発表される米経済指標を注視、波乱も!?
〇ドル円、106円台回復後は106円を下回らず底堅いが、上値も重くドルは上げ渋り
〇ブレイナードFRB理事「金融政策緩和へシフト」発言で市場の楽観論にクギを刺す
〇ユーロドル昨日一時1.20台を示現するも定着せず、引き続き1.20台回復となるか注目
〇本日発表のADP雇用統計、事前予想値はプラス100万人程度と大きく改善する見通し
〇本日欧米時間のドル円予想レンジ105.50-106.50
<< 東京市場の動き >>
2日の東京市場は、ドルが小じっかり。ドルの底堅さをうかがわせる展開だったが、上値も重く、結局前日記録した戻り高値にはわずかにとどかなかった。
ドル/円は105.95円レベルで寄り付いたのち、日中安値である105.85円前後を示現した。しかし、以降はドル高・円安の値動きで、ドルはジリジリ買われると106円台を回復し、106.10-15円へ。その後は106円をしっかりと下回ることがなく底堅いが、上値も重くドルは上げ渋った。16時現在では106.00-05円で推移、欧米時間を迎えている。
なお、昨日欧米時間に2018年5月以来の1.20ドル台を示現したユーロ/ドルだったが、本日の東京時間は冴えず。1.19ドルを挟んだレンジ取引に終始していた。
一方、材料的に注視されていたものは、「米ファンダメンタルズ」と「中国情勢」について。
前者は、今週発表される重要な米経済指標の先陣を切って明らかになった8月のISM製造業景況指数は予想を大きく上回るかなりの好数字。それが米10年債利回りの上昇を誘うと、ドル高にもつながっていた面を否めない。ただ、ブレイナードFRB理事は講演で、新型コロナウイルス感染拡大による景気の下振れを警戒するとともに、「金融政策は今後数ヵ月内に緩和へシフトすることが重要」と述べるなど、市場の楽観論にクギを刺していた。
対して後者は、欧州との関係改善を目的として中国要人が外交攻勢を強めているが、それほど大きな成果は上げられていないようだ。むしろ、中国外務省が台湾を訪問中のチェコ上院議長による立法院(国会)での演説に嫌悪感を示すとともに、対抗措置をほのめかしたことについて、ドイツやフランスから強い懸念発言が聞かれていた。なお、それとは別にインドとの関係も不透明感を増しており、実際にインド外務省からは「中国軍が再び挑発行為をしたが、それを阻止した」などとする発表がなされている。
<< 欧米市場の見通し >>
「日本の政治不安」も、事実上三つ巴となりそうな自民党総裁選を見極めたいとの思惑から足もとは小康状態。また、最有力候補とされる菅官房長官が仮に破れたりすれば、動きがありそうだが、そうでなければあまり材料視されることがないのかもしれない。そうしたなか、足もと注視されているのは、引き続き米ファンダメンタルズ要因。前述したように、昨日も発表された米経済指標が良好な内容となり、ドルの支援要因となっていただけに、同様の展開を警戒する声も聞かれていた。
材料的に見た場合、「米中の対立」やそれだけにとどまらない「中国情勢」、「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルスとワクチン開発」、「米大統領選」など注目要因は依然として目白押し。それらに加え、ここにきて「安倍首相辞任とその後継者人事」と「ベラルーシ情勢」も新規要因として注目を集めはじめている。また、為替市場においてはレンジ取引の様相を示すドル/円よりも、昨日一時1.20ドル台を示現したユーロ/ドルの動きに要注意か。結局定着はせず、足もとは調整と思しき動きに押されている格好だが、引き続きリスクは上方向との見方が有力だ。このあと、しっかりとした1.20ドル台回復となるのか、注目したい。
テクニカルに見た場合、8月のドル/円相場は、月間レンジが105.10-107.05円という2円未満にとどまり、「今年一番の月間最小変動幅」を記録。名実ともに9月入りしたことで反動を期待する声も聞かれるが、取り敢えずここまでは期待外れともいえる動きにとどまっている。本日以降、果たして「巻き返しの動き」はあるのだろうか。まずは、昨日高値106.15円をめぐる攻防が注視されているようだ。
一方、本日は、8月のADP雇用統計や7月の製造業受注指数といった米経済指標の発表が予定されている。なかでも、週末の米雇用統計発表を前にした同じ雇用データであるADP雇用統計への注目度が高い。ちなみに、前月プラス16.7万人だったものが、事前予想値だとプラス100万人程度へと大きく改善する見通しだ。ただ、もともと振れの大きな指標だけに予断は許さないかもしれない。波乱もあるか!?
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは105.50-106.50円。本日東京で接近するも越えられなかった昨日のドル高値106.15円が最初の抵抗。上抜ければ106.30円前後、106.50-55円などがターゲットとなる。
対するドル安・円高方向は、昨日安値105.60円の攻防にまずは注視。しっかり割り込むと、先週末安値105.20円や8月安値105.10円などが意識されそうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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