トルコリラ円レポート月曜版
〇先週のトルコリラ円、トルコ中銀の利上げをきっかけに大きくトルコリラ高に進む
〇東地中海の天然ガス田問題でトルコの制裁は見送りに
〇週明けトルコリラは対ドル、円ともにトルコリラ安、ごく小規模のフラッシュクラッシュ発生
〇今週は13.10レベルをサポートに13.90レベルをレジスタンスとする流れか
まず、先週の振り返りですが「日足チャートで計算したターゲットを参考に13.45レベルをサポートに13.90レベルをレジスタンスとする流れ」を見ていました。実際のレンジは、安値が13.59レベル、高値が14.01レベルとなり、トルコ中銀の利上げをきっかけに大きくトルコリラ高に進みました。
先週のトルコリラは、週初のEU外相会議においてはトルコの制裁は見送りとなり、特に目立った議題ともならなかったようです。依然として東地中海の天然ガス田の問題は継続していますが、こちらも今のところすぐに制裁という話にはなっていないため、短期的にはトルコリラ売り材料からやや後退したという印象でした。
そして、一気に注目が高まった木曜のトルコ中銀の会合でしたが、コンセンサスは現状維持、一部では利上げの可能性もあり得るという見方もありましたが、蓋を開けてみたらまさかの2%もの大幅利上げとなり、発表直前には13.59レベルと史上最安値を更新していたトルコリラ円は一気に13.94まで上昇、金曜には一段高となり一時14.01レベルの高値をつけました。
トルコ中銀は今年5月に政策金利を8.25%に引き下げて以降は前回8月の会合まで現状維持を続けてきましたが、それまでもその後もトルコリラ安が続き、トルコリラ防衛のための介入でトルコの外貨準備は直近で約450億ドル、これは今年に入ってから半減しています。外貨売り介入にも限界があるとの判断でトルコ中銀は2%もの大幅利上げに踏み切ったと見ることが適当だと思いますが、中銀の声明によれば8月以降の引き締め(現状維持からの転換)を強めるべきと判断した、と特にトルコリラ安との関連には触れていません。
しかし、そうであるならば、インフレ率(年率11.77%)を大きく下回る今回の利上げでも問題があるということになるでしょうし、緩和派のエルドアン大統領の顔色をうかがう必要もあり、当面出せる手段はいよいよ尽きてきたということになりそうです。
こうしたトルコの足元を見た動きが週明け早々に発生し、本日の東京市場前場には一時13.32レベルと史上最安値を更新する動きが出ました。本邦個人投資家のトルコリラ買いのポジションは高水準のままほとんど変化が見られなかったのですが、本日の下げである程度の強制決済が発生したように思えます。ドル円がやや円高に動く中でトルコリラは対ドル、対円ともにトルコリラ安となっていて、ごく小規模のフラッシュクラッシュが発生した動きと言えるでしょう。
今週はトルコが抱える悪材料(景気低迷、新型コロナ感染者の増加、東地中海におけるEUとの対立)自体には何ら変化は無く、さらに隣国での軍事衝突(領土問題でアルメニアがアゼルバイジャンを攻撃)も一時期のシリア問題のようにトルコにとって新たな悪材料となってきます。木曜の利上げで反騰した動きがかえって、その後のトルコリラ安を強める動きになったという皮肉な展開での週明け相場となってしまいました。
ここからの動きですが、今週は主要国でのイベントが多いものの、トルコリラ安の動きを止めるようなものは無いと言えますし、今の状況ですと一時的にドル売り・トルコリラ買いとなったとしても絶好の売り場を提供する展開になる可能性が高そうです。テクニカルな観点からも見てみましょう。
いつもの4時間足チャート(上からトルコリラ円、ドルトルコリラ、ドル円)をご覧ください。
上側は8月下旬からのレジスタンスライン(ピンク)が効いているようです。現状は14の大台をやや下回った水準に位置し週末には13.90水準へと下がって来ます。いっぽうで下側は既に史上最安値を更新していますので、直近の高値から逆N波動を考え、利上げ前後の安値と高値を使ってフィボナッチエクスパンションを計算してみました。
すると100%エクスパンションが13.29とほぼ今朝の安値と一致し、次のターゲットは127.2%(161.8%の平方根)エクスパンションとなる13.10です。引き続き荒っぽい値動きで上下に振れる展開も考慮する必要がありそうですから、今週はこれらのテクニカルな水準を参考に13.10レベルをサポートに13.90レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
注:ポイント要約は編集部
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