ユーロは対ドル、対円で一段の下げか(週報9月第4週)

今週は戻り売りが出やすく、イベントの結果によるものの一段の下げを考え1.1550レベルをサポートに、1.1700レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

ユーロは対ドル、対円で一段の下げか(週報9月第4週)

ユーロは対ドル、対円で一段の下げか

〇ユーロドル1.17を下抜け、先週は週を通してドル高に、一方ユーロ買いポジションは依然高水準
〇欧州主要国でのコロナ第2波とそれによる景気停滞の長期懸念がユーロ売りにつながりドル高相場を招く
〇テクニカルには、ユーロドルが下げる場合対円も下げに注意が必要
〇今週は戻り売りが出やすく1.1550レベルをサポートに1.1700レベルをレジスタンスとする流れか

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、概況に書いた通りですが、前週までの1.17台前半をサポートとするもみあいを下抜けたテクニカルな要因がもっとも大きかったと見ていますが、7月下旬から約2か月に渡って続いた高値圏でのもみあいを、ついに下抜けたという事実は大きいと言えるでしょう。

ポジション的には、一時期のユーロ買いポジションに比べれば減ってはいるものの依然として高水準のユーロ買いポジションが続いていて、金曜のNY引け後に発表されたシカゴ通貨先物のユーロポジションは前週よりも若干増え、22日時点で19万枚を超える買いポジションとなっています。ピークの21万枚超から見ても1割程度の減少に過ぎず、まだ高水準のユーロ買いが残っていることを考えると、潜在的にユーロ売りが出やすいということになります。

そして、懸念される新型コロナの感染者数ですが、もっとも状況が悪いスペインの感染者数推移をご覧ください。1日あたりのデータを見るとスペインは増減が激しいため週間のデータにしてあります。

ユーロは対ドル、対円で一段の下げか

上段が累計、下段が週ごとの感染者増加数です。この推移を見ても明らかですが、既に3月下旬のピークを大きく超え、増加ペースはまったく収まらず1週間あたり7万人を超える(平均で1日あたり1万人超え)状況です。マドリッドでは既に一部の活動制限が入っていますが、先週金曜には同国保健相がマドリッド全域のロックダウンを推奨しました。保健相の推奨を受けるかどうかはわかりませんが、更に増えるようであれば可能性が高いと言わざるを得ませんし、似たような増加傾向を見せている英国やフランスでも今後の動向が気になるところです。

こうした本格的なコロナ第2波とそれによる景気停滞の長期化懸念がユーロ売りにつながり、テクニカルにもチャートパターンが反転パターンとなったことで、先週のユーロ売りをきっかけとしたドル高相場を招いたという流れです。

今週は米国材料として、大統領選の第1回TV討論会、そして月初の雇用統計があり、ドル高にもドル安にも動きうるのですが、ユーロに関して言うならばドル買い(ユーロ売り)方向により反応しやすいと言えます。また、連日のように経済指標やECB関係者の講演がありますが、これらも予想よりも弱い数字や追加緩和につながる発言といったユーロ売りにつながる内容に注意が必要です。

そして先週同様にテクニカルな要因も引き続き大きいものがあります。日足チャートをご覧ください。

ユーロは対ドル、対円で一段の下げか 2枚目の画像

7月下旬から続く高値圏でのもみあいを抜けられずにいましたが、下抜けたことから先週示した6月後半押しと9月高値との38.2%押し1.1689を達成、引き続き上値が重たい展開となっていることから次のターゲットとして半値押しの1.1590から61.8%押しの1.1490を考える段階となってきました。いっぽうで上値側は8月安値の1.1696(ピンクの点線)が戻りのターゲットとなります。

今週は戻り売りが出やすく、イベントの結果によるものの一段の下げを考え1.1550レベルをサポートに、1.1700レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロ円の日足チャートを見ます。

ユーロは対ドル、対円で一段の下げか 3枚目の画像

直近の動きだけを見るとまったくのもみあいで上にも下にも動けない状況が先週一週間続きましたが、ここからはドルの動きよりもユーロ安の動きに注意したいということはユーロのコメントで書いた通りです。であるとすれば、ユーロ円も下げに注意すべき状況ということになります。

テクニカルには、ユーロ円は5月安値からのサポートライン(ピンク)を9月上旬に下抜け、現在の水準は5月安値と9月高値の38.2%押し122.24に近く、いったん止まりやすい水準です。しかしユーロドルがここから下げるということを想定すると、先週1週間のもみあいが踊り場となって、次の下値のターゲットとして半値押し120.75が視野に入ってきます。ユーロの下げにバイアスがかかった見方ではありますが、対ドルだけでなく対円も下げに注意が必要でしょう。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

9月28日(月)
18:45 シュナーベルECB理事講演
22:45 ラガルドECB総裁講演
23:00 英中銀総裁講演

9月29日(火)
15:45 フランス9月消費者信頼感
18:00 ユーロ圏9月消費者信頼感
21:00 ドイツ9月CPI速報値

9月30日(水)
10:00 米国大統領選第1回TV討論会
15:00 英国4〜6月期GDP改定値
15:00 英国9月住宅価格
15:00 ドイツ8月輸入物価
15:00 ドイツ8月小売売上高
15:45 フランス9月CPI速報値
15:45 フランス8月PPI
16:20 ラガルドECB総裁講演
16:55 ドイツ9月失業率
23:00 レーンECB理事講演

10月1日(木)
16:50 フランス9月製造業PMI
16:55 ドイツ9月製造業PMI
17:00 ユーロ圏9月製造業PMI
17:30 英国9月製造業PMI
18:00 ユーロ圏8月失業率
18:00 ユーロ圏8月PPI
**:** EUサミット(〜2日)

10月2日(金)
18:00 ユーロ圏9月CPI速報値
21:30 米国9月雇用統計

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

今週は先週一週間のユーロの動きをまとめて書かせていただきます。

先週は週を通してドル高の一週間となりましたが、そのドル高の動きをリードしたのがユーロドルでのユーロ売り(ドル買い)であったと言えます。ユーロドルは9月1日に1.20の大台をつけ、中期的にもユーロ高値をつけましたが、その後も上下しながらも7月下旬から続く高値圏でのもみあいを先週下抜けすることとなりました。

直接的なきっかけは、欧州主要国において新型コロナ感染者数が急増、英国、フランス、スペインでは1日あたりの感染者が過去最大となり、特に感染者が急増しているスペインでは首都マドリッドの一部地区において活動制限が加えられると、一時期の楽観から今後の景気回復に重大な懸念をもたらすこととなりました。

そして、ユーロに売りが入った結果、テクニカルにも反転パターンを完成し、ユーロ売りが進んだことからドル全般に買い戻しが入る一週間となりました。

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