した後は戻り高値を切り下げての下落基調を続けてきた。ドル指数が6月30日の戻り高値から7月末へと一段安した流れと同調してドル円は7月1日の戻り高値から7月31日へ一段安となり、ドル指数が9月25日の戻り高値から今週の一段安へ向かう流れと同調してドル円も10月7日の戻り高値から一段安してきた。短期的な底打ちと戻り高値のタイミングはややずれるものの、3月のコロナショックでいったん暴落してからV字反騰し、その後を右肩下がりで下落基調を続けている状況は同調している。またドル指数に対する加重の大きいユーロドルの上昇とドル指数及びドル円は逆相関での推移となっている。

コロナ対策での主要国による実質ゼロないしはマイナス金利状態と量的緩和による過剰流動性供給が投機マネーと化し、集中的に米国株を中心とした株式市場へ向かい、為替市場においてもユーロ、ポンド、円等が買われ、輸出国通貨の豪ドル、NZドル、南アランド、アジア通貨全般でドル安であり、ブラジルレアルも11月からは上昇基調にある。株高債券安で米長期債利回りが多少上昇して日々の反応としては長期債利回り上昇でドルが買い戻される動きは出るもののそれがドル高基調の回復というようなトレンド形成には至らないため、ドル指数もドル円も、短期的な調整を入れつつもドル安基調で進むという中勢傾向を継続しているといえるだろう。

【11月18日以降の持ち合い放れ待ちだが、下放れ警戒】

【11月18日以降の持ち合い放れ待ちだが、下放れ警戒】

11月18日以降は103.60円台までを下値支持線、104.75円前後までを上値抵抗線としたボックス型持ち合いとなっている。104.25円を中心値としての騰落が繰り返されており、12月2日深夜安値で持ち合い下限に到達してから中心値まで戻したところにある。このため中心値の104.25円を超えて続伸し始める場合は持ち合い上限の104.75円前後をもう一度試す可能性もあるが、11月11日高値で戻りを一巡させて反落した後の横ばい持ち合いのため、持ち合いは下放れへ進みやすいケースと思われる。
概ね3か月前後の底打ちサイクル(2か月から4か月の範囲で推移)で見れば、8月13日高値から3か月目の11月11日高値で戻りのピークを付けて下落期に入っている印象であり、11月6日安値を基準としてみれば次の安値形成期となる1月前半か、2月序盤にかけて下落基調で推移しやすい状況と思われる。このため、11月18日以降の持ち合いから下放れる場合は11月6日安値を割り込んでゆくのではないかと思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当面、12月3日深夜安値103.67円を下値支持線、104.50円から104.75円を上値抵抗帯とする。
(2)104.25円を超えて続伸の場合は104.50円から104.75円にかけてのゾーンを試すとみるが、そこは戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)104円以下での推移に入る場合は12月3日深夜安値試しとし、底割れからは103円台序盤(103.25円から103.00円)を目指すとみる。103円台序盤はいったん買い戻されやすいとみるが、11月6日安値103.17円を割り込む時点からは概ね3か月周期のサイクルにおける底割れに入るために下げ足が早まると注意して下値目途を102円台中盤(102.75円から102.25円)へ引き下げる。(了)<6日18:00執筆>

【当面の主な予定】

12/7(月)
IOC理事会(12/11まで)
EU、予算・景気対策の合意期限
未 定 (中) 11月 貿易収支・米ドル建て (10月 584.4億ドル、予想 522.5億ドル)
未 定 (中) 11月 貿易収支・人民元建て (10月 4017.5億元
06:30 (豪) 11月AiGサービス業指数 (10月 51.4)
07:00 (豪) ロウ豪中銀総裁、講演
09:30 (豪) 11月求人広告件数 前月比 (10月 9.4%) 
14:00 (日) 10月 景気先行指数(CI)速報値 (9月 92.5)
14:00 (日) 10月 景気一致指数(CI)速報値 (9月 81.1)
16:00 (独) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 1.6%)
16:00 (独) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 -7.3%)
29:00 (米) 10月 消費者信用残高 前月比 (9月 162.1億ドル、予想 175.0億ドル)

