『強弱まちまちの材料に身動き取れず。行動制限強化がリラの重石』
〇トルコリラ円週を通して方向感に欠ける動き
〇週間レンジ13.16-44でボラティリティも急低下低下
〇テクニカル、ファンダメンタルズともに下落リスク警戒される
〇行動規制強化のトルコ経済への下押し圧力、インフレ高進に伴う実質金利マイナス化が重石
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):13.00ー13.50
今週のレビュー(11/30−12/4)
今週のトルコリラ円相場は、強弱まちまちの材料に身動きが取れず、週を通して方向感にかける値動きとなりました(週間高値13.44円、週間安値13.16円)。今週のリラ買い材料としては、@トルコ第3四半期GDP(結果6.7%、予想4.8%、前回▲9.9%)の力強い結果や、A新型コロナワクチンの実用化期待、Bグローバルに広がるリスク選好ムード(株高→新興国通貨高)が挙げられます。一方、今週のリラ売り材料としては、Cトルコ11月消費者物価指数(結果14.03%、予想12.66%)や、Dトルコ11月生産者物価指数(結果23.11%、予想18.90%)、E上記CDを受けた実質金利のマイナス化リスク)、Fエルドアン大統領による新型コロナ対策の行動制限強化(12/1以降、平日の夜間と週末の終日を原則外出禁止)が挙げられます。強弱まちまちの材料に週を通して方向感を見出しづらく、結局13.33円前後での越週となっております(ボラティリティも急低下)。
来週の見通し(12/7−12/11)
トルコリラの対円相場は、トルコ中銀による大幅利上げ(11/19のトルコ中銀会合で+475bpの利上げ)直後に記録した高値13.87円をトップに反落に転じると、11/24には一時12.94円まで急落しました。その後幾分持ち直すも戻りは鈍く、現在は13.33円付近での上値の重い展開が続いております(今週はボリンジャーバンドの幅が急縮小するなど、ボラティリティの低下が鮮明に)。
ファンダメンルズ的に見ても、@トルコ経済の先行き不透明感や、A外貨準備急減を受けたリラ安防衛能力への不信感、B対外収支の悪化懸念、C金融政策と実体経済の不一致(景気悪化懸念が燻る中での利上げ実施→トルコ経済への下押し圧力)、Dトルコを巡る地政学的リスク、E米国・ロシア・NATO同盟国との関係悪化懸念(反トルコ包囲網の拡大)、F新型コロナウイルスの感染拡大懸念(トルコ経済の柱である観光産業への打撃。トルコ国内での行動制限強化)、Gトルコに批判的なバイデン新大統領誕生リスク等、トルコリラ売りを想起させる懸念材料が山積みの状態です。
以上の通り、トルコリラ円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。@株式市場の動向(リスク選好ムードが続くか否か)や、A新型コロナウイルスの感染拡大状況及び、Bトルコ国内の行動制限強化に係る続報、Cトルコの主要経済指標(12/10のトルコ9月雇用統計、トルコ週次外貨準備高、12/11のトルコ10月経常収支など)の結果を睨みながらも、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(行動制限強化に伴うトルコ経済への下押し圧力と、インフレ高進に伴う実質金利のマイナス化懸念がリラの重石)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):13.00ー13.50
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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