日銀会合経て円安加速、介入催促相場の様相
〇本日ドル円、日銀会合の結果発表を受け、ドル円続伸し156円台へ
〇日銀は金融政策会合で金利据え置きを発表、国債買い入れも3月の方針を維持
〇3/8安値146.48を起点とすれば1ヵ月半で10円超のドル高進行、介入が要注意なレベルへ到達か
〇欧米時間予想レンジは155.50-157.20、ドル高・円安方向は157円が次の抵抗
〇ドル安・円高方向は、155.75が最初のサポートか
<< 東京市場の動き >>
東京市場はドルが続伸し156円台。しかし、市場で関心を集めている円買い介入は依然として観測されていない。
ドル/円は155.60円レベルで寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。しかし、市場で注視されていた日銀会合の結果発表を受け、乱高下するも結果的にはドル高・円安が優勢となり156円台へ。一連の動きのなかで、鈴木財務相による口先介入は聞かれたが、一部で取り沙汰されていた円買い実弾介入は観測されず。16時現在では日中高値圏の156.35-40円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「日本の金融政策」と「円買い介入」について。
前者は、本日の昼過ぎに日銀が注目の金融政策会合の結果として「金利据え置き」を発表している。また、事前には時事通信が「規模縮小措置を検討へ」と報じていた国債買い入れも結局のところ「3月の方針を維持」した。こうした一連の措置について日経新聞は「円安対応観測にゼロ回答」と、やや批判的に報じている。また、そののち植田日銀総裁は会見で「当面緩和的な金融環境が継続すると考えている」、「2025、26年度の消費者物価はおおむね2%程度で推移と予想」−−などと発言。予想以上にハト派な内容などと失望する向きもあり、為替市場では円売り要因に。
対して後者は、ドル/円はフシ目の155円を超えても実弾介入が観測されず、市場では様々な思惑なども囁かれるなか、昨日はイエレン米財務長官から「各国政府による為替市場への介入はまれな状況でのみ容認される」とのコメントが発せられていた。ちなみに、これはドル/円に言及したものではなく、あくまでも一般論。日本当局による介入の可能性についてはコメントを控えたとされるが、円買い実弾介入はそれほど簡単ではなさそうだ。また、仮に介入を実施できても2度、3度と連続で実施することは出来ない、などとする見方も取り沙汰されていた。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、壁となっていた155円を24日に超えて以降、あっという間に156円後半へ。鈴木財務相が以前指摘していたように、「具体的な介入実施のシーリング」が存在しないのか、いまだ実弾介入は観測されていないが、3月8日安値146.48円を起点とすれば1ヵ月半で10円を超えるドル高の進行だ。単なるレベルの問題ではなく、「過度の変動」の観点から介入が要注意なレベルへと到達してきたと考えられる。
市場で注視されていた本日の日銀会合は、2つの意味で失望を誘う。ひとつは「金利据え置き」はともかく、期待されていた国債買い入れは縮小されず「3月の方針が維持」となったこと。そして、もうひとつは「日銀会合後の円買い介入」も観測されなかったことになろう。こうなると、どこで実弾介入に動いてくるのか市場は介入催促相場の様相も。東京勢の参加が乏しくなる来週のゴールデンウイークの変動には十分な注意が必要だろう。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場は155円を超えるなか「短期的には青天井」、しばらく強い抵抗はないとレポートしてきたが、その後のドル高進行はなかなか速い。中期的な上値メドである1990年4月高値の160円も、薄っすらとだが認識され始めてきたようだ。160円に到達する過程のどこかでは、さすがに実弾介入が観測されることになりそうだが、いずれにしても基本的なドル高・円安の流れはまだしばらく続く見込みだ。
本日は米経済指標として、3月のPCEデフレーターや4月のミシガン大学消費者信頼感指数確報などが発表される予定となっている。結果として影響は限られたが、昨日発表された米GDPは予想を下回る内容だったことから、本日発表の経済指標についても一部からは警戒感を抱く声が聞かれていた。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは155.50-157.20円。ドル高・円安方向は目立った節目は見られないが、それでも157円が次の抵抗でその攻防に注目。いずれにしても介入催促相場となっていることは間違いない。
対するドル安・円高方向は、実弾介入が観測されるかは不明だが、それらしい噂だけでも1円程度の軽く下げると考え下値は広めに。昨日高値155.75円が最初のサポートか。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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