トルコリラ円見通し 13.40円前後を上値抵抗線・13.10円台を下値支持線とした持ち合い
〇トルコリラ円、12/3夕刻インフレ指標発表後13.13まで下落、その後持ち直し12/4早朝13.36まで戻す
〇13.40前後が上値抵抗線、13.10台が下値支持線となる持ち合い相場の様相
〇12/3発表の11月消費者物価上昇率・生産者物価上昇率ともに大幅に上昇
〇消費者物価上昇がさらに加速すれば、再び実質マイナス金利状態に陥りかねない状況
〇13.25を上回るうちは上昇余地あり、12/4早朝高値13.36超えからは13.40超えを目指すとみる
〇13.25以下での推移に入る場合は12/3夕安値13.13試し、底割れからは13.00を目指す流れとみる
【概況】
トルコリラ円は12月3日夕刻のインフレ指標発表後に13.13円まで下落したがその後は持ち直して4日早朝には13.36円まで戻した。
11月19日にトルコ中銀が政策金利を従来の10.25%から15.0%へ大幅な引き上げを決定したことで19日夜に13.82円まで上昇したものの11月13日高値と同値にとどまり、利上げによる買い一巡後の反落から利上げ前水準を割り込む一段安に陥り、11月24日には12.92円まで続落した。13円割れに対する突っ込み警戒感からその後は持ち直したが、11月27日夕高値13.39円、30日夜高値13.42円、12月2日夜高値13.39円と13.40円前後が上値抵抗線となり、11月30日朝安値13.16円、12月1日夕安値13.13円、12月3日夕安値13.13円と13.10円台が下値支持線となる持ち合い相場の様相となっている。
12月3日は深夜にかけてドル円が104円を割り込む円高となったことがトルコリラ円を圧迫する一方、ドル全面安のなかで対ドルでのトルコリラが上昇したことで対ドルでのリラ高がやや勝ったことから深夜にかけてトルコリラ円も円高に負けずに戻したが、持ち合いレンジ内の騰落にとどまった。
トルコの新型コロナウイルス感染者は陽性者が3万2381人増で累計は73万人を超えた。陽性者のうち有症者は6511人とされるが、感染第二波の拡大は続いており、陽性者増加数は過去最大となた。1日の死者数も187人増で累計は1万4316人となった。感染者累計は世界18位、累計死者数は20位となっている。
【トルコの物価上昇率、予想を超える】
12月3日夕刻に発表されたトルコの11月消費者物価上昇率は前月比2.3%上昇で市場予想の1.0%を大幅に上回り10月の2.13%を上回った。前年同月比は14.03%上昇となり市場予想の12.7%を大幅上回り、10月の11.89%から加速した。
11月の生産者物価上昇率は前月比4.08%となり市場予想の1.0%を大幅に上回り、10月の3.55%上昇から加速した。前年同月比は23.11%上昇となり市場予想の19.5%上昇を大きく上回り、10月の18.2%から加速した。
現行のトルコ中銀による政策金利(週間レポレート)は15.0%であり、消費者物価上昇率を若干上回って前月まで続いた消費者物価が政策金利を上回る実質マイナス金利状態からは抜け出したが、消費者物価上昇率がさらに加速すれば再び実質マイナス金利状態に陥りかねない状況だ。
物価上昇はトルコリラが大幅下落してきたことに影響されているため、トルコリラの持ち直し的な上昇が続くなら物価上昇も落ち着く可能性があるが、懸念されるのは生産者物価上昇率が前年同月比で20%を超えてきたことだ。20%超えは2019年7月以来だが、生産者物価上昇率が消費者物価上昇率の上昇に先行して上回り始めるところから消費者物価上昇率も後を追いかけて大幅上昇してゆくケースが2016年末から2018年8月の通貨危機的なリラ安時にみられており、現状も9月から生産者物価上昇率が消費者物価上昇率を上抜いているため、今後の消費者物価上昇率の上昇も簡単には抑制が効かないのではないかと思われる。
トルコ中銀は12月24日に次回の金融政策決定会合を開くが、今のところは11月19日の大幅利上げの効果を見定めたいとして現状維持されるのではないかとの予想となっている。さらなる利上げないしは引き締め、景気対策等を講じないと実質マイナス金利状態への転落によりリラ安が再燃しかねないと思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月3日夕刻の下落では12月1日夕安値と同値にとどまって底割れを回避して持ち直し、13.40円前後から13.10円台までのレンジ相場での往来が続いているため、12月3日夕安値割れからは4日早朝高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして8日夕から10日夕にかけての間への下落を想定するが、2日夜高値を上抜く場合は3日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして4日の日中から9日夜にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では持ち合いレンジ内での騰落が続いているため、遅行スパン及び先行スパンともに実線との交錯を繰り返して方向感に乏しい。2日夜高値超えからは持ち合い上放れへ進む可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、3日夕安値割れからは持ち合い下放れとみて遅行スパン悪化中の安値値試し優先とする。
60分足の相対力指数は3日夕刻の下落で20ポイント台へ低下したがその後に50ポイント超えまで戻した。持ち合い相場のため方向感に欠けるので、60ポイント超えからは上向き、40ポイント割れから下向きと考える。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月3日夕安値13.13円を下値支持線、12月4日早朝高値13.36円を上値抵抗線とする。
(2)13.25円を上回るうちは上昇余地ありとし、4日早朝高値超えからは13.40円超えを目指すとみる。13.40円前後で引っ掛かり13.35円を割り込む場合は持ち合いの継続として持ち合い下限の13.10円台を目指す流れとみるが、13.43円を超える場合は持ち合い上放れに入って13.50円を目指す流れへ進む可能性があるとみる。
(3)13.25円以下での推移に入る場合は3日夕安値試しとし、底割れからは持ち合い下放れへ進むと仮定して13.00円を目指す流れとみる。13.05円以下は反発注意とするが、13.25円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かう可能性があるとみる。
【当面の主な経済指標等の予定】
12月10日
16:00 9月失業率 (8月 13.2%、予想 17.4%)
20:30 週次外貨準備高 12/4時点
注:ポイント要約は編集部
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