12/8(火)
08:30 (日) 10月 全世帯消費支出 前年同月比 (9月 -10.2%)
08:50 (日) 7-9月期 GDP改定値 前期比 (速報 5.0%、予想 5.0%)
08:50 (日) 7-9月期 GDP改定値 年率換算 (速報 21.4%、予想 21.6%)
08:50 (日) 10月 経常収支・季調前 (9月 1兆6602億円)
08:50 (日) 10月 経常収支・季調済 (9月 1兆3455億円)
08:50 (日) 10月 貿易収支・国際収支ベース (9月 9184億円)
09:30 (豪) 11月 NAB企業景況感指数 (10月 1)
09:30 (豪) 7-9月期 住宅価格指数 前期比 (4-6月 -1.8%)
09:30 (豪) 7-9月期 住宅価格指数 前年同期比 (4-6月 6.2%)
14:00 (日) 11月 景気ウオッチャー調査-現状判断DI (10月 54.5)
14:00 (日) 11月 景気ウオッチャー調査-先行判断DI (10月 49.1)

18:30 (南) 7-9月期 GDP 前期比年率 (4-6月 -51.0%)
18:30 (南) 7-9月期 GDP 前年同期比 (4-6月 -17.1%)
19:00 (独) 12月 ZEW景況感・期待指数 (11月 39.0)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP確定値 前期比 (改定値 12.6%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP確定値 前年同期比 (改定値 -4.4%)
22:30 (米) 7-9月期 非農業部門労働生産性・改定値 前期比 (速報値 4.9%、予想 5.0%)

12/9(水)
06:45 (NZ) 7-9月期 製造業売上高 前期比 (4-6月 -11.9%)
08:30 (豪) 12月 ウエストパック消費者信頼感指数 (11月 107.7)
08:50 (日) 11月 マネーストックM2 前年同月比 (10月 9.0%)
08:50 (日) 10月 機械受注 前月比 (9月 -4.4%)
08:50 (日) 10月 機械受注 前年同月比 (9月 -11.5%)
10:30 (中) 11月 消費者物価指数 前年同月比 (10月 0.5%、予想 0.0%)
10:30 (中) 11月 生産者物価指数 前年同月比 (10月 -2.1%、予想 -1.8%)
16:00 (独) 10月 貿易収支 (9月 208億ユーロ)
16:00 (独) 10月 経常収支 (9月 263億ユーロ)
24:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
24:00 (米) 10月 卸売在庫 前月比 (9月 0.4%、予想 0.9%)
24:00 (米) 10月 卸売売上高 前月比 (9月 0.1%)

12/10(木)
EU首脳会議(12/11まで、ブリュッセル)
08:50 (日) 11月 国内企業物価指数 前月比 (10月 -0.2%)
08:50 (日) 11月 国内企業物価指数 前年同月比 (10月 -2.1%)
08:50 (日) 10-12月期 大企業全産業業況判断指数・BSI (7-9月 2.0)
08:50 (日) 10-12月期 大企業製造業業況判断指数・BSI (7-9月 0.1)
16:00 (ト) 9月 失業率 (8月 13.2%)
16:00 (英) 10月 月次GDP 前月比 (9月 1.1%)
16:00 (英) 10月 鉱工業生産指数 前月比 (9月 0.5%)
16:00 (英) 10月 鉱工業生産指数 前年同月比 (9月 -6.3%)
16:00 (英) 10月 貿易収支・物品 (9月 -93.48億ポンド)
16:00 (英) 10月 貿易収支・全体 (9月 6.13億ポンド)

21:45 (欧) 欧州中央銀行(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
22:30 (欧) ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見
22:30 (米) 11月 消費者物価指数 前月比 (10月 0.0%、予想 0.1%)
22:30 (米) 11月 消費者物価指数 前年同月比 (10月 1.2%、予想 1.1%)
22:30 (米) 11月 消費者物価コア指数 前月比 (10月 0.0%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 消費者物価コア指数 前年同月比 (10月 1.6%、予想 1.5%)
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 71.2万件)
22:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 552.0万人)
28:00 (米) 11月 月次財政収支 (10月 -2841億ドル)

12/11(金)
16:00 (ト) 10月 経常収支 (9月 -23.6億ドル)
22:30 (米) 11月 生産者物価指数 前月比 (10月 0.3%、予想 0.1%)
22:30 (米) 11月 生産者物価指数 前年同月比 (10月 0.5%)
22:30 (米) 11月 生産者物価コア指数 前月比 (10月 0.1%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 生産者物価コア指数 前年同月比 (10月 1.1%)
24:00 (米) 12月 ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値 (11月 76.9、予想 76.3)
26:40 クォ―ルズFRB議長、バーチャルイベントで質疑応答


注:ポイント要約は編集部

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